勅使川原真衣、病床で観た「竹中平蔵氏の動画」に感じた違和感

勅使川原真衣、病床で観た「竹中平蔵氏の動画」に感じた違和感

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。10月14日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、竹中平蔵氏が先週配信した動画の内容について、問題点を指摘した。

勅使川原真衣「番組冒頭で話した通り、先週木曜日に事故に遭い、入院していたんですが、病院にいる間に竹中平蔵さんのyoutubeチャンネルが動いてたので観ました、病床で」

武田砂鉄「その過ごし方で良かったんでしょうかね~?」

勅使川原「本当にね。でも人って、本とか持ってないと、そのまま入院になっちゃうとね~」

武田「あ、そうかそうか、何かを見るしかないですよね」

勅使川原「で、観ていた動画のタイトルは『【断言】正社員を廃止せよ 正規・非正規の不条理な格差 これで真面目に働く人が救われる』という、なかなか力強いメッセージの動画だったんですけども、一部わかるところはあるものの、大半私にとっては『ちょっと理解しがたい内容だったな』というふうに思っています。
まずわかった部分というのは『日本の雇用は二重構造である』という点。これはまあ否定しがたいかなと思うんですね、正社員と非正規社員の間で、しかも賃金の差もあるし、教育訓練の差もあるし、雇用保障とか福利厚生とか昇進機会などなど大きな差があります。これは否めません。
しかも企業が景気変動への対応をその方々に押し付けて調整弁として扱ってきたっていう面も、これは一部あるのかなと思うんですね。なんですけども、それ以外の内容はですね、これ平たーく言うと『非正規の人が苦しい、だから正社員も苦しくしよう』というふうに聞こえてならなかったんです」

武田「それはまずいですよねえ、そんな内容だったのね」

勅使川原「びっくりするんですよ。そう思ったに至ったこと、『彼が言っている不条理とは何なのか?』など、3つに整理して今日お話ししたいと思います。
まず1つ目ですけども、正社員と非正規社員の話という入り口はあったのに、途中からですね、派遣の話だけをし始めるんですね。
竹中さんは『派遣は働き手の2.6%です』って言い始めるんです。
それはね、派遣だけ切り出せばそうだと思うんですけども、総務省統計局の労働力調査で2025年の平均結果を見ますと、これ正規・非正規の話で言うと非正規の方は2128万人ですよ。役員を除く雇用者の36.5%なんですよ。『なんで正規・非正規の話をしておきながら、突然非正規の中でも派遣というひとつの雇用形態の話にすり替えるのか』と言っていいんだと思うんですけども、これ問題じゃないのかな?と思います、実態が違うので」

武田「注意しながら聞いてないとね。話がそういう風に流れていくと『そんなもんぐらいしかいないのか』って思っちゃいますよね」

勅使川原「『世の中の誤解で、みんな竹中を責めてくるけど』みたいな言い方をされてましたけども、『いやいや、扱ってるデータが違うよ』と。非正規っていうのはパートとかアルバイトとか契約社員、嘱託なども含みます、派遣以外に。雇用保障や処遇の弱い働き方の存在を、まるで透明人間のようにしてお話しされるっていうのは、『まず入り口からしていかがなものなのかな?』と思ってしまいました。
数字をどこで母集団を切るかによって印象は当然変わりますので、『ファクトを重視して喋ってる』みたいなことを言うのであれば、なおさら都合の良いファクトだけは選んではいけないんじゃないかなと思います。
そして2点目、解せなかったのはですね、何度も『1979年の判例以来、何があっても正社員って首切れないよね』っていう言い方をされてたんですけど」

武田「そんなことを言ってたの?」

勅使川原「そうなんですよね。『大胆不敵だな』と思うんですけども、『解雇権濫用法理』っていうのは、1975年・77年の最高裁判例で、すでに確立はしています。現在の労働契約法16条も、解雇を全面禁止しているわけではないんですよね、当たり前ですけども。
『客観的合理性と社会的相当性がなければ無効になるよ』っていう風にあるわけです。つまり『何があっても切れなくてやばいよね』っていう話じゃなくて、『職を失っちゃうってやっぱり人の人生とか生活に大きな支障を与えるので、それを会社都合だけでやっちゃダメだよね』『ここで自由とか言い出しちゃダメだよね』っていう風に守ってきた法令でもあるわけですよね。なんだけども、これを竹中レトリックで言うと『正社員の特権なんだ』と。『何やっても首切られない』っていう言い方をしているので、『いやいや私はこれ、特権じゃないと思いますよ。最低限の人権に近いものなんじゃないのかな?』と思うわけです」

武田「【断言】というタイトルで、『特権』みたいな内容をするとバズるんだろうなという感じはしますけどね」

勅使川原「作りとしては、そうなんですよね。なので私もこれで扱うことによって、さらにまだ視聴回数とか伸びちゃうのも癪だなと思いつつも、やっぱりちょっと看過できないなと思って今日お話しするんですけども、雇用保障が強すぎることで企業が新規採用に慎重になってしまうとか、社内に本当に合わない方なのに別の場所に移動させられないとか、いろいろあるとは思います。
正社員という制度が長時間労働の素地を作ったりとか、無限定な転勤とセットになってきたみたいなのも確かに問題としてあったと思うんですけども、なので『今の正社員制度を1ミリも変えちゃいけないんじゃないの?』って言ってるわけでは私もないんですね。むしろ変えるべきだと思うんだけども、変える方向性として『保護を下げて揃えるの一択で、本当にいいんですか?』って思っています。
雇用が安定していることって特権だとは思えないんです。
そうじゃなくて、本来もっと多くの人が当たり前に持つべき権利や安心なんじゃないのかなというのが『解せなさその2』です」

この後も勅使川原真衣さんによる、竹中平蔵氏の動画の問題点の指摘や反論は続きます。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

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