「パリコレもポリコレも遠い世界と思ってた」阿佐ヶ谷姉妹が学ぶ人権・コンプラ・ポリコレ

「パリコレもポリコレも遠い世界と思ってた」阿佐ヶ谷姉妹が学ぶ人権・コンプラ・ポリコレ

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お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜11:30~15:00)。8月31日の放送は大竹まことがお休み。ゲストに、マガジンハウス新書から発売中の『なぜ、それは不適切なのか 人権/コンプラ/ポリコレの新しい教科書』の著者であるニュース解説メディア『The HEADLINE』編集長の石田健氏を招き、文筆家の古谷経衡氏と月曜パートナーの阿佐ヶ谷姉妹とともに話を聞いた。

石田「よろしくお願いします」

江里子「ご本を、3人とも拝読しまして」

古谷「今の時代に必要だなと。こんなにポリコレ云々、吹き荒れてますからね」

江里子「でも、本当に私はどれだけ言葉を知らなかったんだって思いましたしね。ご本のタイトルにも書かれているポリコレって、今ね、古谷さんもさらっとおっしゃいましたけど」

阿佐ヶ谷姉妹・美穂「これ、わかんなかった」

江里子「パリコレもポリコレも、どっちも遠い世界ぐらいちょっとワタシも美穂さんも思っているぐらいな感じで。ご本の中にはもちろん、とても丁寧な説明もあったんですけど、最初にポリコレっていうのがどういうところ?なんていうのから、ちょっと教えていただけたらなと思ったんですけども」

石田「おそらく2年、3年ぐらい前ですかね。やっぱりこう、Xとかインターネットを見ていると、ポリコレ棒で殴ってくるとか、ポリコレがうるさいとか、そういうのをちらほら見かけた人もいるかもしれませんが、分かりやすいところで言うと、例えば、今までは白人が演じていたハリウッドのキャラクターを黒人も演じる。例えばディズニーの『リトル・マーメイド』。人魚姫をアフリカルーツの方が演じた時に、最近はハリウッドもポリコレで嫌だな、みたいな炎上がよくあったわけですよね。政治的に正しい、例えば多様性を大事にしようとか、ジェンダーについて配慮しようとか、そういうことを一般的にポリティカルコレクトネスといって、ポリコレというふうに使われることが多い。その概念がどうというよりは「多様性大事だよね」、「ジェンダーに配慮しましょう」、それから「差別的な言動を控えましょう」、そういったことにすごく気をつけていこうよという社会に対して、それは息苦しいよという反ポリコレな人もいれば、言葉からそういった認識を高めていくのは大事だよという、そういう方たちがいる状況かなと思っています」

江里子「とってもわかりやすいです」

美穂「じゃ、まずどういうご本なのか、それをお聞きするといいんですかね」

古谷「どうして書こうと思われたのか、というところからどうですか?」

石田「そうですね。先ほど言ったインターネット、Xの惨状を見てると、もう全然話が噛み合ってないなと皆さん思うわけですね」

古谷「そうですね」

石田「ポリコレがちょっと難しかったとしても、人権とかコンプラとか、皆さん聞いたことあるかもしれませんが、ああいうものが大事だという人もいれば、あるいは反対に息苦しいという人もいて、それは人権を重視する人も、あるいはそれがちょっと行き過ぎていると思う人も、両方とも本当にコアな議論というか、例えば定義なんかを全然見ないままで。例えば聖書みたいなものを掲げて双方が宗教論争をやってる。この聖書にこれが書かれてるんだからお前は絶対守れと。なんで守らなくちゃいけないか理由を教えてくださいっていうと、ここに書かれてるからだと言って全然説明になってないみたいな状況があって。特に、メディアでもフジテレビの問題とかジャニーズ、現STARTOの問題とかいろいろありましたけど、その中でなんか人権っていうのは大事らしい、でもなんかよくわかんないみたいな状況かなと思っていて、だからこそそれを書く必要があった、というそういう背景です」

古谷「なるほど。さらに、ご本の中にも引用されてましたけれども、ポリコレだけじゃなくて世代間における道徳というか倫理観、まさにそれを、逆に相対化して笑うような感じで大ヒットしたのが、あの『ふてほど』ですよね」

石田「そうですね。『不適切にもほどがある!』宮藤官九郎さん脚本のドラマ」

古谷「ボクも大好きで見てたんですけど、あれは、ポリコレっていうよりは世代。喫煙ルールとかそういう話じゃないですか。でも、今、本当にガチでテレビでやったらダメなわけで。まあ当然ラジオもそうですけれども、その辺も結構論争を――あれはちょっとギャグだったけれども――論争も呼んだと思うんですけど、その辺はどうでしょう」

石田「そこは本当に面白いと思っていて、『ふてほど』の感想を見ていた時に、令和と昭和の対立だというふうに書いてた人がいるんですね。まあそれはそうなんですけど、そうすると間に平成が抜けてると。この平成っていうのは何かというと、例えば、男性と女性が当たり前のように同じ仕事を与えられてなかった時代がありますよね。女性は、――これ鍵括弧付きですけど――「どうせ結婚妊娠をするのだから、仕事を1回中断するのだから、その人たちに高い給料を払わなくていい」という価値観が当たり前だった時代があるわけですよね。これは昭和だとした時に、今はそうじゃない、これが令和。でも、いきなりある日目覚めたら変わったわけではなくて、平成の時代に、セクハラはおかしいとか、男女が平等に賃金が与えられてないのはおかしいっていうことで、裁判とか訴えをした人がいっぱいいるわけですよね。そのプロセスを無視したまま、「今は令和だから」とか「昔はダメだ」みたいな話をしてもしょうがなくて、なぜその人たちは戦って、なぜその主張が妥当だと認められて、今こういう法律になってるかっていう、この変化のプロセスを見ないと意味がないなということをすごく感じたんですよね。そこが、時代が離れているからこそギャグにはなるわけですけれども、一方その変化の理由っていうのをすっぽり抜け落ちてるなというところがすごく大事だと思っていて」

古谷「なるほど」

石田「あともう一つ、喫煙ですよね」

古谷「バカスカ吸ってましたからね」

石田「でも、これって考えてみたら、もちろん副流煙の問題がありつつも、必ずしもタバコを吸うことが誰かの自由を直接的に侵害しているわけではない。権利を侵害しているわけじゃないですよね。むしろ、タバコを吸うとかアルコールを飲むみたいな、本人にとって自分の自由を最大限に行使しようとしたら迷惑だからやめろと。だけど、例えば誰かに性暴力をするとか、あるいは無意味に暴力を振るってパワハラをするとか、こういう行為は明らかにその人の何らかの権利を侵害しているけど、アルコールとかタバコって、別に本人が好きだったら勝手にやりゃいいじゃんっていう話ですよね。それをまとめて全部、不適切なものの箱に入れちゃうと、これ何が正しいの?っていうことで、そのあたりがすごく意識してたっていう感じですね」

古谷「なるほど。石田さんって1989年のお生まれですけど。平成元年ですか?」

石田「そうですね」

古谷「まさに、そういうところですごく示唆的だなと思ったんですけど、ボクは昭和の終わり生まれなんですけど、平成を共に生きてこられたと思うんです。ボクも石田さんも、その時にまさに『ふてほど』でおっしゃったように、昭和的なものは残ってはいたと思うんですよ。でも一方でそれをダメだっていう人もたくさん、もうすでにいたじゃないですか。で、今、令和で、ご自身の感覚としてもいいんですけれども、どの辺からこう不適切だとか、コンプラがとかって、どの辺で? まあ境目ってないとは思うんですけど、どういう感じを受けますか?」

石田「この本でも書いたんですけど、最初に日本にコンプラっていうのが輸入されてきたというか、出てきたのって、例えば三菱自動車のリコールであったりとか、雪印の食中毒の問題で社会が大きく揺れ動いた。これが平成の中盤終わりぐらいですかね。その頃というのは、コンプラっていうのは主に法律に違反してるっていう意味だったんですよね。安全管理をちゃんとやってないとか、車の品質管理ちゃんとやってないと。ところが最近のコンプラは、まさに先ほど話したように、差別的な振る舞いとか、環境に配慮してないっていう、法律よりももうちょっとカジュアルな――と言ってしまったら語弊あるかもしれませんが――カジュアルなレベルで言われるようになった。このカジュアルな話は、ここ5年ぐらいで」

古谷「そうですよね」

石田「やっぱそこで一気に風向きが変わってきたという感覚ですかね」

古谷「それって、ご本の内容とも重複するかもしれませんけど、なんで令和のちょっと経った時から、ぐわーっと進展していったんでしょうかね」

石田「一つはアメリカで…」

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