全国各地に存在する、権力を握る「ドン」の実態
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、8月6日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演。地方議会における「ドン」と呼ばれる存在について語った。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「福岡県議会で浮上した、議長ポストをめぐる現金授受疑惑です。その渦中にいる藏内勇夫議長は県議10期を重ね、全国都道府県議会議長会の会長でもあります。国政に影響を及ぼす地方のドンとして知られています」
常井健一「『ドン』はスペイン語に由来する外来語です。ボスよりもさらにスケールの大きな権力者を示す言葉として定着しました。いま、ドンとして注目されるのが福岡県議会の藏内議長。福岡県内には一昔前から『福岡三国志』という言葉がありまして。現在は麻生太郎さん、武田良太さん、そして藏内さんが熾烈な権力闘争を繰り広げています」
長野「藏内さんだけ県議、ということですね」
常井「なぜ1人の地方議員が永田町の大物にも匹敵する大きな力を持ったのか。きょうは福岡を入口に、全国に共通するドンの条件を探ります。私、10年ほど前に全国各地の地方選挙を取材していたとき、どこへ行ってもドンと呼ばれる地元の権力者がいたんですね。どういう人かというと、だいたい経済力があって抜群に選挙が強くて。地元の首長や国会議員よりも発言力がある人です」
長野「はい」
常井「中には、かつての野中広務さんや森山𥙿さんのように50を過ぎてから国政に進んだドンもいる。ではどういった状況がそろうとドンが生まれるか。第1の条件は、圧倒的な他薦です。藏内さんって県議10期。40年近く県議会にいるわけです」
長野「10期。ほう」
常井「どの知事、どの県庁幹部よりも古株になります。議会では自民党から共産党まで長年の付き合いがあって、気心が知れているんですね。そうなると影響力が及ぶのは公共事業や予算だけではない。県内すべての選挙で誰に自民党の公認や推薦を出すのか、という決定権を握っている。あとは役人、教職員、警察署員といった地方公務員の人事にも影響力を発揮することがあります」
長野「はい」
常井「人事の季節になるとドンの自宅に行列ができる、と言われるんですね。別の地域で聴いた話ですが、ドンの家に入ると、その訪問客は茶封筒を机の上にソッと出します。そしてドンはポン、ポン、ポン、と手を当てて厚さを確かめる。そのままスーッと返す。返された側は帰りがけ、広いお庭の中にあるお社に両手を合わせ、賽銭箱に封筒を置いていく、と。こういう逸話がまことしやかに語られること自体が、ドンの権力を大きくしているんですね。直接、命令しなくても周りが勝手に忖度して動く、というのがドンの世界です」
長野「こういうドンが全国にいる、というわけですね」
常井「福岡って大物議員がたくさんいました。その中で藏内さんはどういう位置づけか。麻生さん、武田さん、かつては古賀誠さん、山崎拓さん、村上正邦さん、といった方も。大物が同じ県内にたくさんいることが、ドンを生み出す第2の条件です」
長野「はい」
常井「というのは、県議会の自民党も国会議員の系列ごとに分かれていて。知事選や市長選があると保守分裂になってしまうんですね。その間をつなぐ調整役が必要になると。実際、福岡県は90年代まで革新県政、社会党系の知事がいたんですが。バラバラになった自民党を束ねる役割を果たしたのが藏内さんだった。藏内さんは国会議員が就くことが多い自民党県連会長にもなれた。ドンは保守分裂の中で育つんですね」
放送ではさらにドンの実態についての解説が続いた。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
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