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2012年10月17日 慶応義塾論

 早稲田と並び、"私学の雄"と称されるのが慶応義塾。大学をとってみると、教員の陣容、授業の先進性、学生(塾生)の質など、わが国トップの私立大学だと断言できるだろう。


 私もかつて、高校の担任教師に、「旧帝大と一橋、東工大、神戸、お茶の水、それに早慶、これ以外は行くな!」と洗脳されてきた。
 他にも立派な大学や専門性が高い大学は山ほどあるので、的外れな意見だと思うが、慶応のすごさ(もちろん、卒業生全てが優秀とは言えないが・・・)は、傍目から見ても「なるほど」と思える部分が多い。


 さて、その慶応義塾が、来春、慶応義塾横浜初等部を開設するという。慶応の附属小としては、すでに慶応義塾幼稚舎が、セレブなパパやママたちの羨望の的となって久しいが、この横浜初等部も、1期生の願書受付が始まり、すさまじい人気とか。
 もっとも、これまで3度の説明会は、1000人入れる会場がすぐに満杯。
「わが初等部は、体験教育、自己挑戦教育、言葉の力の教育の3つを柱に力を注いでいく」という学校側の説明は、説得力があり、「お金さえあれば、ここに入れたい」と思わせるには十分なものだった。
慶応2~1.JPG 
 しかし、受験事情を取材してきた人間として、加熱する横浜初等部や幼稚舎の人気には、正直、違和感を覚える。
 慶応の附属小に子どもを入学させる・・・ということは、よほどのバカじゃない限り、エスカレーター式に、慶応義塾大学まで進学させられることを意味する。
 一見、「それって素晴らしいじゃん!」と思うのだが、逆を言えば、ハーバードにもオックスフォードにも、もちろん東大や京大にもほぼ進学できないことと同義になってしまう。
 子どもの中には、将来、「美大に行きたい」「体育系の大学に進みたい」といった希望を持つ子もいるはずなのに、その可能性を、6歳の段階でスポイルすることを意味してしまう。
 同じ附属小でも、立教や青山なら「外に出すか・・・」という気になれても、慶応の場合、慶応であるがゆえに、そのブランドに縛られてしまうのだ。


 一般的に言えば、どうしてもわが子に慶応という看板を背負わせたいなら、大学から狙わせるのが一番入りやすい。
 幼稚舎なら、競争率が15倍を超えるが、大学はせいぜい5~7倍だ。中学受験で中等部の偏差値は70を超え、あの開成中や桜蔭中を凌駕するほど高いが、大学受験なら60台半ば~後半とやや軟化する。
 学部によってはAO入試もあれば、法学部のようにFIT入試(=教授と相思相愛なら入れる制度)というユニークな選抜制度もある。ゆえにチャンスは大きくなる。
 もっと言えば、専門性さえあれば、大学院で狙うのがもっともイージーで、研究科によっては、英語を課さない科もあるほどだ。
 

 それでも、「慶応の附属小へ」というパパやママは、オリンピックに例えれば、最初から銀メダルや銅メダル狙いで選手を戦わせるコーチのようなものだ。
 それを間違いとは言わないし、そういう選択もあるとは思うが、いわゆる「お受験」の最前線を少し取材しただけで聞こえてくる慶応義塾横浜初等部の人気ぶりに、毎年、受験の最前線を見て歩き、また親としても、その「お受験」を経験してきた筆者としては、「?」という思いを禁じえないのである。
(と、言いつつ、子どもの大学進学にあたっては、「せめて慶応くらいは・・・」と語っている自分が情けない)
 

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