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2012年3月 2日 福島・双葉高卒業式

 きのう、福島・郡山経由で田村市文化センターに出張してきた。福島第1原発から3キロの距離にある福島県立双葉高校の卒業式を取材するため。
 事故後、4つの学校に分散して授業を受けてきた卒業生94人が集まっての卒業式。「元気だった?」「進路、決まった?」など、同じ釜の飯を食べてきた同級生同士が近況を確認し合う光景がそこかしこで見られた。
eo5FrsEL_B0qI_3-30830-1-attach-d3.jpg この写真は式の風景。山崎校長の「大変な1年だったけど、そればかりじゃなかった。見ず知らずの人の優しさ、先端技術の難しさなど学ぶものも多かったはず」という式辞、そして2年生の送辞や卒業生の答辞を聞いていると、ホント、涙が出てきちゃったよ。
「こちとら、言葉のプロ。みんなから聞いた音声を使って、いい現場リポートをしてみせるぜ」と思っても、どんな言葉を駆使したって、当事者の思いは伝えきれない。考えれば考えるほど、言葉が安っぽく見えてきて困ったよ。
 自分も昔、小学4年の時にね、四国を襲った集中豪雨で裏山が崩れ、自宅が全壊して避難生活を送ったことがあるんだよ。
 もう40年近くが経つのに、いまだに「ゴーっ」という音が聞こえた気がして、夜中に飛び起きてしまうんだ。情けねえけど、トラウマになっちゃってんだね。
 でもね、同時に、腰まで泥につかりながらランドセルを背負った私をおんぶして公民館まで連れていってくれた消防隊員や、公民館でパンを分けてくれたおばちゃんの顔は覚えていて、今でも「いつか愛媛に、今治に恩返しする」という気持ちの起点になっている気がするんだ。
 きのう、インタビューに答えてくれた卒業生の男の子に、「明日、ブログに書くからね!」と約束したので書くけど、君たちは双葉の"希望"。「これがボクの好きなこと」「これだったら私は輝ける」といったものを見つけて生きていくことだよ。つまり、君の「本領に生きる」ことだ。
 具体的には、V-MAPが大切。
 Vは「こうなりたい」というビジョン、夢だね。Mは「そのためにこれをする」というミッション、Aは実際に行動するというアクション、そしてもう1つ必要なのがPのパッション(=情熱)なんだよ。
 でも、情熱を持続可能にするには、「好きなこと」「輝けそうなこと」「得意なこと」で勝負してみるのが一番。私もそうしているし、君たちもやってみてほしい。
 社会は甘くない。いつまでも「双葉町出身者なの? それは大変だったね」って言ってはくれない。だけど、ふるさとを思う気持ちがある人間は強い。そして、自分の中で「これだ!」と思える部分を発掘できたやつは負けない。
 君たちの生き生きとした姿が、双葉町の皆さんの力にきっとなるので、新たな世界、新たな場所、新たな仲間の中で思いっきり若き血を燃やしてほしい。


 明日から 全てがはじまるよ 君の日々だよ
 明日から 新しい日々だよ 君の日々だよ (猪苗代湖ズ『I love you & I need you ふくしま』より)


文化放送報道制作部では「ニュースパレード」を中心に、日々のニュースをお伝えしています。

その一方で、私たちの周りには普段のニュースでは伝えきれないような話が溢れています。

それをお伝えする場所が、このリニューアルしたブログ。
部員それぞれがゆるやかに伝えていきます。
ニュースの「おまけ」として楽しんで頂ければ幸いです。
よろしくお付き合いください。

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