独立宣言の未完の約束——250回目の独立記念日にロバート キャンベルが考えるアメリカ
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。7月9日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、木曜前半レギュラーの日本文学者・ロバート キャンベルが、5日前のアメリカの独立記念日をきっかけに考えた「国家のイメージ」などを語った。
ロバート キャンベル「5日前にアメリカが250回目の独立記念日を、賑々しくというか、嵐であるとか、熱中症とか、トランプの自己称賛に満ちたスピーチなどですごく知られて、今年は印象が深かった気がするんですが、そこから、国とか国家が自らどういうイメージを考えて理解して、自分を説明するかということを考えようかなというふうに思いました。
3月に訪米をした高市総理が、ワシントンに桜の木をたくさんプレゼントしたんですよね。これは最初は1912年に高峰譲吉さんという人がお金を集めて、たくさん桜の木をワシントンに贈呈したっていうことで有名な話ですけれども。
総理のその時の言葉では、『ワシントンでは日本の桜が長年、春の訪れを告げるとともに、日米友好の歴史を体現してきた』ということです。
これ一種の日本のイメージというか、日本には四季があって、美しい季節の移ろいの中で、桜というものがあって、再生の春というものを表現するような友好のシンボルとしているのが、日本から見てもとても分かりやすい、すっと来るような気がするわけですね」
武田「そうですね」
キャンベル「そこからちょっと考えたんですけど、これ偶然ですが、先日、JIIAという公益財団の方々から講演会を依頼されたわけですね。
JIIAというのは『日本国際問題研究所』と言いまして、外務省が作った組織で、吉田茂さんが戦後作ったわけですけれど、日本の国家戦略を外交や安全保障とか地政学リスクとか、そういうところから考えて、国家戦略を提案するという、結構大事な組織なんですよね。
普通は貿易ですとか外交、防衛問題などで講師を招いて話をしますが、最近は『文化を入れたい』ということで私のところに。
おそらく全く即戦力になるような話は皆さんを前にして、多分できないと断ったわけですけど、でもだからこそ、欧米の中で加速している様々な政治的な亀裂、それからAIの急速な普及で国家戦略の中に日本が世界に独自に提示できる価値体系ですとか、存在の意義とか、ビジョンとか信条というものが問われていると。
で、確かに私は最近、いろんな企業の経営者の方々と話をするとそういう話をよく聞きますし、講演会ですとかワークショップに関わることが増えています。
そう考えた時にちょうど、7月4日のIndependence Day(独立記念日)が回ってきまして、アメリカでどうやってアメリカを今提示しようとしてるか、どういうイメージ作り、自己認識というものを作っているかを考えた時に、先日、『スミソニアン・インスティテューション』という、ワシントンの国立の博物館の代表であるロニー・バンチさんという方が、とても面白い手記を発表しています」
武田「ええ」
キャンベル「ちょっと読みますね、私の翻訳ですけど。
『全ての人々の自由を象徴しながら、実際はその自由を保証しなかった文書を祝うこと――これ、独立宣言のことですね――『250年前に採択されたアメリカの基本契約みたいなものですが、どういう意味があるのでしょうか』と。
『奴隷解放までさらに87年、合衆国憲法修正第19条(女性参政権)の成立までさらに144年、そして結婚の平等(同性婚)の法制化までは239年もの歳月を要したにもかかわらず、生命、自由、そして幸福の追求――これ、一番最初に独立宣言に謳われているとても大事な言葉ですけど――その理念の起源について、なぜ語る必要があるのでしょうか?』という、問いかけから始めているわけですよ。
すでにこの中に、過去を見ながら果たされていないアメリカの約束、つまりアメリカというのは、独立宣言の中に書かれていますが、常に果たされない約束、それに向けて努力をして合意形成をして作っていく、これからも常に作り続けていかないといけない国として形成をしてるっていうイメージが作られてるわけですね」
武田「はい」
キャンベル「スミソニアンでこのバンチさんたちが作った企画展示、今も開催されていますが、『American Aspirations』というタイトルなんですね。
『アスピレーション』ってあまり耳慣れない言葉ですけれど、志であるとか未来に向けた抱負であるというようなことなんです。
そういうアメリカの志を象徴するものとして、いろんなものをピックアップしてそれを展示をしていますが…… 例えば、ジョージ・ワシントンが初代大統領として就任する時のスピーチではなく、辞める時のスピーチの時にそばに置いた燭台(ろうそく立て)を展示するわけですね。
当時はワシントンは別に任期の制限があったわけではなく、自らが任期を切って、これ以上務めると王権になってしまう、イギリスと同じようなことになってしまうので、別れる時に素晴らしい演説を残していて、それがどういうふうな平和的な権力の譲渡の第一歩というものかをみんなに感じてほしいということです。
もちろんそこで連想するのが、トランプさんが2期で制限がされていて、再選をすることができないけれど、最初から『いや俺はもう3期目、みんながそれを望んでるから憲法変えましょう』なんて無茶苦茶なことを言ってますが、半ばそれを牽制するということですね」
この後もロバート キャンベルさんは、故郷・アメリカの歴史や想いなどを語っています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。
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