「候補者の顔を1秒見ただけで」 研究結果から見た、選挙と感情の結びつき
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。9月30日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、人間の感情が選挙結果にどう影響するのか、研究結果を元に分析した。
勅使川原真衣「9月26日に行われた『武田砂鉄 ラジオマガジン増刊号』、曜日レギュラーの皆さんのディスカッションにも大変刺激を受けまして、皆さん面白かったんですけども、今日は中でも中島岳志さんのお話から、ちょっと引き継いでお話をしてみたいなと思ってるんですね。
中島さんは何をおっしゃったかというと、私の意訳なんですけど『こうかな』と思うことをお伝えしたいんですが、外交の場での高市総理の振る舞いを見た時に思うこととして『ちょっとみっともないな』とか『もう勘弁してくれ』っていうような思いがありますよねって話をされてたと思います。
なんだけども中島さんのお話のポイントは『あれって、本当に高市さんだけの問題なんですかね?』というようなことをおっしゃってたと思います。
そう、なんかこう『強いものに認められたい』とか『強い側に立ちたい』とか『英語はうまく話せないんだけど、世界と渡り合ってます風に、堂々としている姿を見せたい』みたいな、ある種のダサさですけれども、ダサさっていうのとか、時に惨めなほどの必死さっていうのは、実は私たち一人一人の中にもちょっとあるんじゃないの?っていうことを話されていました。
それ故に面白いなと思ったのが、笑って完全に他人事にしきれなくなってしまう。なんか鏡に映った嫌な自分を見てるようで、切るに切れなくなってるっていうのが、下がらない支持率の話にもつながってるんじゃないかっていうような見立てをされていました。あれ、どうでした?」
武田「でもそれってネガティブに取る人も多くいるだろうけど、『ポジティブにできないなりに頑張ってるじゃん』みたいな、そういう応援に切り替わる可能性っていうのも多くあるわけですよね」
勅使川原「そうですね、諸刃でありますよね。私もその諸刃を分かった上でですけども、『いやちょっと分かるな』というのは思いました。
『なんだこの人って、結構呆気に取られる部分が多いんですけども、かといって自分は全く関係ないかというと、なんかちょっと引っかかるところがあるんですよね。
なので自分の中の弱さを嫌悪するような、その弱さみたいなものを、彼女の言動から見てしまうような気がして、本来国の代表者を不適格だって批判することは必要なことなんだけども、それも含めて自分を否定するようで、なんかしづらくなってしまうみたいな、本当ねじれた社会のありようっていうのが見えてくるなと確かに思いました。
で、これを『人間って、愚かですね』とかいうのは簡単なんですけども、話はここからだと思ってまして、特にこの感覚を選挙という場に無自覚に持ち込むと、どうなっちゃうのかなっていうのはちょっと考えた方がいいかなと思っておりまして、今日は、『選挙と人の感情はどう結びついているの?』ってお話をしたいと思います」
武田「はい」
勅使川原「これはもういろいろと実験とか研究されている分野でして、いくつか紹介したいんですけれども、私たち候補者のことをマニフェストとか、実際の実績とか、権力の使い方とか、説明責任どう果たしているかなってことを見るより先に、なんとなく『この人本当よく見るなあ、人気あるのかな?』とか『自信ありそうだな、強そうだな、いいな』みたいな形の、本当低い解像度で人物像っていうのを判断してしまうところがあるというのが研究でわかっているそうです。
実際にある心理学の実験では、架空の候補者についてニュースで繰り返し名前を見せただけで、その後の模擬選挙でその方、名前を見せられた順に選ばれやすくなるということが分かっているそうなんですよね。これもちろん国政選挙で再現した実験ってことではないんですけども、『よく見る』っていうくらいのある種薄い情報が、判断に入り込む可能性っていうのはあるという指摘だと思います。+
さらに別の研究では、これすごいですよ、候補者の顔を1秒だけ見せて抱いた『有能そう』とか『仕事できそう』みたいな印象、これ実際の米国議会選挙の勝敗と関連してるんですって。これ『顔で選挙って決めちゃうんですね』とかいう話ではないんだけども、そのくらい早く薄っぺらい情報から人物像を作るんだということは知っておきたいなと思います」
武田「まあ選挙のたびに名前を連呼したりとかね、駅の前で立って何を言うわけではないんだけど、とりあえずお辞儀をし続けてみたりするっていうのは、選挙投票する時に『なんとか駅で見たな』とかね、『名前聞いたな』みたいな、そういう判断、やっぱりこう人は多くはね、それに応じるということはあるからこそみんなそれをやるわけですよね」
勅使川原「その通りですよね。と思うと、選挙を始めとする民主主義っていうのは、成り行きに任せればなんとかなるってものじゃなさそうだなと思えてきませんか?その工夫というか努力がないと、なかなか維持継続できないんだろうなというふうに思います。
なぜならば、繰り返しですけども『目立ってるな』とか『印象的だな』っていう印象論に引き寄せられがちな私たちなわけですよね。だけども改めて言うならば、印象論と『この人に政治を任せられるかどうか』っていうのは全く別の話でありますが、それが頭の中で本当に混ざりやすいので、しかもこの世はアテンションエコノミーと来たらどうなるか。これ本当に私たちの判断がハックされる状態にあると思っておいた方がいいですよね」
この後も、勅使川原真衣さんによる、選挙と人間の感情の結びつきなどについてのお話はまだまだ続きます。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。
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