厚労省の映画タイアップ中止から考える、AYA世代がん患者支援と配慮の話

厚労省の映画タイアップ中止から考える、AYA世代がん患者支援と配慮の話

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。8月26日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、厚生労働省の映画タイアップ企画が、批判を受けて中止になったというニュースを元に、考えを示した。

勅使川原真衣「今日の元ネタは先日、厚労省のホームページを見ていてちょっとびっくりしたことがあったので、そこから話したいんですけど、10月公開の映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』という映画とタイアップをして、厚労省がAYA世代、つまり15歳から39歳のがん患者さんが利用できる支援制度をまとめたガイドを周知するという企画の公表がされていたんですね。
これタイアップしてポスターが貼られるってことだったんですけども、どこに貼られるかというと、都道府県がん診療連携拠点病院、通称がん拠点病院と呼んでいますけども、こちらの病棟とか外来のところに貼るっていう予定があったんです。私自身、38歳の時なのでAYA世代の時にがんに罹りまして、当時上の子8歳下の子1歳で、『この世を去りたくないな』という気持ちで闘病していたということもあり、そして今も闘病しているので、これやっぱりちょっと他人事と思えず、事態を注視していたんですね」

武田砂鉄「はい」

勅使川原「そしたら、8月24日の月曜日、厚労省がまた記事を出しまして、『タイアップを中止します』という公表だったんです。
既に配布されてしまっているポスターについては回収すると。そして病院での掲示も中止して、このタイアップに関する特設ページやSNS投稿なんかも削除しますというお話でした。加えて、患者やその家族への配慮不足というのを認めて謝罪もした公表でした。
これは本当にいい判断だったと思います。ちょっとありえないかなと思うタイアップだったので。なんですけども、論点までこの中止によって全て水の泡と化して消えたってことではないと思いますので、やはりなぜこの企画が一度通ってしまったのか、そして支援情報を届けるっていう目的自体、全く問題ありませんので、それがなぜ病院でこうしたポスターを掲げるってことになったのか。手段と目的は合っていたのか、みたいなこともちょっと考えたいなと思います」

武田「うん」

勅使川原「なので、今日は中止したってことの是非は問いません。そうじゃなくて意思決定から残る論点っていうのを考えてまいりたいと思います。
ちなみに、ちょっと誤解のないように強調したいんですけども、私、映画そのものについては言及一切しておりませんで、批判も全くしていません。映画の内容や表現とか、それを映画館で自分の意思で見るっていうのは、今回の話と全く別の論点なんですよね。
同時に若いがん患者さんに制度を知らせるっていう当初の厚労省の目的っていうのは不可欠なものだと思いますので。『目的と手段が噛み合ってないよ』っていうところ、それからどうやって必要なものをどう届けるのかっていうところ。このあたりを『アテンション・エコノミー』とも絡めて話したいなと思っています。
まず、患者に啓蒙とか情報提供が必要だっていうのはよくある話ですけど、そうすると大体病院に何かで情報を掲出しようという流れにもなりやすいんですけども。
今回はそれを映画のタイアップでやったと。しかもその映画というのが、死を前提としたものになっているので。これはちょっと特殊なものなのかなと思います。
なぜならば、映画館で自分の意思で見る映画と、生きるための治療で行かざるを得ない病院の外来で、不意に目にするポスターとでは、これ同じ情報じゃないんですよね」

武田「いや、もう全く違いますよ、それはね」

勅使川原「全く違うんですよ。なので、厚労省も8月24日の発表っていうのは、患者が日常的に利用する場所に掲示するものではなかったと、配慮に欠けたってことはしっかり認めてくれてるんですね。
本当、それはその通りだと思っていて、外来っていろんな背景の人がいるわけですよね。
この日ポスターを目にしてしまった、その日初めて『がんです』と言われる人もいらっしゃるし、治療が効いてて『順調だな』っていう方もいれば、残念ながら薬ってだんだん効かなくなったりもするので、『どうしよう、これから』と。お子さんがいる方は『子供にどう話そうかしら』とか考えてる方もいらっしゃるわけです。なので、同じ1枚のポスターでも、場所が変われば意味が変わるってこと。これ当然考えるべきだったんだろうと思います」

勅使川原真衣さんのお話はまだまだ続きます。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

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