ナゼ再審法を改正する? 「三審制をすり抜けてしまう誤判が珍しくない」弁護士が解説

ナゼ再審法を改正する? 「三審制をすり抜けてしまう誤判が珍しくない」弁護士が解説

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。8月3日は、月曜レギュラーのマライ・メントライン氏がお休みで、ピンチヒッターとして弁護士の三輪記子氏が出演し、三審制について解説した。

三輪「今日は日本の司法の土台、「三審制」についてお話をしたいと思います。裁判っていうのは、刑事事件と民事事件があるんですけれども、今日は刑事事件に絞って三審制について考えます。なので、民事裁判と刑事裁判の違いを押さえておきたいんですけれど、民事裁判と刑事裁判の違いってどのようにイメージされてますか?」

武田「そうですね。すごくシンプルに言うと、民事裁判っていうのは、人と人というかね。刑事裁判っていうのは、人と国というか、そういう感じでいいんでしょうかね」

三輪「その通りです」

武田「良かった。危ねえ危ねえ…」

三輪「(笑) 民事裁判は「私人」間の。基本的に民事裁判が取り扱うものは「私」同士の紛争解決なんですよね。お金の貸し借りとか、相続――最初は家庭裁判所なんですけれども――がありますね。しかし、刑事裁判は、犯罪を扱います。大きな違いは、訴える側が必ず国の機関である「検察官」なのが刑事裁判なんですよね。検察官は、ある人が犯罪を犯したという疑いがあって、刑罰を科すべきだと判断した場合に、裁判所に対して起訴をします。訴えを起こす、これが起訴です。検察庁は、唯一、起訴権限という大きな権限を持っている官庁です。起訴された事件について、裁判所は法廷で審理をして――公開法廷です。報道とかもされていると思います――被告人が有罪かどうか、そもそも罪を犯したのかどうかを判断されるんです。罪を犯したと認められる場合に、どのような刑を科すのかを判断するんです。ここまで、民事と刑事の違いは大丈夫ですか?」

武田「よく、刑事裁判では残念な結果だったけど、まだ民事があるみたいな、そういう言い方しますよね」

三輪「素晴らしい指摘です」

武田「今日は褒められるな」

三輪「(笑) 刑事裁判では、例えば起訴に至らなくて不起訴になってしまったけれども、民事の損害賠償請求は認められる。これは、正直よくあることです。というのも、起訴権限を持ってる検察官が、起訴をしないという判断をした時、その後、起訴につながるかというと、そうじゃない場合があります。犯罪の立証というのはすごく厳密に考えなきゃいけないんですね。人に刑罰を科すからです。罪を犯したとされて刑罰を科されるとなったら、例えば――今は拘禁刑と言いますけれど――刑務所に身柄を拘束されるわけですよね。これは、ある種の大きな人権侵害なわけですから、厳密に判断されなきゃいけない。厳密な立証に耐えられないと判断したら、疑わしかったとしても不起訴にするという権限も検察官にはあるわけです。しかし、民事裁判の立証は少し違うから、民事での損害賠償は認められるっていうことは、よくあることではあります。今日は、刑事裁判における三審制。この制度って誰のため?何のため?本当に3回審理をするのが絶対にいいの?っていう話をしたいと思います。

まず、法的な建前。教科書的な意義から三審制の意義は3つあるんですね。1つ目は、誤判の防止。間違った判断を防止するため。裁判官も人間ですし、判断に誤りが生じる可能性は否定できません。一審しかなければ間違ったままで終わってしまうかもしれないけれども、3回やれば間違いが生じる可能性が低くできるっていう考え方なんですよね。なので、上級裁判所が下級裁判所の判決を審査する。2つ目は、公正な裁判と人権の保護。判決に不服があれば、もう1回やってくださいっていう機会を与えることで、基本的人権を守ります。3つ目は法令解釈の統一です。全国の裁判所で、法律とか条例とかの解釈がばらつかないように。ばらついてしまうと、どういう判断されるか分からない、ってなったら法律の意味もなくなってしまうので、どういう法適用がされるかという解釈を統一することで、今後予測可能性を担保するっていう意味があるんです。この3つを挙げると「三審制ってすごいじゃん、素晴らしいじゃん」って思われるんじゃないですか」

武田「今聞いてると、なかなかよくできた仕組みだなというかね。間違いが起きないようになってそうと思いますけどね」

三輪「しかし、今、再審法改正が話題になっています。なぜかというと、この三審制をすり抜けて誤判が確定してしまうことが、珍しくなく存在するっていうことなんですよ」

武田「そうか」

三輪「再審の議論で話題になっていたのが、検察官が持っている証拠開示のあり方なんですよね。再審の時に全部証拠開示しろよっていう話が出てきたと思います。しかし、そもそも私は、再審に至る前の、普通の裁判――三審制の段階で――全部証拠を開示すればいいじゃんって思うんですよ。どうですか?」

武田「確かに、そりゃそうですよね。そこで別にもったいぶるというか、そんな必要ないわけですもんね」

三輪「そうですよね。だから、私は、この再審手続きにおける証拠開示のあり方について…」

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