景気拡大が続いている。なぜ給料は上がらないのか
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、9月16日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。「給料を上げるにはどうすればいいか」というテーマで、日本の景気拡大の現状、問題点について解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「政府は7月の月例経済報告を発表しました。国内景気について『緩やかに回復している。ただし中東情勢の影響を注視する必要がある』としています。『え~、本当?』という感じですが景気拡大期間は74ヶ月となりました。それなのになぜ、我々の貯金は増えていかないのでしょうか」
佐藤治彦「景気は拡大している、ということになっているんです。いままで景気拡大っていろいろありました。高度経済成長期の『いざなぎ景気』、バブル拡大期、小泉純一郎さんの時代に続いた73ヶ月の『いざなみ景気』など。それを上回る景気拡大が続いている。景気拡大といっても、高度経済成長期のときには年率10%以上なんですよ。小泉さんのときも2%ぐらいあった。ところがいまは1%あるかないかの拡大なんですよ」
鈴木「いざなみ景気のときに私、国会担当でした。与謝野馨さんが担当大臣で。やたら『いざなみ景気』と聞くんですが、ピンとこなかった。いまはもっとピンとこない」
佐藤「全体的に上がっていない、ということです。でも日本企業の成績、利益というのは史上最大なんですよ。経常利益が100兆円を超えているんですね。24年度が114兆円以上、25年度が124兆8000億円あった。これによって法人税も20兆円を超える、と。過去最大の法人税収がいま日本政府にはあるということです」
鈴木「企業が儲かっているから税金も増える」
佐藤「企業の利益は8.8%ぐらい増えている。すごいと思いますよね。前にこの番組で、大企業に勤めている正社員の方の給料は上がりましたね、と話して。それって何%でしたか。だいたい5.5%でした。おかしいと思いませんか。8.8%利益が増えているのに給料は5.5%しか増えていない。内部留保になるなどしているわけです。日本の企業、特に大企業は、もっと給料を払う能力はあるんです。でも払っていない。それを如実に示しているのが労働分配率という数字です。企業の利益のうち、どれだけ働いている人に回しているか」
鈴木「還元されているか」
佐藤「大企業は特に減ってきている、と言われます。1990年代は70%近くあった」
鈴木「100儲けたら70は労働者に払っていた、と」
佐藤「ざっくり言うとね。いまはどれぐらいか、40%あるかないかです。大企業はどんどん労働分配率を減らしていった。減り始めたのが2000年、ということを考えてみるとわかりやすくて。小泉さんが出てきて、規制の緩和として実行したのが労働の規制の緩和です。非正規の人が増えていくことで、企業はどんどん、支払う賃金を減らした。それによって会社の利益を増やしていった。この流れの延長線上にある、ということです」
鈴木「はい」
佐藤「労働分配率を減らしてどうしたか。株主にどんどん、お金を振り分けていった。内部留保と株主なんですね。1990年、そのころは株主への還元性向、純利益に対する株主に回したお金が20%未満でした。15~20ぐらいの配当金を払っていた。それがいま50~65になっています」
鈴木「倍どころではないんですね」
佐藤「会社は絶好調。もう勝った部分をもちろん労働者には出しています。でも儲かったお金がいちばんどこに行っているかといえば、株主と内部留保に、ということです」
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