ワールドカップで大躍進。ノルウェーのある選手による、環境問題への取組
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、7月16日の放送に元・日刊スポーツ編集局長でジャーナリストの久保勇人が出演。ワールドカップに出場したノルウェーのある選手による、環境問題への取組について解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「ワールドカップ、いよいよクライマックスです。きょうは、ある選手を紹介しながら『気候変動』という視点で久保さんに振り返っていただきます」
長野智子「ある選手というのは?」
久保勇人「躍進したノルウェーのミッドフィルダー、モアテン(モルテン)・トルスビー選手です。一部で非常に有名でして。試合自体はスーパーサブのような感じで、1次リーグのフランス戦1試合に出ただけですが。いまイタリアのセリエAというリーグにいて、30歳。189センチという長身を活かしたヘディングもあり、守備的な役割も担っています。サッカー選手の背番号ってゴールキーパーから始まって段々、数が増えていく」
長野「はい」
久保「中盤だと6番や7番などの数字が多い。この選手はミッドフィルダーなのに背番号2なんです。サッカーを知っていると『ディフェンダーかな?』と思うんですが。イタリアのサンプドリアというところに在籍していた2021年につけ始めて。以後はノルウェーの代表でもそうしているんですね。なんで『2』なのかといえば、パリ協定の数字なんです」
長野「なんと!」
久保「どういう意味か。温室効果ガス削減の世界的な取り決めであるパリ協定で、気温上昇を産業革命前より2度までに抑えるように世界でがんばりましょう、となった。これを自分も表現したい、と。2度はなかなか難しいから、努力目標としてせめて1.5度以内に収めましょう、というのが主流になって。じつは彼は『15』を背負いたかった」
長野「15でいいんですか?」
久保「『.』を入れて1.5度を表したかったけど、さすがに認められなかったと。サッカー選手にとってシューズは大切な道具で、普通、代表で出てくるような選手は大手メーカーと高額の契約を結び、自分の足型をとって精密に設計して。このシューズなら充分、というものを履いてくる。でもこの選手は今回の大会前、持続可能な素材でつくったオリジナルを用意して、それを使った」
長野「へえ~!」
久保「ノルウェーの公共放送が報じていることで、サッカー靴は通常、合成ゴム、ポリウレタン、ナイロンなどでできている。最終的に廃棄物になって、再生可能のサイクルに乗せることができない。トルスビーは履き終わった靴を捨てる必要がなくなる解決策を模索しているんです、と。デザイナーによれば『今回の彼の靴は56%がリサイクル素材なんです』。たとえばトウモロコシ、サトウキビ、木材の繊維、リサイクルされたペットボトル」
長野「なんと。すごいですね」
久保「取り組んでいるのは彼だけではありませんが、代表的な存在です。彼は各種報道、パリ協定の会議、気温上昇、自然環境が破壊されている、といったニュースを見ながら『サッカー選手である自分が、地球の破壊に対して何もできていない』と深刻に悩んで。じつは選手を辞めて、こういう活動に専念しようか、と思った時期があったそうです」
長野「はい」
久保「それに対して父親から『環境のために君ができる最善のことは、サッカーで優れた選手になって、こういった問題について声を上げ続けることなんだ』というアドバイスがあって。彼自身も『サッカーは世界でいちばん見られているスポーツだ。サッカー選手というのを通じて、この問題を訴えていこう』ということで、活動にのめり込み始めたようです」
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