元外交官・田中均から見た高市早苗政権の就任から現在
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、8月6日の放送に元外交官・元外務審議官の田中均が出演した。自身の経験も踏まえ、経済学者の金子勝(夏休み中の大竹まことの代理)、ジャーナリストの青木理とともに、高市早苗政権の発足から現在までについて語った。
青木理「(前回の田中均の出演が)9ヶ月前。高市早苗政権ができた直後ぐらいでした。外交も含めた高市政権のおよそ10ヶ月間、内政も含めてどうご覧になっていますか?」
田中均「ハッキリ言うと期待外れ。期待外れどころか日本経済にとって相当なダメージがあるんじゃないか、という気がしてなりません。特に政治というか統治の手法というか。要するに国を治めるとき、過去の総理大臣って特に昔は派閥の長、外務大臣、大蔵大臣を務めた人がなって。総理大臣に就いたときに基本的な事項の知識は相当、あったわけです。知識があることが総理大臣の条件だとは言いません。でもそれのない人がなったなら、もう少し人の話を聴くべきではないか、という気がします」
青木「初の女性総理で、近年多かった世襲でもない。外務大臣や財務大臣の経験もない。裏を返せば旧来型の政治の文脈の中とは違うかたちで出てきたと。肯定的にとらえている人も多いと思うんです。ただ外交の話でいうと、ずいぶん前の話ですが、例の『台湾有事は存立危機事態だ』発言で中国との関係がおかしくなった。あれは迂闊というか知識がなかったのか、あるいは意図的な発言だったのか」
田中「最初は迂闊に、どんどん詰められて『何を!』という気持ちが出てきて、しゃべってしまった、ということかと思った。でもよくよく状況を考えると、違うのではと。要するに中国に対して強硬論的な行動をとることは意図的だったのでは、と。言う必要はまったくなかった。わざわざ中国を構えさせる必要があるのか、と。中国を敵国扱いすることで日本が失うものは非常に大きい」
青木「はい」
田中「私も外務省で安全保障政策に携わったときにね。安全保障というのは平和をつくる作業だから、相手を構えさせることはなんの益(えき)もない、と。あんたが敵だ、あんたに向けて抑止力を強める、など。そんなことはソ連のように明確な対立軸があるなら別だけど、中国は日本にとって最大の貿易相手国で、いまは違うけど最大のインバウンドの流入国だし、投資国で。本来、隣国同士が角突き合わせるなんて愚かなことはあり得ない。そうなることを承知したうえで言ったんですか、と。それはなんのために、ということになる」
青木「対中感情が悪い、というのは恐らく、日本国民の多くがそう感じているところもある。メディアが煽ったり政治が煽ったりもしてきたけど。あれはある種のポピュリズム的な発言に近かった、という面も持つ、ということでしょうか」
金子勝「ポピュリズムの面もあるけれど。もう少し言うと、すべてを考慮したうえで、すべてをとることはできない。バランスをとると言っても、あれもこれも、というのは無理なので。計算したうえで何がもっとも利益があるか、と思考するプロセスが消えていて。ある種のイデオロギーみたいなものでボン、といってそれを貫くことが政治だと思い込んでいるのではないか、と」
青木「はい」
金子「中国は気に入らないこともたくさんあるけど、貿易の利益やいろいろ考えたうえで、ここまでは許される、ここからはいけない、みたいな計算をしなければいけない。(高市首相は)そういう計算ができない人、という印象を持ちます」
田中「総理大臣ってどういう職なのかというと、おっしゃるように、すべてのことを考えて日本にとっていちばん良いことはなんだ、という思考形態がないといけない。当然ですけど。そういう考えができない人は総理大臣にふさわしくないわけです」
このあと高市政権に関する解説が続いた。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
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