社会保障は大事な制度。だからこそもっと「納得感」がほしい
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日11時30分~15時)、9月10日の放送に中央大学法学部教授の宮本太郎が出演。7月に発売した著書『社会保障改革の岐路』のテーマにもなっている「社会保障」に関して解説した(大竹まことはお休み)。
青木理「宮本先生の専攻は政治学、福祉政策論ということです」
宮本太郎「はい。社会保障に関する政治を勉強してきました。社会保障って多様な分野があるので、むしろ政治学のような門外漢のほうが広く研究できる、ということです」
青木「この度、岩波新書から『社会保障改革の岐路』という新刊を出されました。いまは結婚しない、少子化などが日韓ともに深刻な状況です。いろいろな理由はあるのでしょうけど、1つが社会保障に対する不安感では、と言われます。僕も専門ではないので初めから聞いてしまいますが、社会保障とはなんなのか、と」
宮本「皆さん、給与明細をもらうわけです。支給欄と控除欄が並んでいる。これまで支給欄を、政治ががんばって経済成長を実現して増やしていく、ということでした。いまは期待薄である、と。控除欄を見ると、なんでこんなに引かれているのか、と驚く。健康保険、年金、と。特に若い人たちは、ここを引かれなかったら、あれが買えた、これもできた、と思う」
青木「うん」
宮本「社会保障なんかやるより、でかい貯金箱に貯金したほうがいいじゃないか、と考えるのも無理はない。ただやはり、考えてみると東西、今昔を問わず、世の中、親ガチャなんですよ。生まれてくる家を選べない。長命化で親も自分もいつまで生きるかわからない。いくら貯めておけばいいのかも。でかい貯金箱ではダメなのであって、社会保障という制度は大事です。でもやはり納得感がついてこなければいけない」
青木「控除欄で引かれている年金や健康保険の金額が大きい、と。健康保険は要するに医療費ですね。年金は文字どおり、老後の生活を支えるお金、と」
宮本「年金と言われても、若い人たちからすれば、ね。青木さんももともとは関心、なかったでしょう。でもいま、そういう人が『全部、自分たちの負担で。おいしいところは高齢世代が持っていっている』みたいなことを言って、世代間対立が煽られている。いまの制度以外に、若い人たちを支える仕組みが要る」
青木「ああ」
宮本「若いころは元気で当たり前、というのはとんでもないウソであって。実家を離れて新しい世帯を形成したり、これから活用していく知識や技能を身につけるべく後期中等教育や高等教育に入ったり、職業を選んだり。リスクの連続なんですね。ここをどうサポートするか、というのが社会保障の大事な役割です。でもこれまで日本は会社がやってきたわけです。新卒一括採用で会社に入って訓練を受けて。それがもう揺らいできているのに、若い人たちがほうっておかれている」
青木「はい」
宮本「それが不信の1つの背景。それから若い人たちは老後のことを心配しなくていいのか、と。ドイツのマックス・プランク研究所が出したデータで、2007年以降に生まれた日本人の平均的な生きる年齢は107歳を超えるんですね。我々よりもずっと長い老後を生きなければいけない。どうすんねん、という。その辺りもきちっとサポートされないといけない。そもそも社会保障って学校で習わないでしょう」
青木「確かに習わない」
宮本「制度については聞くけれど。若い人たちは自分の生涯にとって年金や医療保険がどれだけ大切か、というのがピンとこない。それで世代間対立を煽られたら、やはり負担は勘弁してよ、ということになります」
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