ナゼ余計に買ってしまうのか?過剰消費とナゾの「萌え袖」動画の魅力を武田砂鉄が聞く
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。9月14日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、パートナーの西村志野アナとともにトークを繰り広げた。
西村「ここからは前半レギュラーのラジマガコラム。月曜日はマライ・メントラインさんの『マライの気になる世界のアレ!』です。今日はどんなテーマでしょうか?」
マライ「今日は、大丈夫なのか?過剰消費の世界っていうテーマです。過剰消費――オーバーコンサンプションですね――このワードを聞いて何を思い出しますか?」
武田「ボクは、日頃ブックオフによく行くんですが、最近はあんまりないけどレジの横にすごく流行ってるアイドルのCDが山積みになってて、100円とかで放り出されてるような時代が結構続きましたね」
マライ「まさにアイドルの握手券をゲットするためにCDを買うっていうのが有名ですよね。今はサステナブルとか言いながら現実は違うんですよね。経済は結局、我々の過剰消費で回ってるのではないか? 今日はそんな過剰消費の世界を紹介します。この間、YouTubeで、多分フィンランド系アメリカ人による、アメリカ人の過剰消費についての分析動画を見たんですね。アメリカ人は、なぜあんなに物を消費してしまうのかっていう内容で、いくつかの興味深いポイントがありました。なんでアメリカは過剰消費社会なのか、このユーチューバーは、町のインフラに問題があるのではないかと分析してるんですね」
武田「町のインフラ?」
マライ「車がないとどこにも行けない。公園とか、お金を使わずに楽しめるスポットがないんじゃないか。現実的に手軽にレクリエーションできるのがショッピングモールなんじゃないかって言ってるんですよね。そこに行くと、もちろん見るだけでもいいんですけど、なんか買っちゃうと言うんですね。アメリカだと、いわゆる「サード・プレイス」――家でも職場でもない、無料や低価格で、人と会える場所――が減少していて社会問題となっていると。近年の研究でも、実はショッピングモール自体が買い物以外の交流の場にはなっているんですけど、カフェに入るなり何なりして、やっぱりお金がかかってしまうんですね。以前、アメリカの貧困化がテーマのドキュメンタリーを見たんですけど、出てくる家は貧困家庭と言ってもなんかデカいんですよね。家具も立派だったり、いっぱい物があったりして「なんでなんだろう」って。物はあるんですけど、貧困でもあるっていう、本当にアメリカ社会を象徴するような映像だったんですよね。あともう一つがSNSの影響です。昔は、お店に行って、いろいろ見て、自分のお金も見て、本当に悩んで買ったんですけど、今はお店に行く前に、まずTikTokを開きます。いろんなトレンド動画が流れてきて、最初は「いらないよね」って思っても「ちょっと欲しいかも」ってなっちゃうんですよね。このトレンドに参加してみたいってなっちゃうんですよね」
武田「ボク、TikTokって未だに一度も使ったことないんですけど、そんなに欲望を刺激されるんですかね?」
西村「ワタシも登録しただけで見てないんですよ」
武田「トレンド、語れないじゃないですか」
マライ「ワタシはYouTubeは見るんですけど、そこでTikTokのトレンドが紹介されるんですね。最近、TikTokにショップ機能がついたんです。だからティックトッカーが紹介する物が、そこで買えちゃうわけなんですよ。だから、ある意味お店と化してるんですよね。実際、2025年のYouGov(ユーガブ)の調査で、アメリカのTikTok利用者の30%が過去1年間にTikTokショップで購入経験があると答えてるんですね。30%ですよ。買っちゃうんですよね。しかも、その購入者のかなりの割合が100ドルを超える年間購入をしていると。だから、「ちょっと」ではなくて「かなり」買ってるってことなんですよね。トレンドをずっと眺めると「あなた、これが好きなんだね」って、アルゴリズムが気づくわけですよ。そして、似たような動画がまた来るわけですよね。それが例えば限定販売とかだったりすると「今買わないとダメかも」っていう、いわゆるFOMOですね。Fear of Missing Outっていうやつですね。あともう一つ、Restock動画ですね。補充する動画。だいたいね、袖をなぜか指まで伸ばしてる。なんか変な、袖の腕が。(笑) なんていうんですか?」
武田「なんなんですかそれ? 袖の腕が?」
マライ「袖をこう、女子高生が時々やってる、指先がちょこっと出る袖ってあるじゃないですか。あれ、なんか言葉あるんですかね?」
西村「萌え袖?」
マライ「萌え袖状態の人が出てくるんですね。だから腕しか登場しないんですけど、その萌え袖腕がとにかく補充していくんです。いろんな物を、例えば冷蔵庫にですよ。音楽はないんです。ただASMR的に、チャッチャッチャッっていう音だけが聞こえてくるんですね。で、徐々にいろんな物がリストックされるんです。缶だったりチーズだったりとか、パッケージから出して入れるんですね。それが出来上がると、ものすごく美しく、カラフルな冷蔵庫になって「おしゃれで高級で最高だね」みたいな感じになるんですね。同じように引き出しのリストックみたいなのが、ポンポンポンって、いろいろ入れるんですね」
武田「その音が気持ちいいとか、整列してる感じが気持ちいいっていうことなんですかね」
マライ「それもありますし、やっぱり物がいい感じにあふれる。その中にはちょっと高級な物も入ってたりとかしていて、それを眺めると、なんか気持ちよかったりするんですね。ちなみに、なんで萌え袖なのかわかんないですよ。でもなんか萌え袖じゃないといけないらしいんですよ」
武田「匿名的であればあるほどいいってことなんですかね」
マライ「それでネイルしてるんですよね。ちょっとなんかお姉さん的な感じで…」
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