「アメリカ51州目」圧力の先で、カナダが見ているもう一つの選択肢

「アメリカ51州目」圧力の先で、カナダが見ているもう一つの選択肢

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。9月3日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、木曜前半レギュラーの日本文学者・ロバート キャンベルが、今、カナダが直面している2つの問題などについて話した。

ロバート キャンベル「今日はアメリカとカナダ、カナダと日本の話をします。
アメリカ政府はこの1週間、自国が誇る軍事力と経済という2つの拳を上げて、世界中の敵も味方も抑え込もうという動きが目立ちました。
火曜日あたりからまたイランに対する攻撃があり、イランが反撃をしたということで、トランプ大統領のSNSの投稿を見ますと、ホルムズ海峡をほぼ完全に掌握し、イラン経済が崩壊している今の状況の方が、前よりはるかに望ましいと言ってはいるんですけれども。
まあ戦争が始まる2月以前は、1日およそ140隻の船が通過していた海峡に、その日、火曜日には6隻しか実は通過していなくて。それで『掌握』とは、笑止千万と言っていいような状況なんですよね」

武田砂鉄「そうですね」

キャンベル「その中で、一方で一国主義に対応しなければならないという、いわゆる『ミドルパワー』の国々の間では、多国間外交……不安定なアメリカのリーダーシップに対して、かなり先鋭的な動きが今週ありました。で、一番象徴的なところが、おそらくカナダだというふうに思います。
『ミドルパワー』っていう言葉を、結構私たちは日本語で最近耳にすると思うんですけれど、もともと1月のダボス会議でカナダのカーニー首相が『ミドルパワーのこれから、やっぱり頑張っていかないといけない』というところから、『あ、そうなんだ』っていう。あの、大国、小国、その間のミドルパワーが、これからやっぱりこう時代を切り拓いていくっていうか。外交的にも、あるいは軍事、経済の大きな軸になるということになったと思うんです。
今日ですね、武田さんと西村さんの手元に、私がちょっと印刷した写真が1枚あります。これは月曜日の夜、アメリカのヘグセス国防長官が、自分のXのアカウントで投稿したものですね。で、まあ本文、文章がカナダの国旗、その横にですね、ポツリと『This is real.(これはマジだ、これが彼らの現実だ)』という、まあ意味の言葉があって。
写真がですね、カナダのブリティッシュコロンビア州にあるカデット訓練センターの写真を再投稿しているわけですけれど。この写真には、夏の訓練を終えた若い女性のカデット、つまり訓練生たちに、指導役の女性将校が、メダルを授与しようとしている様子が映ってるわけですね」

武田「はい」

キャンベル「で、『マジ、この程度のもんだ』というヘグセスの言葉があって、写真を見ると、この将校の方がですね、まあおそらく平均よりふくよかっていうか、体のサイズがすごく大きいということ。それと、2人が女性だということなんです。
で、これに対してすごく、カナダ国内やいろんな国で今、猛反発が起きているわけですね。まあ『ファット・シェイミング(太っていることを辱めること)』をしているということですけれど。
このカデットプログラムっていうのが、12歳から18歳の若者を対象にカナダ政府が支援する青少年育成プログラムで、ここでリーダーシップとか市民としての自覚とか、地域への貢献ということを学ぶわけで、軍人でもなんでもないわけですね。
ところが、ヘグセス氏の投稿には、それがなんかカナダの軍人、軍隊力がこれだけ脆弱だっていうような意味を含めていて、ファット・シェイミング、ボディ・シェイミングを行ったということで批判が起きているわけですね。
で、まあこれは私の意見ですけれど『なんと哀れな器の小さい男だろう』っていうことを、僕はやっぱり思いましたし……」

武田「そうですね」

キャンベル「(中略)これに対しカーニー首相は『これは一国の長官の職位そのものを下げてしまっている』というような発言をしているわけですね。
で、そもそもまあカナダとアメリカの確執は、トランプ大統領が就任した直後から『アメリカの51州目になりなさい』と言ったっていうことがあって、ずっとくすぶっていたわけですけれど。先月の21日、アメリカとカナダの貿易協議が、まあ合意に至らず決裂をしたわけですよね。
で、それを受けて、トランプ大統領はおよそ200億ドル相当のカナダ製品に50%のさらなる関税をかけたわけですね。それに対してカナダが、アメリカからの輸入品に関税をかける準備を進めるなど、対抗措置を取っています。
協議が決裂して以降は、トランプ大統領が、先ほどのヘグセスと同じようにですね、もうますますこう圧力をかけているわけですね。
先日、北米の五大湖のひとつ、カナダのオンタリオ湖を『アメリカ湖』と呼ぶっていうことにトランプ大統領が決めました。オンタリオ湖のほとりにはトロントっていう大都会があるわけですけれど。それが結構いろんな地図ですとか、カナダ国内のいろんなそのサービスに掲載されて、カナダ国内の地図でも『アメリカ湖』になってしまっていることがあるんですね。
つまり、購入……加入している地図会社がすでにアメリカ政府の指示を受けてこれをやっているってことで、今、『オンタリオ湖』に戻すといういたちごっこが起きているわけですけれど。
そして、月曜日にはですね、ベセント財務長官が『アメリカの経済規模はカナダのおよそ13倍ある』として『この対立でカナダが持つ交渉力は限られている。もう勝ち目がない、カードがない』っていうことを言っているわけですね。
これに対して、カーニー首相が当然反発するわけですけれど、英語とフランス語で、Instagramで反応を示してるんです。ちょっと翻訳しましたので読みますね。
『オンタリオ湖という名前は、ウェンダット語(つまり先住民ですね)の『オンタリオ』に由来します。この言葉は『美しい湖』や『大きな湖』という意味があります。まさにこの湖にぴったりの名前と言えるでしょう。オンタリオ湖という名前が使われてきた歴史は400年以上に及びます。カナダが連邦国家として成立するよりも、そしてアメリカが独立を宣言するよりも、ずっと前から使われてきた名前なのです。今アメリカでは、さまざまなものが変わりつつあります。貿易関係や外交政策、国家的なさまざまなモニュメント、そして水域の名前まで。しかしカナダ人は知っています。この湖の名前は、過去も現在も、そしてこれからもオンタリオ湖。その名は変わることはありません』と、非常に冷静に書かれています」

武田「冷静ですね」

キャンベル「冷静で知的で、力強い」

この後も、カナダが直面している『アメリカ51州目になるか』または『EUに加入するか』といった問題についてキャンベルさんは語っています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

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