「チャーハンについて書いたおそらく初めての本」チャーハン・ヒストリアン石田かおるさん

「チャーハンについて書いたおそらく初めての本」チャーハン・ヒストリアン石田かおるさん

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お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜11:30~15:00)。9月28日の放送は大竹まことがお休み。ゲストに、NHK出版から発売中の『チャーハンという迷宮: なぜ国民食になったのか』の著者である記者でチャーハン・ヒストリアンの石田かおる氏を招き、文筆家の古谷経衡氏と月曜パートナーの阿佐ヶ谷姉妹とともに話を聞いた。

江里子「本日のお客様をご紹介いたします。この度『チャーハンという迷宮: なぜ国民食になったのか』というご本をお出しになりました記者でチャーハン・ヒストリアンの石田かおるさんです。チャーハン・ヒストリアンという肩書き、初めてお聞きしたんですけれども、これは?」

石田「もともとワタシは取材をして記事を書く記者で、今回の本も所属していた週刊誌AERAで書いた記事がベースになっています。で、この本を出版するにあたって出版社から「チャーハン研究家みたいな肩書きをつけられないか」って言われたんだけれども、ちょっとチャーハン研究家っていうのは違うかなっていう気がして、半分シャレでいろいろ考えた中で自分で、チャーハン・ヒストリアンっていうのを考えたんです」

江里子「確かに研究家っていうと、ちょっとお料理の研究家とかそういうイメージ。チャーハン・ヒストリアンは初めて聞く言葉ですので」

美穂「興味が湧きますね。チャーハン・ヒストリアンって」

石田「そう言っていただけると嬉しい」

江里子「チャーハンはすごい言ってるはずだけど、ヒストリアンはそんなに言わないかもしれない」

石田「だからワタシも肩書きつけるときに細かい話ですけどチャーハンとヒストリアンの間に中黒を入れるべきか入れないべきかも、3日くらい悩みました」

古谷「どっちでしょうね。入れない方がいいんじゃないですか」

江里子「ワタシは入れた方がいいと思う」

美穂「あった方が読みやすいです」

江里子「またここでも古谷さんを少数派にしてしまいました」

石田「ワタシなりにはちょっと理由があると思っていて、一つにはワタシもこの本に取り組むまでチャーハンの歴史は全く知らなかったんですね。何々の起源みたいな本って世の中にいっぱいあるんですけれども、実際ワタシも調べてみると、ラーメンとか餃子っていうのはすごいザクザク出てくるのに、すっぽり抜け落ちたような感じでチャーハンだけはなくて、論文とか専門書とかも散々見たんですけれども全然なかったので、多分チャーハンについて書いたおそらく初めての本になるだろうっていうのもあってヒストリアンにしたっていうのと、あと、ちょっと本を読んでいただけるとわかると思うんですけれども、チャーハンの本と言いながらもチャーハンを起点に結構寄り道の多い本なんですね」

江里子「本当にチャーハンは広がりがある。まずは、チャーハン・ピラフ論争。中華なのか洋食なのか。そこの定義付けだけでも挫折されそうなところを、今回このチャーハン・ヒストリアンの石田かおるさんがまとめあげられたっていう、素晴らしい本を残してくださったなって感じしました」

古谷「ワタシも当然読ませていただいたんですけれども、本当に密度の濃いご本で。まさに戦前、明治ぐらいからの日本の近代史とリンクしていくわけですよね。もちろん戦後史もそうなんですけれども、こういう構成だとは。趣旨というのは日本の近現代史におけるチャーハンですよね」

石田「そうですね。ワタシとしてはチャーハンっていう乗り物に乗って、明治の初めからこの令和まで、なんか時間旅行をしたみたいな、ちょっと自分の中ではちょっと紀行文みたいな感覚もあって。でも結局、チャーハンの始まりを調べるとなると、明治から大正にかけて、中国料理がどんな風に日本社会の中に入っていくのかということを追っかけることになって、それは本当にいろんな人やドラマがあってすごく面白かったし」

古谷「全然知らないことばっかりでした」

江里子「そもそもこのご本を書いたきっかけを教えていただいてもいいですか」

石田「話は9年前ぐらいに遡るんですけれども、当時ワタシは週刊誌AERA編集部の記者で、2017年にNHKの国民的料理番組『きょうの料理』が60周年を迎えたので、ワタシが企画提案をして大型の特集記事を書いたんです。その後、かいつまんで話すと、しばらく経って担当デスクから無茶振りされたのがきっかけっていうか、雑談してた時に突然そのデスクが「最近のチャーハンっていうのはわけがわからない」って言い出したんです。どういうことかっていうと、そのデスクのお母さんの持っている――80代ですよ――江上トミの料理本にはチャーハンは冷たいご飯で作れと書いてあるって。江上トミさんは戦後の料理研究家の草分けなんですけれども、それなのに最近のチャーハンは「温かいご飯で」と書かれているものが多いし、卵についても先に炒める方法もあれば後からというのもあるし、とにかく何だかわけがわからないから、『きょうの料理』の60年分のチャーハンの作り方の変遷を調べて何が正解なのか白黒はっきりさせてと言われたのがそもそもの発端で。でも、ワタシはやりたくなくて」

江里子「やりたくなかった?」

石田「そうです、やりたくなかったんです。難しいと思って何度も何度も言い返したんです。でも、デスクに押されちゃって、やらざるを得ない状況に追い込まれたっていうのがそもそもの始まりです」

美穂「おすすめ上手なデスクさんだったのかしら」

江里子「いやもうとにかくやっぱり強かったね、押しがね」

石田「まあ立場がありますからね」

美穂「もともとチャーハンはお好きだったんですか?」

石田「そうじゃなくて、ワタシが嫌だった理由の一つというのは、ワタシにとってチャーハンっていうのは週末とか、寝坊して起きてきてガサゴソなんか冷蔵庫の残り物を見て適当に作るものだったので、正直、温かいご飯とか冷たいご飯とか卵は先とかそういうことにも本当全く興味がなかったし、むしろそういう気楽さこそがチャーハンの持ち味だろうと思ってたんで、そこが一番気が進まなかった部分ですね」

古谷「雑誌の特集から発端っていうところは、舞台はちょっとだけ違いますけど、『美味しんぼ』の山岡士郎みたいですよね。あれは新聞の企画から始まってるわけだから」

石田「そうですね、似たような感じ。それは初めて言われたし、自分でも「あ、そうなのか」って」

江里子「ワタシたちもどちらかといえば、チャーハンっていうのはまさしくその…」

美穂「お家にある余り物で」

江里子「これでいいか。卵があればみたいな」

石田「今日、せっかくの機会なので、阿佐ヶ谷姉妹さんはどんなチャーハンを作られるんですか」

美穂「ちょっとワタシのは人に見せられないようなチャーハン。チャーハンに怒られる」

江里子「見せられなくてもいいから、ラジオで言ったらいいわよ。芸人なんだから、さらけ出しちゃってちょうだい」

美穂「さらけ出して言いますと、大体まとめてご飯を炊いたらおにぎりにして冷凍してるんで、じゃあチャーハンしようかなってなったらそのご飯をチンして、あと余ってる魚肉ソーセージとか。まずそこからチャーハンにこだわる方は違うって言うかもしれないけど」

石田「いや、それこそがチャーハンなんですよ」

美穂「余ってたらキムチ入れちゃったりとか」

江里子「なんかカレーの粉入れてたりしなかった?」

美穂「カレーの粉を入れるとカレーピラフになっちゃうのかな。でもカレーの粉を入れる時もあります。そしたらなんか人参の切れ端とか入れて。卵がまた怒られるかもしれないんですけど、なんか別で炒めてから入れた方が美味しそうな気はしてるんですけど、めんどくさくって、だいたい全部が炒まった後に、ボトッと上から落として、ぐちゃぐちゃ混ぜて食べてます。だから、フワフワしてるとかパラパラしてるとかじゃなくてベッタリです」

石田「それが本当。なぜチャーハンが国民食として支持されてきたかっていうのは、まさにそこの部分で、すごいすっぴん顔で向き合える料理がチャーハンなんですよ」

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