「円の過小評価」を日米で問題視 「為替レートを政治的に動かすのは合理的ではない」

「円の過小評価」を日米で問題視 「為替レートを政治的に動かすのは合理的ではない」

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9月29日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、「円安をめぐる日米の動き」について意見を交わした。

財政が緊縮寄りになってしまったら元も子もない

外国為替市場で対ドルの円相場を巡る動きが激しさを増してきた。日米政府内から円安をけん制する発信が相次ぎ、円は一時1ドル=156円台まで急伸した。週内には日銀金融政策決定会合の「主な意見」や米雇用統計の公表を控える。政府・日銀による為替介入への警戒感も再燃し、神経質な値動きが続きそうだ。 

9月22日に行われた日米首脳会談でトランプ米大統領から円安への懸念が示され、高市首相も「円の過小評価は問題」と発言。これによって市場には、日米の当局が今後も円安是正に踏み込むという見方が広まった。 

「トランプ大統領が円安傾向を懸念。こちらについて田中さん、どう見ていますか?」(寺島アナ) 

「円安円高っていう話で、本当に日米両国が今の為替レートをお互いが問題視するんだったら、率直に言って固定為替相場制に戻せば? っていう批判的な意見を私は持ってます。為替レートの動きの背景にあるのは、アメリカが望ましいと思っている金利の状況に違いが出てくるんです。つまり円安円高の動きは、アメリカと日本の金利の格差、あるいは方向性によってもたらされていると言えます。いわゆる『円キャリートレード』です」 

「はい」(寺島アナ) 

「ああいったものが活発化すると円安傾向にいく。これがアメリカ側にとっては好ましくない。アメリカは“金利を低くしたい”、さらに“日本の金利も高くしてほしい”と思っているんです。そうすると『円キャリートレード』は反転しますから、当然、円高ドル安方向になる。この二つの効果が経常収支の赤字化を防ぐ。つまり貿易上、あるいは資金の動き上で、アメリカが各国にとって優位に働く計算があるんです」(田中氏) 

「ええ」(寺島アナ) 

「でもそれって経済学の理屈に基づいていませんから。金利っていうのは、その国の実体経済に合わせて、景気が過熱すれば上がるのが望ましいですし、逆に経済が停滞していれば金利が低いのが望ましい。いまアメリカ経済はインフレ懸念があるから金利を上げていったわけです。そういったことを無視して、ただ“金利が低い方がいい”ってのは全然合理的じゃないですよね」(田中氏) 

「はい」(寺島アナ) 

「でも合理的じゃないことをやっているので。例えば『国際不確実性指数』っていうのがあって、これが去年から急上昇しているんです。リーマンショックやコロナ禍の比じゃないですよ。トランプさんの関税戦争ですよね。その後に中東危機。この見方も色々あって、トランプ贔屓の人が日本にもいますが、やはりアメリカがイスラエルと共に戦争を拡大したとだけは間違いないと思うんです。つまり世界経済の最大のリスクはトランプ要因なんです。つまり不確実性っていうのは、非合理的なものなんです。非合理的な政治家が世界経済や日本に無理な要求をしている」(田中氏) 

「はい」(寺島アナ) 

「残念ながらアメリカの声を聞かなきゃいけない政治的な配慮があるので、高市さんも『円の過小評価は問題だ』と。これ投機的なものを抑制するニュアンスなら良いですが。僕は、片山さつき財務大臣は批判してもいいと思ってますが、彼女からすると本音では財務省的な緊縮財政をしたいわけです。“高市さんはリフレ派ではない”と国際メディアは言うわけです。『リフレ派=円安をもたらす極端な金融緩和を望む集団』というレッテル張りに片山さんは貢献しているわけです」(田中氏) 

「レッテルですね」(寺島アナ) 

「でもそれはアベノミクスの批判なので。もしそれを国内で強調すると、高市政権を支持している岩盤保守層はほとんどアベノミクス支持層ですから。それを失いますよ。実際いま、各種世論調査を見ると若年層を失いつつあります。“保守の岩盤が戻ってきている”と喜んでいる人もいますが、僕はそんな甘くないです。財政が緊縮寄りになってしまったら元も子もないと思っているわけです。それを防ぐためには緊縮の芽を摘む。今みたいな発言を見ていると、僕は、片山さんは財務大臣から外すべきだったと思います。だって、会田卓司さんとか若田部昌澄さんに対する批判は、財務省が流しているのは明白なんですよ」(田中氏) 

「そうですか」(寺島アナ) 

「利上げスタンスを促すような形では、住宅ローンの負担が増えてきたり、中小企業の資金調達の負担が増えてきたり、ボディーブローのように効いてきているんです。そのなかでさらに利上げしていくとか、そんなことをやったら政権が持たないですよ。でもそれに片山さんは加担し始めている。副大臣など周りも官僚出身者で固めすぎちゃっているのもあるので、そういうところも懸念しています」(田中氏) 

「それって、外圧を利用してるって感じもあるんですか?」(寺島アナ) 

「ありますね。ただ、さっき言ったように外圧は非合理的な人たちなので、手のひら返して立場を変えますから。中間選挙が近いという政治的な状況もあるので、調子にのってトランプさんの風に乗ると、あとで大けがするのは自民党、高市政権自体です。その後にくるのは、茂木さんならニュートラルだけど、林芳正さんとかの政権にいっちゃったら超緊縮をやるに決まってます」(田中氏) 

 

〈出典〉 

強い円へ日米タッグ、雇用統計・日銀が波乱要素 防衛ラインは160円? | 日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB251810V20C26A9000000/) 

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