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2015年12月30日 終わらないニュース

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今年一年をふりかえる番組『マイクの1年』を作っていると、毎年のことながら「忘れていたニュース」に気づかされます。
いずれのニュースも「当事者にとってはまだ終わっていないのだ、」と心に留め置かなければいけないと思います。
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取材した音を聴いていますと、文字に起こせない音の大切さに気が付きます。
例えば、ため息交じりの告白とか、次の言葉が選べずに躊躇している「間」とか、怒りに震える声とか、決断の前の深く息を吸い込む気配とか。ラジオには画像はありませんが、そういう部分もきちんと伝わればいいなと思います。
本年もお聴きいただきありがとうございました。どうぞよい年をお迎えください。
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◆『マイクの1年2015報道編~未来への分岐点』は12月31日大晦日の夜8時から。
ネットでラジオが楽しめるRadikoでお聴きの場合は、http://radiko.jp/へ。
文化放送ではAM1134、FM91.6でお楽しみください。
◆ネット局:ラジオ福島、信越放送、北日本放送、福井放送、東海ラジオ放送、ラジオ大阪、山陽放送、九州朝日放送、ラジオ沖縄(※放送日時は各放送局により異なります)
◆取材は文化放送の報道記者やネット局、通信社の記者のみなさん。

2015年12月28日 不安

今年の漢字1字が「安」に決まりました。昨年が「税」、一昨年が「輪」。
消費税率が5%から8%に17年振りにUPした昨年が「税」。
東京オリンピック招致決定の一昨年が「輪」だったという結果を見ると
「安」の決定はやはり集団的自衛権の行使容認を含む全保障法の
可決成立のインパクトがかなり大きかったのだと思う。
おそらくその中心人物だった安倍総理大臣の名前の「安」への投票も相当数あったのだろう。
実際、安全保障関連法の国会決議は、日本の政治史における大きな転換点だった。
おそらく、国会上程~審議・採決まで、官邸主導で行った可決ありき、
「何が何でも通す」というシナリオ通りの政治に、多くの国民が
戦前政治への逆行を想起させるに十分な危うさを感じたのではないだろうか。
この国はどこに向かって急ぎ足をしているのだろう? と、
本能的、あるいは直感で感じた人も多かったはずだ。
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そんな中、作家の野坂昭如さんが85歳の生涯を閉じた。氏はかねてより
戦争の愚を説き、政権=権力の暴走に警鐘を鳴らし続けてきた作家だ。
その野坂氏が最後の連載~毎日新聞の「七転び八起き」で発したメッセージに
「この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」
という一文がある。直考させられる言葉だ。
私は10代の頃「日本土人の思想」「風狂の思想」「卑怯者の思想」といった
野坂さんのエッセイを読み、少なからず影響を受けた。
今あらためて、エッセイを読み「心得には思想と行動が伴わなくてはならない」
と感じ入った事を思い出す。
客観的に2015年の政治の流れを再生して俯瞰すると、今年の漢字~
最多投票の「安」には"不安"の「安」も多数含まれていると思わざるを得ない。
報道スポーツセンター部長 関根英生

2015年12月25日 動くか?慰安婦問題

 岸田外相が28日に訪韓する見通し。従軍慰安婦問題で大きな進展があると予想されてるね。産経前ソウル支局長の無罪確定から予想できた流れではあるな...。(ブルコギ食べたい、マッコリ飲みたい...)
0KAzIgbotf9a6.3-46050-1-attach-d2.jpg 国会が開かれていなくても、何があるかわからないのが政治。写真は、アタシが5月にソウルに遊びにいったときに撮ったもの。これも撤去となるのだろうか。(サムギョプサル食べて、明洞をそぞろ歩きたいわー)
後藤さん菅さん.jpg そんな政治の1年を振り返り、2016年を展望する番組「後藤謙次Point of view~2016年、この国の行方」を、1月3日(日)15:15~放送します。ゲストは、菅義偉内閣官房長官。是非、聴いてね!(キムチチゲやサムゲタンもいいねえ...)

2015年12月23日 新国立競技場の採用案決まる

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2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の新たな建設計画を担う設計・施工業者の選定で、政府は22日、ふたつの応募案から建築家の隈研吾さんが手掛けたA案の採用を決めました。
画像は記者会見で説明する隈さんです。

建設財源は、総工費の上限1550億円に関連経費などを加えた約1581億円のうち、国が2分の1、都とスポーツ振興くじで4分の1ずつを負担することで合意しています。
記者会見で完成イメージ図を見たのですが、五重の塔などに用いられる「垂木」をイメージさせるひさしが特徴。
国産の木材が使われています。
建設コストはともかく、木材の多様は維持費にどう影響するのかなと思いました。

その会見の夜、宮城県南三陸町の仮設住宅に住むかたとお話ししました。
以前から継続して状況を伺っている農家のかたです。
宮城県内では、仮設を出た後の住宅の再建計画が決まっていない世帯が
3297世帯に上っています。(10月末現在、宮城県調べ)
事情は様々ですが、住民のかたによれば住宅の再建や修理などに踏み切らない理由のひとつに「オリンピック」がありました。建設資材など住宅に係る費用がオリンピックの影響で高騰しており、それが落ち着くのを待っているというのです。

ただし、生活再建支援金・加算支援金を申請できる期間は平成30年4月10日まで。
また、もともとのルールでは2年間使用となっていたプレハブの仮設住宅もまもなく震災から5年を迎え、傷みも激しくなっています。ですからどのタイミングで住宅再建に踏み切るのかが難しくなっています。

被災者のかたは「五輪の盛り上がりに水を差すつもりはないけんど」と前置きしながらも
「オリンピックを日本でやるのは、もう少し先でもよかったんじゃないかなという声も聴くんだよね」と話してくださいました。

2015年12月19日 野坂昭如ノー・リターン

去る12月9日に亡くなった作家の野坂昭如さんの告別式がきょう(12/19)、
青山葬儀所で行われました。

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昭和5年生まれの野坂さんの享年は85歳。10代前半の壮絶な戦争体験は「火垂るの墓」に象徴
される数多の小説やエッセイに描かれ、一貫して戦争の愚と暴走する権力への批判を
発信し続けた作家でした。
私事ではありますが、迅英の父も今年9月に亡くなりました。父は昭和3年生まれでしたから
ほぼ野坂さんと同年代、享年は86歳、父からも戦争体験を随分聞かせてもらいました。
~空襲の話、疎開の話、戦地で死んだ先輩や友人の話、ひもじかった終戦直後の話~などなど。
戦後70年。10代で終戦を迎えた方は野坂さん然り父然り、皆さん80代です。残念ですが、
戦争体験を直にお聞きできる機会は時間の経過とともに少なくなってきます。
では、はたして戦争体験世代の次世代たる私たちはさらに次の世代に、父や野坂さんが
残してくれた「命掛けの体験談」を語り継ぐことができるのだろうか? 
青山からの帰り道、考えさせられた。

2015年12月 9日 アーサー・ビナード 長崎原爆を探して

12月9日(水)夜8時から9時で報道特別番組を放送しました。
『文化放送 戦後70年企画~アーサー・ビナード 長崎原爆を探して』です。

文化放送では戦後70年企画として、4月から毎週土曜日に「アーサー・ビナード 探しています」
という10分番組(4月のみ15分番組)を放送していますが、
今回の番組はその特別版として制作しました。主要なテーマは「長崎原爆」です。
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同じく「長崎原爆」をテーマに製作された映画が12月12日から公開されました。
山田洋二監督、吉永小百合主演、『母と暮らせば』です。~特番では吉永さんに
「長崎」そして「原爆」に関する想いも語って頂きました。
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山田監督は『母と暮らせば』の冒頭、長崎への原爆投下シーンの直後、テロップで
"プルトニウム爆弾が投下された"
と、表現しています。長崎に投下された「原爆」はプルトニウム爆弾です。
(広島に投下された「原爆」はウラン爆弾)
70年前の8月9日に長崎に投下されたプルトニウム爆弾はそこを起点に、まさに今日まで、
綿々と地球と人類の存亡の脅威となってきました。70年間も、、です。

番組ではこの長崎プルトニウム爆弾投下の背景と、歴史の裏側に置かれ、
掘り起こされなかった事実についての問題提起がしっかりとできたのではないか、と思います。
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お聴き頂いたすべての方に感謝を申し上げます。
報道スポーツセンター 関根英生

2015年12月 3日 テロターゲット

まったく時間が経つのは早いものでもう師走に突入してしまった。
少し気が早いが2015年という年を振り返ってみる。
今年の幕開けは信じられないニュースが日本全国を駆け巡った。
イスラム国による邦人2人の拉致、殺害というショッキングな事件に向合い、
狼狽え、茫然としながらも速報対応に明け暮れた年初だった。

そして11月、イスラム国は標的をフランスに定め、パリで同時多発テロを実行、
自爆、銃乱射という防御不可能な狂気の行いに300人の犠牲者を出した。

やや乱暴な感想だが、イスラム国の凶行に翻弄され、
イスラム国の狂気に世界中が震撼した2015年だったと思う。

では邦人殺害から同時多発テロまでの期間、日本では何が起きていたのかというと、
5月から夏場にかけては集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の変更から
安保関連法案の強行採決まで、前代未聞の多数決が決行された。
間違いなく、これが今年のTOPニュースだ。
はたして、自衛隊の武力使用の機会と範囲は格段に拡大するだろう。
「積極的平和主義」という一見、穏やかな正義の履行にも映る自衛隊の行動は、
イスラム国はじめ相手国からは攻撃の対象になると同時に
テロの脅威にもさらされる可能性も高まる。

安倍総理は2004年に出版した「この国を守る決意」という本の中で
『言うまでもなく、軍事同盟というのは"血の同盟"です。日本がもし外敵から
 攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。日本の自衛隊は、少なくとも
 アメリカが攻撃をされたときに血を流すことはないわけです。これで完全な
 イコールパートナーと言えるのでしょうか』と述べている。
積極的平和主義の名の下に憲法の解釈を変えた集団的自衛権の行使容認、
そしてアメリカとの"血の同盟"によって来年、日本がイスラム国の本格的な
テロターゲット元年とならないことを切に祈ります。
報道スポーツセンター部長  関根英生

文化放送報道制作部では「ニュースパレード」を中心に、日々のニュースをお伝えしています。

その一方で、私たちの周りには普段のニュースでは伝えきれないような話が溢れています。

それをお伝えする場所が、このリニューアルしたブログ。
部員それぞれがゆるやかに伝えていきます。
ニュースの「おまけ」として楽しんで頂ければ幸いです。
よろしくお付き合いください。

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