大躍進のドイツ極右政党AfDとは? 「生活の不満が大きいほど人気」ドイツ人が解説

大躍進のドイツ極右政党AfDとは? 「生活の不満が大きいほど人気」ドイツ人が解説

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。9月7日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏とトークを繰り広げた。

マライ「今日は、ドイツ地方選で極右政党の勝利というテーマです。ご存知かもしれないですけど、昨日ドイツではザクセン・アンハルト州で選挙がありまして、予想通り極右政党AfD――ドイツのための選択肢っていうんですけど――が大勝利を収めました。これは国際的に騒ぎになっていて、トランプ大統領も自分のSNSに投稿してるんです。それだけ注目されているんです」

武田「このザクセン・アンハルト州っていうのはどういう場所というか、どういう位置づけなんですかね?」

マライ「これは、昔、ドイツが2つに分かれた時の旧東ドイツエリアの真ん中ぐらいにあります。そこそこ大きな州です。そこで極右政党が大躍進しました。まだ、最終的な選挙結果は出てないんですけれども、だいたい44%の票を獲得したのではないかとされていて、前回の州選挙――5年に1回なんですけど――から倍増してるんです。今、確実に言えるのは、第一党になったということです。この、圧勝したAfDとはどんな政党なのかというと、2013年にユーロ危機があった時にできたんですね。最初は完全に経済政党で、メンバーは学者が多かったんです。で、ユーロ危機が終わると、この政党も消えるのかなと思いきや、2015年にいわゆる難民危機があって、それ以降、すごく勢力が拡大してるんです。その時の世論に合わせて主張がどんどん変わり、反移民コースになっていったんです。ドイツには戦後ずっと極右の人がいて、その人たちをうまく取り込むことができた上、一般市民も――その時の不満っていろいろあると思うんですけど――うまく吸収したポピュリスト政党です。生活環境の不満が大きければ大きいほど人気が出るんですね。ポピュリスト政党なので、簡単な解決方法を約束しちゃうんです。「我々にさえ投票すればうまくいく」っていうことです。路線としては親露派です。ウクライナ戦争の即停止を求めてるんですね。ウクライナが完全に負けて自分の領土を失ったとしても、これでいいんですって主張しています。あと、反EUだったり、反NATOだったりするんですけど、興味深いことにトランプ政権は好きっていうわけでもないんですよね。アメリカに対してはちょっと懐疑的な部分もあるんですね。逆に、他のEUの右派政党と仲がいいかっていうと、それも違っていて、フランスのルペン氏と前は仲良かったんですけど2年前から急に変わって、ルペン氏はAfDと一緒にされたくないと発言しています。だから面白いことに、同じ右派ポピュリストの政党でも仲が悪かったりするんですよね。ちなみに決別の理由は、AfD側のナチス擁護発言でした。もしかしたら皆さんは、ワタシがなぜAfDを極右政党と呼んでるのか気になっているかもしれません。それには理由がちゃんとあります。ドイツでは実は極右に法的な定義があるんですね」

武田「法的な定義がある?」

マライ「ちゃんとあります。ドイツはやっぱりナチスの過去があるので、組織とか団体を極右として認定できる機関――憲法擁護庁っていうんですけど――を設けてるんですね。その判断基準ははっきりしていて、ドイツの基本法――憲法ですね――の中に変えられない永久条項というのがあって、それがベースになっています。例えば、ドイツの基本法の第1条は、人間の尊厳の不可侵です。人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し及び保護することは、すべての国家権力の義務であると書いてあります。要するに、ヘイトしてはいけない、差別してはいけないというようなことなんですね。それこそ、ナチスの過去から学びましたっていうのが、よく現れているものなんじゃないかなというふうに思います。あともう一つ、第20条は国家秩序の基礎になってます。ドイツは連邦制でないといけないとか、民主主義でないといけないとか、そういうようなことを決めてるんです。あと、もし、非民主主義的な動きが出てきたら、国民は抵抗する権利を持ってるんです」

武田「大切な情報が含まれてますね」

マライ「すごく大切で、だからこそ永久条項になっているんです。もう変えられないんですよね。ドイツって憲法は結構変えちゃうんですけど、この部分に関しては変えられないようになってるんです。そういう永久条項とか、ドイツの基本的な価値観に反するような動きがあったら極右認定ができるんですね。だから、勢力が拡大したらもう極右じゃないんじゃないのっていう言説自体がポピュリズムなんですよ。で、2025年にAfDは、その憲法擁護庁によって確実な右翼過激主義政党として評価されたんです。なんですけど、民主主義なのでAfDは提訴できるんですね。結局、裁判になって判決が出るまでは「極右疑い」になったんですね。しかし、ここが大事なんですけど、今回の選挙があったザクセン・アンハルト州のAfD支部は、ガッツリ極右認定されてるんです。だから、適当に極右と呼んでるわけではなくて、認定済みで疑いがないわけなんです。で、なんで、そうなってるかっていうと、人間の尊厳違反。例えばイスラム教徒を2級市民扱いしたりとか、全員を危険人物として呼称したりしてるわけなんですよね。あと、反ユダヤ人発言とかもよくあります。あとは…」

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