国旗を振るのに抵抗感? ドイツ人が語るドイツ国旗「黒、赤、黄色」ではない色の由来
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。6月22日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、番組パートナーの西村志野アナウンサーを交えてトークを繰り広げた。
西村「今日はどんなお話でしょうか?」
マライ「今日はドイツ人とサッカーと愛国心の話をします。今ね、ワールドカップですよね。ワールドカップと言えば、国対国の熱い戦いですよね。そしてスタジアムで応援するファンですよね。ユニフォーム着てたり、メイクをしたり、日本だとハチマキ巻いてたり。あと国旗を振ったりするわけですよね。というので、まず、国旗の話をちょっとしたいなと思います。ドイツは皆さんご存知の通りナチス時代がありました。それを経て、国旗や愛国心の表現はものすごく慎重に扱われてきたんです。それが、大きく変わった出来事が2006年のワールドカップドイツ大会です。その時は、ものすごくポジティブに語られているんですけれど、明るい愛国心というのが本当に誰にとっても開かれているものなのか、というような話をしたいなと思います」
武田「2006年の自国開催の時に何があったんですか。盛り上がりが半端なくすごかったから「ワーッ」といった、ということなんですかね」
マライ「そうなんですよ。ドイツはサッカーがもともと大好きなんですね。で、ドイツで開催します。全世界の人たちが来ます。ドイツチームも当時はなかなかプレーがうまかったんですよ。なかなか調子もいいし、経済もいいし、なんかね、ものすごく応援しやすかったんですよ。天気も良かったんです」
武田「天気も良かった?」
マライ「(笑)覚えています。天気も良かったんですよね。パブリックビューイングをあちこちでやってて、なんかもう、みんなで応援するのめっちゃ盛り上がるよねっていうので、それがすごくポジティブな記憶として存在してるんですね。その時、ドイツの国旗を応援の時に振ってもいいかも?ってなったわけなんですよ。ここで西村さんにクイズです。ドイツの国旗の色は何でしょう?」
西村「クイズ苦手なんですけど…黒、赤、黄色?」
マライ「ありがとうございます、間違ってます。そういうふうに言ってほしかったんです」
武田「黄色じゃない?」
マライ「じゃないんです。もっと豪華な感じなんですよ」
西村「ゴールド?」
マライ「そうなんですよ。完全に黄色なんですけどね。印刷したやつは黄色ですよ。どう考えても黄色なんですけど、ドイツ人には金に見えるんですよ。黒・赤・金なんですよ。今のドイツ国旗の歴史は1815年に遡ります。その時、最初に出来た学生組織の旗の色だったんですね。学生たちはドイツの解放戦争でナポレオン軍と戦って勝ったんです。今のドイツの国旗は、それに由来しているわけです。黒・赤・金の色には意味がありまして、黒は暗黒時代。赤は血を流す。黄金は明るい明るい未来を指してるんですね。あるいは、黒は夜で、眠っているドイツのいろんな王国。赤は朝日で、みんな目覚めるんですよね。黄金は、君主のいない自由の色。という、2つの説明があるんですよね」
武田「これ、どっちかにしないんですか?」
マライ(笑)
武田「だって、赤が血っていう意味と朝日で目覚めると相当違いますよね」
マライ「いろんな説ありますみたいな感じなんですよね。大学の授業では、いつも血の話をしているんですけど、夜パターンもあるらしいんですよね。正式に、この国旗が使われるようになったのが、1919年のワイマール時代なんですね。その後ナチス時代になって鉤十字の旗になりました。それは今、禁止されています。その後、西ドイツ、東ドイツが生まれて、どっちの国旗にもなったんですね。黒・赤・金っていうものですね。西ドイツの憲法――基本法というんですけど――その中では、ドイツの国旗は正式な国家のシンボルとなってるんですよね。そうすると、その国旗って別にそんなに悪いものではないです。ドイツ人は自分の国旗についてどう感じてるかって言うと、28%のドイツ人は、町中のドイツ国旗について「良い」と答え、30%は「やや良い」と答えるんですね。6割のドイツ人が、ドイツの国旗はいいんじゃないの、っていうふうになるんですけれども、ただ、自分で自分の国旗を振るっていう話になると、また全然感覚が違うんですよね。やっぱりね、ナチスの過去はあるんですよ。本当に最悪なことをしてしまいましたと。国旗は国のシンボルなんだけど、その国旗を振るっていうのが、またあの時代に戻るんじゃないのかな。自分たちの愛国心を見せびらかすっていうマイナスイメージがめちゃくちゃ強いんですよ」
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