歴史学者・加藤陽子が語る、日本学術会議の存在意義と再出発
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、8月27日の放送に東京大学名誉教授で歴史学者の加藤陽子が出演した。7月に著書『歴史の本棚(毎日文庫)』を発売した加藤が、歴史学者の視点から近年の出来事について語った。
青木理「加藤さんのお目にかかるのは何年か前にイベントでご一緒したとき以来です」
加藤陽子「2022年5月で渋谷だったかなと思いますね」
青木「さすが歴史学者(笑)。『歴史の本棚』(加藤陽子の著書、販売中)は毎日新聞の書評欄で書かれたものをまとめた、というかたちなんですね」
加藤「はい。あと様々な本の解説などで書いたようなものを。天皇や国歌や戦争といったことに関して20年ぐらい書いてきた書評です。2007年からですから、このゴールデンラジオが始まったときぐらいで。少し縁(えにし)を感じました。無理やりですが(笑)」
青木「単行本で以前、出されて。文庫化するにあたって20篇を増補ということで」
加藤「全体で77本になりました。単行本が2022年に出て。それ以降、かなり日本の国家としての経済や外交の契機みたいなものが起こっていますから。それに応じた本を選んで足している。20篇、増したことによる読みごたえはあるかな、と宣伝しておきます」
青木「目次を拝読すると、国家のありよう、天皇制。まさに歴史学者ですから、戦争の教訓。あるいは歴史というものをどうとらえるか。いま考えなければいけないことが山積みのような気がします。まず、当事者でもいらっしゃるので答えにくいところもあるかどうか。率直に伺いますが、日本学術会議が10月に特殊法人として再出発すると」
加藤「はい」
青木「朝日新聞に社説で書いてありました。学術会議の独立性の問題もあるけど、その発端となった例の6人の任命拒否問題というものがきちんと説明されていない、と。6人の中には加藤さんもいて。ご自身のことも含めて、学術というもの、あるいは科学と政治みたいなこと。学術会議の再出発について、どうとらえていらっしゃいますか?」
加藤「科学と政治ということでいえば、たとえるなら科学技術、イノベーションといった言葉が最近、使われます。科学技術という4文字が熟語として政府の公的な文書に載ったのは1940年なんですね。太平洋戦争が始まる1年前ということで。国家が科学技術について、国策として能率、技術、すべてを動員してやる、という決意が生まれるときだったんですね」
青木「はい」
加藤「私が2020年10月に人文社会系として比較的、政府の言論などに批判的なことを言う学者の1人として排除された。2020年に科学技術・イノベーション基本法という、大きな法体系ができて。大学の知財などが、端的にいえば国防というところに振り向けられるようなことができる国になっていく国策なんだ、という。その大きな決意が2026年ぐらいからある、というもとでのいわゆる学術会議なんですね」
青木「はい」
加藤「学術会議は戦前期までの国策を誤った、という科学者の深い反省のもと、なぜ別の選択肢、合理的な科学としての選択肢を示しえなかったのか。そこで生まれている。やはりカウンターパートとして大事なんですね。この物理的な量子に対するコンピューターの政策は合っているか、原発の推進はいいのか。これにピア(仲間)として、科学者集団として批判を出せるというのは、やはり学術会議だったんだと。それが抜本的に変えられる、というのは国民としてきちんと見ていかなくてはいけないことだと思います」
このあとは皇室典範、日米関係などの問題についても加藤が解説した。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
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