角谷浩一「速報でネットに負けても、新聞の意味と意義はきっとある」
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、9月7日の放送に政治ジャーナリストの角谷浩一が出演。日本新聞協会による「新聞協会賞」に関し、思うことを語った。
鈴木純子(文化放送アナウンサー)「新聞協会賞は日本新聞協会が年1回、優れた報道の担い手に贈る賞です。今年度は108作品の応募があり、9月2日に6作品が新聞協会賞に選ばれました」
角谷浩一「新聞協会賞はもう70年目を数えています。新聞がそれぞれスクープを出すための切磋琢磨の成績を、どこかで発表する、みたいな。『これはどうでしょうか』と応募するかたちなんですよ。今回、(ニュース部門を)受賞したのが福岡の西日本新聞で。『歪んだ関係―福岡県政を追う』、まさにいまの福岡県政の問題を扱ったものです。追加応募して認められた。問題は、41年ぶりに全国紙から選ばれなかった、ということです」
長野智子「41年ぶりなんですね」
角谷「まずは全国紙、民放とNHK、通信社の人たちが切磋琢磨する。でもだいたい、全国紙がとって当たり前。次にがんばっているのはブロック紙。で、地方紙(県紙)、と。いま全国で県内に2つ新聞社がある県は福島と沖縄だけ。地方紙もがんばっていると」
長野「大手は人手も予算もまったく違いますからね」
角谷「皆が新聞を読まなくなったり、新聞の衰退が叫ばれたり。速報レベルでもネットにはどうしても負けてしまう。朝刊が届く前にいろいろなものが出る、ということもあって新聞の役割はだいぶ変わってきた。でも新聞の意味と意義はきっとあると思うんですね」
長野「ええ、ええ」
角谷「僕たちもそこで初めて知るニュースは多いはず。それはそれでいいのでしょう。今年、41年ぶりに全国紙が選ばれなかった理由は何か。やはり取材力が落ちている、そこまでやらなくてもいい、人員は割けない、という時代になっているのか。新聞の編集局は、どちらかというとお金を使うほうで、採算部門ではなかなかない。一方で事業や営業、広告などが新聞の屋台骨をつくっているわけです」
長野「うん」
角谷「販売や広告が新聞を毎日出させているんじゃないか、おまえらはそれに乗っかって、と執務の人たちは思うかもしれない。でも記者は記者で、冗談じゃない、新聞は読んでもらってナンボのもんだ、という戦いがある」
長野「はい」
角谷「今回の福岡県政の問題点。西日本新聞は他社に圧倒的な差をつけてバンバン書いている。どちらかといえば、この調査報道は福岡県政の正副議長にお金を渡さなければいけない、というルールがある、みたいなことは後付けで。それより前に、福岡県政の歪み方、というのはいろいろやってきた。ただ地方紙、県紙は県や市と仲良くしないとやっていけない」
長野「はい」
角谷「それこそ広告、イベント、事業。多様な意味で地方紙と行政は相当、近い関係にある。となればいろいろなことをわかっていても書けない、書きにくい。書きたくても上が『待て』『やめておけ』と言う。逆に採算部門の人たちがねじ込んでくる、など。『知っていたくせに、いざというとき書かなかったくせに』と思う人もいるかもしれない。これは日本中の地方紙が抱えている問題。なんなら全国紙だって、そういう問題がある」
長野「はい」
角谷「でもこの西日本新聞の受賞によって『うちの県でも、あるのはわかっていた』『西日本に追いつけ、追い越せ』『闇を暴こうぜ』と。日本中の地方新聞の記者がその気になってくれたら、僕はいいと思うんですね」
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