「憲法週間」に、弁護士・三輪記子が最近の事件報道と自白法則に鋭く突っ込む

「憲法週間」に、弁護士・三輪記子が最近の事件報道と自白法則に鋭く突っ込む

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フリーライターの武田砂鉄が生放送でお送りする朝の生ワイド「武田砂鉄ラジオマガジン」(文化放送)。5月7日(木)8時台のコーナー「ラジマガコラム」では、木曜前半レギュラーのロバート キャンベルのピンチヒッターで弁護士の三輪記子が「最近の事件報道と自白法則について考えたこと」を語った。

三輪記子「今日は『最近の事件報道と自白法則について考えてみた』というテーマでお話ししたいと思います。
今週は5月3日の憲法記念日を含む『憲法週間』なんですけど、憲法って本当100条ぐらいで少ないんですが、全部知ってるよっていう人はそんなに多くないと思うので、今日はその中から『憲法38条』について、最近の事件報道と一緒に考えてみます。
まず『憲法38条』っていうのはどんな条文かっていうのを、西村さん、ちょっと読んでいただいてもいいですか?」

西村志野「はい、ご紹介します。こんな規定があります。
『憲法第38条1項:何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2項:強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3項:何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない』
という規定があるということですね」

三輪「ありがとうございます。
憲法38条1項は、これまさに『黙秘権の保障』なんですよね。『黙秘権の保障』っていう風に書いてるわけじゃないけど、まあ『供述を強要されない』。もうこれ、黙秘権の保障なんです。
で、黙秘権を保障するためには『強制とか拷問とか、そういうことによる自白とかっていうのは証拠にはしないよ、だから仮に自白したっていうことがあっても、それは刑事手続きにおける証拠にはしない』と。つまり、その証拠を排除して、他の証拠から認定するっていうことなんですよね」

武田砂鉄「なるほど」

三輪「で、さらにこの3項は『もし自己に不利益な唯一の証拠が自白の場合には、その自白だけを証拠として有罪にしたり刑罰を科したりしないよ』っていうことで、これ『補強法則』って言うんですけれども『自白だけでは有罪にはしない』っていうことを憲法が定めてるんですよね。
憲法が定めてるっていうのは要するに、国家権力に対してこういう負荷を課してるんですよね。この負荷を課すことによって、刑事事件の被疑者とか被告人の人権保障をするっていうわけですね」

武田「うんうん」

三輪「で、有名な芦部憲法(芦部信喜著『憲法』)の第8版によりますと、
憲法38条2項は、『強制・拷問・脅迫による自白、または不当に抑留もしくは拘禁された後の自白は証拠とすることができない』という風に定めて、被疑者または被告人の行った任意性のない自白の証拠能力を否定する原則、『自白排除の法則』を明らかにしています。
さらに3項は何人もそれだけでは有罪にされたり刑罰を科せられないと定めて、仮に任意性のある自白であっても、これを補強する証拠が別にない限りは、有罪の証拠とすることができない旨の『補強証拠の法則』を謳い、1項の黙秘権の保障を確保する手立てを講じているんですよ、と。
黙秘権をただ保障するだけでは、黙秘権っていうのは本当に実効性のあるものにならないから、さらに負荷をかけてるっていう風に芦部憲法では説明されています。
で、これをさらに進めて、刑事訴訟法ではもうちょっと進んだ規定がされているので、刑事訴訟法の319条をちょっと読んでいただいてもいいですか?」

西村「はい。刑事訴訟法第319条。
『1項:強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることができない。
2項:被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない』
…という規定があるということです」

三輪「そうですね。ここで大事なのは、『任意にされたものでない疑いのある自白も証拠から排除するよ』っていうことを謳ってるわけですよ。
最近の事件報道……まさに事件報道であって裁判報道じゃないんですけど、『容疑者がこんなことを喋っているよ』っていうことが毎日のように報道されてますよね。
しかも報道されている『本人がこんなこと言ってるよ』っていうのは、まさに自白ですよね?本人の不利益になるような、『犯罪行為にあたる事実を言ってますよ』っていう報道が数多くされてますよね」

武田「はい」

三輪「これちょっと怖いのが、実は逮捕前、被疑者になる前から『参考人がこんなこと言ってますよ』みたいな報道がずっとされてます。で、それがあたかも事実であるかのように私たちは受け取ってるわけですよね。
で、この自白法則を聞いた後に今のこの報道状況を照らし合わせると、これ仮に自白であったとしても、証拠能力のない自白に当たる可能性があるものを私たちはずっとそのニュースにさらされてるわけですよ」

この後も、三輪記子さんは弁護士の立場から「事件報道と自白法則の問題点」を鋭く指摘しています。気になる方は、radikoのタイムフリーでご確認ください。

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