メディア不信…ネットもマスコミも毒ありそう 武田砂鉄は「両方信用しないし信用する」
フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝のラジオ番組、『武田砂鉄 ラジオマガジン』。4月20日は、月曜レギュラーでドイツ出身の翻訳家・エッセイストのマライ・メントライン氏と、マスコミやネットなどのメディアについてトークを繰り広げた。
マライ「今日はメディアの話をしていこうと思います。『結論や正義を要求する前に、まず考えることを思い出そう』というテーマです。日本では最近よく「マスゴミ」っていうワードを聞くと思うんですけど、ドイツでも「Lügenpresse(嘘つきメディア)」っていってメディアを罵倒することが多くなってきてるんです」
武田「SNSでもこういう言葉がしょっちゅう飛び交うわけですか?」
マライ「そうなんです。デモなどでも叫びます。すごくメディアに対する不信感が強くなってきているんです。なんとなくなんですけど、私たちが今いる言論空間には、2つの極があって、どっちか決めなきゃいけないみたいなプレッシャーがあるわけですね。一つはマスコミです。かつては栄光を誇ってたんですけれども、今はものすごくさえない存在になってしまっている。で、右から左からもすごく罵倒される。じゃあ、もう一つのネットを選ぶのか? でも、そこは怒りとか罵倒とかフェイクに満ちたメディアになっているわけなので、どっちを選ぶのか結構迷ってしまうんですよね。どっちもすごく毒がありそうで、それをバランスよく飲むしかないのかなって。あるいは、マスコミもこうだし、ネットもこうだし、ちょっと諦めなくちゃいけない空気が出てきている気がするんですよね。今の言論空間ってどう思っていますか?」
武田「僕は、いわゆるマスコミもネットも、両方信用しないし、両方信用するしというか、その都度自分で選び取っていく。でも選んでいくのももちろん恣意的に選ぶし、「どこかのメディアは全部マルだ」とか、「どこかの媒体は全部バツだ」っていうことではなく、その都度、自分なりにブレンドしていくしかないけど、そのブレンドもまた非常に「自分で選んでるんだぞ」っていうことを考えながら日々接しています」
マライ「そうなんです。選ぶっていうことは、何か基準があって選んでるわけで、その基準が果たして正しいのか、そこがすごく大事になってくるんじゃないかなと思ってるので、やっぱり考えることは大事だな、という話です。この間、『南ドイツ新聞』を読んだら、すごく面白い論考記事があって刺激になりました。『南ドイツ新聞』って聞くとローカル紙かと思うかもしれませんが全国紙です。ローカルコーナーもあるけど、すごく質の高い記事をたくさん掲載している新聞です。これから紹介するのはその新聞が4月10日に掲載した記事で、『イーロン・マスクやほかの超富裕層が自らのメディアをどのように利用しているか』というタイトルです。書き出しはこのようになっています。
――超富裕層の新たな一団がメディアを買収し、それによって自らのビジネスや、右派ポピュリスト政治家を後押ししている。これは民主主義をどれほど脅かしているのか。そして何が対策として可能なのか――
この記事の内容は、超富裕層はメディアを支配していて、それが民主主義システムを揺るがしているという話です。例えば昔はルパート・マードックのような新聞王がいました。彼は政治家との関係を通じて世論を動かし、自ら利益と影響力を拡大しました。他にもね、イタリアのベルルスコーニ――みんな覚えてますか?――は、メディアを足場に政治権力を直接握ったわけです。しかし!」
武田「しかし」
マライ「今はイーロン・マスクとかジェフ・ベゾスとか、テック系富豪が本業ではなくて副業としてメディアを所有する。そこでポピュリスト政治家をプロデュースする、自分の影響力を行使する、ということです。
本来、メディアは権力側をチェックするのが大事な仕事ですよね。でもそうではなくて、今は逆に権力の一部となりつつあるんですよね。そして記事の結論です。対策としては何ができるのか? 所有の集中を規制するとか、あるいは読み手・見る側のリテラシーの教育。あるいは、アメリカにはない独立した公共放送を構築する。あるのであれば、その強化が不可欠だとしています。
ここからはちょっと細かく紹介していこうと思います。まず、マードックとベルルスコーニです…」
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