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2016年3月 7日 語られぬ戦い

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画像は宮城県南三陸町にある志津川中学校の仮設住宅です。
今年の6月あたりから、ようやく災害公営住宅などへの移転が始まります。
ところが、取材した80代のご夫妻が災害公営住宅に入れるのは、来年の夏。
1年以上の「入居時期格差」が発生しています。
なぜ、住宅の移転には、これほどまでに時間がかかってしまうのでしょう。
そこで南三陸町役場を訪れ
復興事業推進課 公営住宅整備係長 杉本明さんに聞きました。
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QR:災害公営住宅の整備状況は?
杉本さん:戸数はトータルで738予定。そのうち104が完成、入居が始まっています。
今年度末には140が完成予定で現在検査等の手続き中で平成28年度末完成を目標に整備しています。
QR:入居時期にこれだけの格差があるのはなぜですか?
杉本さん:整備戸数がかなりあり、一度に整備するのが困難だからです。
このため事業手法を色々考えています。「URからの買い取り」「宮城県への業務委託」「地元の建設業者による木造協議会からの買い取り」など色々な事業手法です。UR一社で全部するのは困難ですから。いっぺんに入居はなかなか難しいですね。例えば木造戸建ては、地元業者の協議会にお願いしていますが、職人さんのマンパワー的な問題もあります。
QR:ほかに理由はあるのですか?
杉本さん:あとは申し上げにくいのですが・・・
今の町の職員の体制が少ないというのもあると思います。
災害公営住宅整備係は7人ですが、ほとんど県外からの派遣なのです。
言い訳にはできませんが、確かにそれもあるのです。

QR:津波では町役場の職員も多くが犠牲になったと伺いました。
杉本さん:それもあります。役場の職員は300人だがその3分の1は県外からの派遣です。
派遣元となる各自治体にも、応援に出せる人数には限りがあるのですが、
まあ、そこはわたしらの頑張りしだいで早期完成は可能だと思います。
QR:職員の皆さん、疲れてはいませんか?
杉本さん:土日も出勤することがあり、体調こそ崩していませんが、
みな、かなり疲れているとは思います。
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杉本さん自身も兵庫県の職員でした。
兵庫県では、阪神淡路大震災で建物が壊滅したあと
そこに新築、再建された建物を調査する仕事を担当していました。
東日本大震災の後、兵庫県から南三陸町への派遣を打診された時、
「自分が役に立てるなら」と決意し、応じたといいます。
しかし実際に来てみると、厳しい現実が待っていました。
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杉本さん:震災から4年でもこういう状況かと正直思いました。
日々いろんな課題が毎日出てくる状況。正直綱渡り状態です。
ですが、着実に進めている実感はあります。
震災から5年。町外の仮設に住む人がそこが「住みよい町だ」と感じた場合、
南三陸に戻ってくるかどうか・・・。町としては早期に災害公営を完成させて戻って頂きたい。
災害公営住宅は今、滑走路を走っている状況なのです。
あと1年で飛行機は飛びたちます。
そのあと入居されたかたがたの家から、いつか笑い声が聞こえてくるといいなと思うんです。
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先日、南三陸町の佐藤仁町長に聞いたところ、住宅政策の遅れには
「相続登記をしてない土地がずいぶんあったことも大きかった」といいます。
「100坪ぐらいの土地に70人の権利者がいて全員からはんこをもらわなけれないけなかった」と。
やはり、大きな要因としてマンパワー不足は否めません。
しかし、現場では住民の気持ちを慮り、それを理由にする職員は多くはありません。
それ故、家族を故郷に残し,遠い被災地で激務に耐えている人々のことは、なかなか語られてこなかったのです。
それでも杉本さんらは、単に住宅の整備だけではなく、災害公営住宅に入居することでコミュニティから断絶しないよう、入居前に住民同士の顔合わせの機会を設けるなど、考えうる限りのことをやろうとしていました。
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東日本大震災の復興支援のため岩手県大槌町に派遣されていた兵庫県宝塚市の45歳の職員は、土地区画整理事業などを担当していましたが2013年に仮設住宅で自ら命を絶ちました。その後、民間企業の労災に相当する公務災害に認定されました。
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ただ、亡くなった職員は決して被災地を見放したわけではありません。
仮設の部屋に残された遺書には、こう書かれていたのです。


「大槌はすばらしい町です。大槌がんばれ!!」






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『シリーズ被災地の真実 震災から5年、南三陸は今』
放送日:2016年3月9日(水)  午後7時00分~8時00分

文化放送報道制作部では「ニュースパレード」を中心に、日々のニュースをお伝えしています。

その一方で、私たちの周りには普段のニュースでは伝えきれないような話が溢れています。

それをお伝えする場所が、このリニューアルしたブログ。
部員それぞれがゆるやかに伝えていきます。
ニュースの「おまけ」として楽しんで頂ければ幸いです。
よろしくお付き合いください。

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