女性を「資源」として動員? 「女性版骨太の方針」3年分に漂う、危うい空気。

女性を「資源」として動員? 「女性版骨太の方針」3年分に漂う、危うい空気。

Share

フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。7月8日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、政府が毎年発表している「女性版骨太の方針」3年分を読んで、そこから受けた印象や懸念などについて語った。

勅使川原真衣「今日は『女性版骨太の方針』のお話をしたいなと思っています。
聞いたこと、または読んだこと、ありますか? 皆さん。
政府が女性活躍と男女共同参画を加速させるために『女性版骨太の方針』として
『男女共同参画局』のホームページで発表しているんですが、
それの2024、2025、2026年の3年分を読んできましたんで、そこから何が
見えてくるかっていう話をします。
書かれていること一つ一つは基本的に大変大事でありまして、
男女間賃金格差の是正であるとか、女性管理職比率の公表とか、
ハラスメント対策、仕事と育児・介護の両立、性暴力・DV対策、防災への
女性参画。これが大事じゃないとは全く思いません。
ですけども、3年分比較してみるとなかなか違和感が出てきまして。
端的に先んじてお伝えすると、年を追うごとに、女性の尊厳や自由を守るっていう
トーンよりも、女性をどう経済成長、地域維持、安全保障の担い手として
動員するか、そういう色が濃くなっているように見えたんですよね」

武田砂鉄「うん」

勅使川原「なので、今日はですね、『もっと頑張れ』ということが活躍推進に
本当になるんだろうかっていうような問いをもとに、この『女性版骨太の方針』
3年分を読み解いていきたいと思います。
ちなみに今日はその『女性版』ってついている話をしますけども、これ女性だけの
話ではもともとないわけですよね。
多様な属性の中でも、いわゆる少数派がどう社会で扱われていくかの可能性に
繋がっている話ですので、ぜひ関係ないと思わずにお耳拝借できればと思います。
この『女性版骨太の方針』ですけども、毎年6月に政府決定して、8月末までのその概算要求に流し込むっていう年次パッケージになっているそうです。
この名前での起こりは2015年、安倍政権下なんですよね。
『すべての女性が輝く社会』を最重要政策の一つとしていましたから、
成長戦略の一環であり、女性の権利政策として立ち上がっていると。
これ、『骨太の方針』っていうのは安倍政権下の2015年からですけども、
民主党政権下にももちろんありました、女性活躍政策そのものっていうのは。
2010年の菅さんの時の第3次男女共同参画基本計画であるとか、そのあとの
野田政権下での2012年、これ結構ネーミングがあれでして、『働くなでしこ大作戦』と」

武田「『働くなでしこ大作戦』(笑)、はあ~(ため息)」

勅使川原「っていう感じのがあったと。まあ、M字カーブの解消なんていうのは
未だに重要な話題ではあるのでいいんですけども、それが安倍政権以降
どうなっているのかという視点で見ていきたいんですが。
まず2024年版ですが、これ6月に出てますので、ギリギリ岸田内閣ですよね。
企業における女性活躍っていうのと、女性の所得向上・経済的自立っていうのと、
あとは個人の尊厳と安心・安全っていう3本柱に近い構成になっているようです。プライム市場上場企業の女性役員比率の話なんかよく出てきますし、
あとはカッコ付きですけども『リスキリング』っていう言葉であったり、
賃金差の見える化等々、色々並んでいます。
経済成長を女性活躍と結びつけるっていう動きそのものは、もうすでに
ここでも見られているんですよね、岸田内閣の時も。
岸田さんも『成長の果実としての再分配』とかいう言葉がお好きでしたので、
このトーンはすでにありました。
女性活躍が企業価値向上やイノベーションと繋がるっていう形ですね」

武田「はい」

勅使川原「続いて2025年版はどうかって風に繋げていきたいんですけども、
こちら6月なのでやはり石破内閣の時代になります。
ここちょっとトーン変わって『女性に選ばれる地域』っていうのが最初に出てきまして、
『女性が地方を離れるのはなぜか』『地方が女性に選ばれないのはなぜか』っていう形で
問われているんですけども……いや、その問いも大事だとは思いますよ。
確かに地方って根強い性別役割分担意識みたいなのがありますし、雇用機会の
乏しさもあるでしょう。それから賃金格差とか、人間関係がまあ割と閉じてるところも
確かにあるとは思うんですね。
なんですけども、そこを変えない限りにおいては、『なんで女性って
戻らないんだろうね』とか、『なんで残ってくれないんだろうね』って問うても、
『まあしょうがないんじゃないかな』って思ったりするわけです。
なので女性が地域から出て行く理由を問うっていうのは、それ自体必要では
あるんですけども、それがいつの間にか『女性が逃げない地域づくり』とか、
地域を維持するために女性に残らせる政策みたいな形にすり替わると、
これは危険だなという風に思うわけです」

この後も勅使川原真衣さんは、一番気になると言う2026年・高市政権下での「女性版骨太の方針」の紹介や懸念点などについて、詳しく語っています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

「武田砂鉄 ラジオマガジン」は月曜~木曜 8:00~11:30、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

この記事の番組情報


武田砂鉄 ラジオマガジン

武田砂鉄 ラジオマガジン

月~木 8:00~11:30

その他の主な出演者

政治、経済、芸能、カルチャー… 大事なことから大事じゃなさそうなことまで・・・ライター武田砂鉄が”あなたの耳の渇きを潤す”3時間半の生…