勅使川原真衣が問う。「合理的配慮」と「不平等」のあいだ

勅使川原真衣が問う。「合理的配慮」と「不平等」のあいだ

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄 ラジオマガジン」(文化放送)。7月29日(水)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、水曜前半レギュラーの組織開発コンサルタント・勅使川原真衣が、今時折話題になっている「合理的配慮」について語った。

勅使川原真衣「今日は『合理的配慮の話』です。私普段、眼鏡をかけております。
武田さんもそうだと思いますけども。裸眼で0.03ぐらいしか視力がないので
ないと見えないんですね。
なので、してます。ただ、それについて『眼鏡かけててずるくないですか?』
と言ってくる人ってさすがにいないんですよね。
『努力して見えるようになってからラジマガに出てください』とか」

武田砂鉄「『なんで0.03で出てるんですか?』みたいな。さすがにいないですよね」

勅使川原「さすがにいないんです(笑)。で、なんでこんな話をいきなり
してるかというと、合理的配慮の例えの時に、よく眼鏡の使用というのは
使われるからなんですよね。見えにくいといったような困難のある人に
おまけを与えることが合理的配慮では、まさかないわけです」

武田「はい」

勅使川原「元々、社会の設計自体が多数派の身体の特徴であるとか感覚を
前提に作られてる場合というのがほとんどですので
『それによって参加しにくくなっている人がいるとしたら困るよね』、
『その障壁は取り除かないといけないよね』という意味で、
合理的な環境の調整を必要とするというふうに考えられている概念です。
こちら2016年に『障害者差別解消法』が施行されてから、
当初は民間事業者っていうのは努力義務でしたけども、2024年の改正法で
民間事業者にも義務付けられています。
ですので、耳にしたことがあるよって方、増えているかなと思いますが
増えているからこそ、当初、意味したものと離れるっていうような現象が
もしかしたら起こるのかもなと思って、今、考えているわけです。
で、きっかけは障害者福祉に関する情報提供を行うサイトを見ていて
ふと思ったんです。それは割と障害者福祉の中で有名なサイトかと
思うんですけども、そちらに合理的配慮の定義が載っていました。
ちょっと読み上げますと『合理的配慮はその格差を埋めるためにある』と。
そして、もう一つの定義は『他の人と同じスタートラインに立つために
必要な措置が合理的配慮である』という記述を見つけたんです。
これ、ちょっと立ち止まって考えたいなと思った次第なんです。
というのも、先週水曜日のラジマガインタビュー10時からの回に、
私の恩師でもあります教育社会学者の苅谷剛彦先生においでいただきました」

武田「はい」

勅使川原「であの時、先生は『格差』という言葉と『不平等』という言葉、
こちらを並べて解説をしてくださったわけですよね。
あれがやっぱり頭の中にすごい残ってるもんですから、格差をなくすために
合理的配慮があるって言われると、『え、本当なのかな?』と思ったんです。
格差の問題なんですかね。ちょっと苅谷先生がおっしゃったことを
なぞるんですけども、先生の新刊の『不平等と教育』を携えて
おっしゃっていたのは、日本っていうのは『不平等』の問題を
『格差』というふうに呼んできた嫌いがあるんだと。
で、それを今、知識社会学で解いてくださってるんですけども、
例えば英語の『Opportunity』という言葉。
これ日本語で『機会』というわけですけども、アメリカであれば、
自分から駆動力を持って社会移動しよう、成功しようっていう意味での
『機会』には、『平等(Equality)』という言葉が使われるわけですよね。
『機会平等』と言ってきたわけだけど、日本語では『機会平等』と
あまり言ってきてないんですよね、政府の文言なんかを見ても。
『機会均等』というふうにずっと言われてきている」

武田「男女雇用機会均等法とかありますもんね」

勅使川原「そうなんですよね。男女雇用機会にしてもそうですけども
『それって、ただの言葉の違いでしょ?』と思うかもしれませんが、
言葉が違うとやっぱり問題提起も変わってくるわけなんですよね。
誰に責任があるのか、ないしは誰かの責任を弱めたり
強めたりしていないかっていうところが、知識社会学のポイントでして。
今回の『機会平等』、『機会均等』の言い方で言えば、
『いや、平等にするのは多分、難しいからそこまでは言いません。
だけど、均等に日本でいうと公教育なわけですけども、機会は与えますから
あとはよしなにやってください』というようなハードル下げが
あるんじゃないの?というご指摘をされていました。
そういう話を聞いていましたので、やっぱり合理的配慮は大事だけど、
それが格差をなくすためなんだというよりは、『いやいや、これがないと
ただただ不平等だから、必要なんじゃないの?』と言い換えたほうが
いいんじゃないのかなということを、老婆心ながら思った次第なんです」

この後も、勅使川原真衣さんの「合理的配慮」についての考察はまだまだ続きます。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

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