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2014年9月 4日 追憶~故郷を離れて。

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今は廃校となった埼玉県加須市にある、旧・騎西高校。
ところが、この学校のOBでも、父兄でもないのに
この校舎を二日に一度は訪れてしまう、という男性がいます。
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隣の羽生市に住む柚原秀康さん(65歳)。
福島県双葉町出身の柚原さんは、東日本大震災に伴う原発事故のため
2年9カ月もの間、ここで避難生活を送りました。
ただし、当時、日中は殆ど出かけるようにしていたそうです。
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柚原さんは福島第一原発に30年近く務めた経験があります。
避難所で「原発さえなければ」という声を聴きながら複雑な思いを抱えていました。
故郷への強い想いを抱きながら、それを語らなかった人々もいたのです。
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避難所で知り合った書道家の勧めで、想いを文章にするようになり
やっと、少し救われる気がしました。
誰に読ませるわけでもない「手紙」を、真夜中の教室でも書き続けました。
やがて、この思いを本にして残すことにより、
後世のための記録になるのではないかと考えたのです。
販売はしませんでしたが、お世話になった加須市長に贈ったところ
4つの市立図書館に置かれることになりました。
今、住んでいる羽生市の図書館にもです。
「追憶~ふるさとを離れて」という本には、
故郷や大切な人々への想いがつづられています。
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ではなぜつらい思い出ばかりのこの校舎を訪れてしまうのか。
柚原さんはこう語ります。
「双葉町の誰かに、ふと会えないかと思って」
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帰宅困難地域の双葉町。
今月になって福島県が中間貯蔵施設の受け入れ容認を政府に伝え
ますます帰る望みが遠ざかりました。
つらいことばかりだった、あの校舎ですが
それでも数少ない「故郷と自分をつなぐ場所」だったのです。
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災害においても、また、ほかの事件事故でもそうですが、
声なき声こそ、語られない想いこそ
一番救いを求めてるのではないかと思えてなりません。

文化放送報道制作部では「ニュースパレード」を中心に、日々のニュースをお伝えしています。

その一方で、私たちの周りには普段のニュースでは伝えきれないような話が溢れています。

それをお伝えする場所が、このリニューアルしたブログ。
部員それぞれがゆるやかに伝えていきます。
ニュースの「おまけ」として楽しんで頂ければ幸いです。
よろしくお付き合いください。

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