自らをキリストに見立てた絵をXに投稿し、炎上。トランプ大統領は本当に大丈夫なのか
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。4月16日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、木曜前半レギュラーの日本文学者・ロバート キャンベルが、アメリカのトランプ大統領の「“ミーム”の失敗」について、詳しく分析した。
ロバート キャンベル「この1週間、いろんなところでいろんな場所で、ちょっと面白い、すごくちょっと感動するような絵を見たわけですけれども、一つはですね、僕がパソコンを開いた時に目に飛び込んできた、すごく気になる図像がありました。これは政治家に関わることですけれども、政治家、特に右翼と言われる世界のリーダーたちは、自分の支持者たちを焚きつけるために、“ミーム”というものをすごく効果的に使うということは知られていると思うんですね。
“ミーム”というのは、SNSですとかウェブサイトを通じて拡散させる、面白い動画や画像、フレーズなどの短い、ちょっと文化的なネタのことですよね。
短期的にたくさんの人たちに届きますし、自分の主義主張に引っ張ってくる力、そういう有効性があるというふうに言われていますが、間違えればブーメラン効果じゃないんですけど、自分に跳ね返ってくることもあります」
武田砂鉄「はい」
ロバート「特に右翼と言われる強権的な政治を名乗っている政治家たちには、すごく使われることが多いということが、この数年間の流れなんですよね。
2月にトランプ大統領がオバマ大統領夫妻をゴリラに見立てて、すごく悪質な人種差別的な動画を投稿して、すぐに削除をしたわけですけれども、共和党の支持者たちからもすごく非難されたということが記憶にあるとは思います。
それが日曜日の夜遅い時間に、トランプ大統領が一枚の絵を投稿しています。これ日本でもニュースになっていましたが、トランプ大統領がまるでイエス・キリストのような姿、白いローブをまとって、日本で言えば『陣羽織』みたいな、赤い打ち掛けみたいなものを着ていて、病床にいる白人男性に手を当てて、手の中から光が出ていて、その人を治す、癒すというような絵です。
この絵自体が、オールドメディアというか、古い図像でして、『キリスト・ザ・ヒーラー』というふうに、よく言われるわけですけれども、キリスト教的なイコノグラフィー(図像学)の中で、手の中から光が放たれ、病人を治す奇跡を起こすということですね。
つまりトランプがイエスに見立てられているということなんですね。彼の周りには5人ぐらいの白人の男女がいまして、軍人だったり看護師と思えるものがそれを見上げて崇めているような図像なんですね。
で、『これはちょっとやばいな』っていうふうに思ったらば、キリスト教の人たち、特にカトリック系の人たちは大反対をしているわけですね。
ちなみに砂鉄さん、子供の頃に実家の壁にいろんな絵とか写真は飾ってありましたか?」
武田「僕、中学高校がプロテスタントだったもんですから、こういう宗教画っていうものがどういうものなのかっていうのは、いわゆる普通の学生さんよりはよく見てた。家の中にはあんまりそんなになかったですけどね」
ロバート「実はアメリカ人の5分の1、20%がカトリック教の信者と言われていまして、教会とか学校とかも、今おっしゃったように個人の家に行くと、もうたくさんの絵が飾られているわけですよね。
これ高いものじゃないんです。キリスト教を代表する聖人の肖像画ですとか、そういうものをプリントした、すごく安いと言いますか、誰でも使えるようなもので、聖書の場面を描いた水彩画ですとかが、壁とかサイドテーブルに普通にかけられているわけですよね。
つまりあの、いわゆる聖なる像ですね、『聖像』を大切にする文化というものがアメリカにもあるわけで、プロテスタントとも、多分ほとんどの日本人ともやっぱりちょっと違う感覚があるわけですね。
まあ昔は文字が読めない人たちがたくさんいて、物語を画像でそれを伝えていく、、奇跡を伝えていくということがあったわけだし、私の実家というのは労働者階級のアイルランド系の移民だったわけですね、祖父や祖母が。
全然広くないアパートの中に、例えば僕の寝室に、僕が眠っている姿を見守るマリア様の肖像があったり、廊下に出るとイエス・キリストが打ちつけられた姿の木製の十字架がかけられていたり、なぜか玄関のそばにはいつも、当時のローマ法王がローマ・パウロ6世だったということを記憶しているんですけど、その写真がかけられていて、帰ってくるとまずお母さんたちより先に、ローマ法王と目線が合うというような、それこそ内容も形態もオールドメディアなんですけれども」
武田「うんうん」
ロバート「トランプ氏が今回やっていることは、オールドメディア人の本当に神経精神的な、その信条の一番奥にあるものを、ニューメディアのこの“ミーム”に使って、失敗をしたということが言われているわけですね」
この後、ロバート キャンベルさんが今回のトランプ大統領の失敗について、何がいけないのか、今後の政策や立場にどう影響を及ぼすのか、など詳しく説明しています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。
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