「『女性だけ遺伝子検査』はスポーツの価値を毀損する」 三輪記子が緊急声明を解説

「『女性だけ遺伝子検査』はスポーツの価値を毀損する」 三輪記子が緊急声明を解説

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。5月21日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、木曜前半レギュラーの弁護士・三輪記子が、IOCが発表した「女子選手への遺伝子検査の実施」という新ポリシーに対し、日本スポーツとジェンダー学会理事会が緊急声明を発表した件について、その経緯を説明した。

三輪記子「IOC(国際オリンピック委員会)が、『(2028年の)ロスオリンピック以降、生物学的女性確認のための遺伝子検査を実施する』という新ポリシーを発表したんですけど、それに対してですね、日本スポーツとジェンダー学会理事会が、『IOCの女子カテゴリー保護に関する新ポリシーへの緊急声明』を発表したということをご紹介したいと思います。
で、結論からお話ししたいんですけど、今回のIOCの新しいポリシー、これは後でご紹介いただきますが、『女性にだけ遺伝子検査を実施しますよ』っていうポリシーなんですよ。
これをロス五輪以降やりますよっていう。これについて『速やかに撤回するべきだ』っていうのが日本スポーツとジェンダー学会の理事会の緊急声明なんですね。
で、私はこのIOCの新ポリシーは『スポーツの価値を毀損するものだ』というふうに個人的に考えています。
で、じゃあこの新しいポリシーを否定というか批判するとして、どうすればいいのかっていう、答えのようなものについては正直分かりません。
だけど、ずっとお伝えしてるように、『分からない、でも考え続ける』っていうところに留まるっていうことはすごく大事だと思ってるんですね。
で、分からないとしても、やっぱりダメなもの、あるいは差別には、私は積極的に『それは差別です、違いますよ』っていう声を上げないと、追認したかのように見えてしまうっていうことをとても懸念しています。
なので私はこの緊急声明については賛成する立場です」

武田砂鉄「はい」

三輪「私自身、日本スポーツとジェンダー学会の会員で、ここで勉強する者なんですけど、別に理事でもないですし、ただ単に学会の一員として紹介したいなと思ってるんですよね」

武田「この問題、結構本当に難しい問題で、色々考えなければいけない論点がたくさんあると思うんですけど、ここ何年かこのトランスジェンダーの話、色々な議論についてSNSで投稿すると、本当にトランスジェンダーの選手の動画とか画像みたいなものが貼り付けられて、『大変なことになるんだぞ』みたいに問題をすごくシンプルにして、非常に挑発的に、かなり乱暴に攻撃されるようなことがずっと続いてるんですよね」

三輪「おっしゃる通りで、そういう議論の立て方自体が非常に雑で。この緊急声明を読むと、『問題はそんな単純な話じゃないし、そもそもSNSで繰り広げられてるような議論に科学的な根拠って実は無いんだよ』っていうこともきちんと書かれてるんですね。なので、ぜひ原文に当たっていただきたいんですけど、まずは少しでも知っていただきたいなと思って紹介しようと思うんです。西村さん、まずこの『スポーツ基本法』から読んでいただいてもいいですか?」

西村志野「はい、スポーツ基本法の前文ですね。一部をご紹介します。
『スポーツは世界共通の人類の文化である。スポーツは心身の健全な発達、
健康および体力の保持増進、精神的な充実感の獲得、自律心、その他の精神の
涵養等のために個人または集団で行われる運動競技、その他の身体活動であり、
今日国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっている。
スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、すべての人々の権利であり、すべての国民がその自発性の下に、人種、性別、年齢、障害の有無等に関わらず、各々の関心、適性等に応じ、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、またはスポーツを支える活動に参画することのできる機会、スポーツに関し集う機会、スポーツを通じて繋がる機会等が確保されることにより、
多様な国民一人一人が生きがいを持ち、幸福を享受できるようにするとともに、
豊かさを実感できる社会の実現が図られなければならない』とあります」

三輪「ありがとうございます。これって、例えば憲法13条の『個人の尊重』とか『幸福追求の権利』っていうものを、スポーツの側面から考えたものっていうふうにも言えると思います」

武田「はい」

三輪「スポーツっていうのはもちろん個人競技もあれば団体競技もあるんですけど、何より『一人一人の個人が尊重されるスポーツじゃなきゃいけないんだよ』っていう理念、理想を語ってるんですよね。
だけど、今回のIOCの新ポリシーっていうのは、そういった個人の尊重とか、人種・性別・年齢・障害の有無に関わらずみんなが楽しめなきゃいけないっていう『平等権の保証』に反するんじゃないかっていうことなんです。
じゃあ、この新ポリシーはどういうものかっていうと。そもそも1968年から『性別確認検査』っていうものが女子に対してされてたんです。これが2000年に廃止されました。
この性別確認検査っていうのは非常に屈辱的なもので、『科学的・倫理的に正当化できない』ということで廃止されたんです。
この間、性自認や人権に関する国際的理解が進んで、IOC自身も2021年には『包括的な枠組み』を策定しました。
その2021年のポリシーは非常に評価されていたんです。
しかし今回の2026年(2028年ロス五輪以降)の新しいポリシーは、これまでの前進を後退させるもので、策定プロセスも実は不透明なんですよ。
IOCは最近、初めて女性の会長が就任したっていうこともあったんですけど、その中でこういうことが行われたっていうのは、ある種のバックラッシュ(反動・揺り戻し)なのかなっていうふうにも思います」

この後も三輪記子さんはこの問題に対し、真摯に向き合い、自身の考えや今後への課題などを語っています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

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