政治が迷走? 現在「もっと働け!」的な制度が進んでいるという現実

政治が迷走? 現在「もっと働け!」的な制度が進んでいるという現実

Share

フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。4月22日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、迷走とも思わせる働き方に対する新たな制度が進んでいる件について苦言を呈した。

勅使川原真衣「今、『もっと働け』って言われてるかのような、なんかいろんな制度が決まりかけたりとか、進んでるような気がしますので、その件を揉んでみたいと思います。
私から見ると『政治迷走してるな』という印象です。例えばですが、自民党日本成長戦略本部の提言というのが4月9日にあったようですけども、労働基準監督署がですね、『時間外労働を月45時間以内に削減するように』っていう風に一律に指導してるわけですけども、その一律の指導を見直すべきだというのがね、飛び出したわけなんですね。
『ちょっと待ってください! この国、今以上に働くこと、それが必要なことなんでしょうか?』と思ってます。
まず、事実を確認しておきたいんですけども、月45時間っていうのは、2019年施行の働き方改革関連法で定められた、時間外労働の上限規制です。
『特別条項付き36(サブロク)協定』っていうのがあって、繁忙期とか臨時の業務増があった時っていうのは、まあ例外があるわけですけども、それでも『年720時間以内ですよ』とか、『単月で100時間未満ですよ』とか、複数跨いでも『80時間以内ずつにしてくださいね』とか、『45時間超えっていうのは合計でも年6ヶ月間までですよ』っていうような、歯止めがかかってるわけなんですよね。
それをなぜ見直したいかと言いますと、まあ一応人手不足だとかね、人口減だとか、そういう話があるわけですが、だから働く人数を増やすか、一人ひとりの労働時間を増やすしかないんです、というのはね、『やっぱりちょっと拙速だな』と思うわけです。
しかも、今回狡猾だと思ったのがですね、『時間緩和します、労働時間の上限をもっと緩和します』ってことは言わないわけですよね。
そうじゃなくて、『労基の画一的な指導に問題があるんじゃないか』みたいな言いぶりで、そこを見直そうとしてるあたりも、『まあちょっとな……』と思います」

武田「なんかこう、本来の目的からずらすというか、騙そうとするっていうのが多いですよね、この件に限らずね」

勅使川原「そう思ってしまうんですね。『真っ先に長く働けるようにしよう、働き方改革だ!』って、そこは違うんじゃないかと思います。
もっとね、ここで問われるべきは、『なぜ長時間労働に頼らないと回らないのか?』とか、『そもそも賃金が低すぎるんじゃないか?』ってことですよね。それとか『まあ強いて言えば人員配置とか育成のやり方に改善の余地があるかもね』ぐらいはぜひ問うてほしいところですけども。
そもそもこの働き方改革関連法って、こんな『もっと働け』トーンでできてないんです。元々は『少子高齢化で労働人口が減るよね』と。
まあそれはそうなんですけども、じゃあ多様な働き方を可能にしつつ生産性を上げて、しかもここからが大事なんですけども、その成果を賃金としてしっかり働く人に返していきましょうっていう、本来のロジックは『分配』ですよね。
『分配』の部分もちゃんと射程に入れたものでした。2017年の働き方改革実行計画っていうのがあるんですが、その柱でもはっきりと『賃金引き上げと労働生産性の向上』っていうのは述べられてるんですよね」

武田「ってことは、それがうまくいってないんだとしたら、この時のプランがうまくいっていない、ダメだったってことですよね? 賃金を上げて労働力を拡大させて、『そのためにやりますよ』っていう風に言ってたわけですからね」

勅使川原「その通りです。元々簡単なことではないんだけども、うまくいってないのならば、それ『長時間労働ありき』にするって方向性は、まあ拙速、安直すぎるわけですよね。
なんですけどもね、生産性だけぐらいしか残ってません。
言いぶりとしては、賃金っていう言葉があんまり出ないですよね、今の政権。
しかも分配なんて本当にもう後景に退いたなと思います。
そのくせ『もっと働きたい人がいる』ってよく言うんですよ」

武田「確かに。副業とかもね、『副業してもっと働きたい』と」

勅使川原「裁量労働制もそうですよね。あと『一律指導は硬直的だ』みたいなね。
一律は良くないとか、不公平だとかも言うんです。
問題の中心を、賃上げであるとか業務設計から、まあ労基署の指導のせいにずらしてるばかりかですね、働き方改革の出発点にあったはずの『分配』という大事な概念まで、これごっそり削ぎ落としてる。
あの働き方改革の美味しい言葉尻とか、なんかこう、香ばしさみたいなものだけを使って、一番大事な部分……これ分配って人権に関わりますので、生きられないのでね、稼げないと。そこを抜いていて本当にいやらしいなと思ってます。
しかもですね、この『もっと働きたい人もいるよ』っていう論があるって話しましたけども、この根拠にされてる調査の読み取り方、これもかなり雑なんですね。
厚労省の『働き方改革関連法施行後5年の総点検』という調査を参照していますけども、『もっと働きたい』と確かにおっしゃった方は、いらっしゃいますがおよそ10.5%」

武田「10.5%! 1割しかいない……」

勅使川原「1割です。一方で、『このままでよい』は59.5%。それから『労働時間を減らしたい」は30.0%。つまり『現状維持か減らしたいよ』っていう人が9割ですよ!』

武田「本当にその『減らしたい』っていう声を、むしろこの政治っていうのは考えなきゃ、受け止めなきゃいけないわけですよね。それが30%もいると」

勅使川原「はい。働き方改革関連法もそもそもそういう意図がありますので、ここは一番無視しちゃいけないのに、まあ1割の声だけ大きく取り出して『はい、だから規制緩めます』みたいなことを、しかも1割の数値を民意のように言ってしまうっていう、『もう勘弁してください!』という感じです」

この後も、勅使川原真衣さんがこの問題に厳しく斬り込んでいます。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

「武田砂鉄 ラジオマガジン」は月曜~木曜 8:00~11:30、文化放送(FM91.6MHz、AM1134kHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

Share

関連記事

この記事の番組情報


武田砂鉄 ラジオマガジン

武田砂鉄 ラジオマガジン

月~木 8:00~11:30

その他の主な出演者

政治、経済、芸能、カルチャー… 大事なことから大事じゃなさそうなことまで・・・ライター武田砂鉄が”あなたの耳の渇きを潤す”3時間半の生…

NOW ON AIR
ページTOPへ