アナ歴40年！邦丸が様々な エピソードを語る連載企画⑳『恐～い借金取りのお兄さんが「まあ、上がれや」』

阪神淡路大震災、そして地下鉄サリン事件の衝撃から、少しずつ立ち直っていくことができたのは、
やはり日々、番組を作っていくという作業があったからだと思います。

「ピッピッポーン！　まんまる玉子の邦丸じゃ」時代に、一人でマイクとデンスケを
持って取材する企画がありました。

これは、ツラかったけど鍛えられましたね。
毎日、話題になっている現場へと出かけて行くんです。

ある時、都内某市で、市長さんがトラブルに巻き込まれ失踪するという事件がありました。
留守宅に借金取りが入り込んで待ち構えており、
けっこうなニュースになっていたので「そこへ行け！」ということに。

普段だったら、却下されたかもしれないネタでしたが、
悪いことに、聴取率調査週間だったんですよね…。

まあ、早い話、自宅に入り込む借金取り、というのは、
けっこうコワい方面の方々だったりするわけですよ。
昔も今も、あまり積極的に、お目にかかりたくはないです、私としては。
気は進みません。

ただ、仕事ですから…。
「文化放送」と大きく書かれたマイク、デンスケを目立つように持って（水戸黄門の印籠のようなモノですね）、
気が重い中、その自宅の前へと出かけて行くと…。

案の定、イカついお兄さんがきて「何やってんだ？」
「いえ、どんな感じになってるかと思いまして」
と、安全対策として文化放送印のマイクを見せました。

すると…。
「ちょうどいい、上の人間に話を聞いてってくれよ」
「いや、それほどのコトではなく…」
「いーよ、構わないから上がってくれよ」

断るわけにもいきません。門の中に足を踏み入れると、
さすがは市長さんのお宅、立派な玄関です。奥から「上の人」が出ていらしたので、
「もう、ここで十分ですから、お話を伺えれば…」
「どこの局だ？　文化放送、あー、よく聞いたよ、♪セエヤ～ングって。まあ、上がってくれよ」
「いえ、もう、お忙しいでしょうから、これで…」
「構わないよ。録音回していいから、話聞いてけや」

そして、いかに自分たちの方が被害者であるか、自宅を占拠している正当性をじっくり、
小一時間ぐらい、語ってくださったんです。

終わって、無事に、解放してもらえて、心からホッとしましたね～。
そして次の朝、番組でその顛末を語らせて戴きました。
ありがたいことに、数字、よかったんですよ…。

もう一つ、これも聴取率調査週間の企画でしたが「新宿中央公園ノゾキの現実」ってのがありましたね。
週刊誌で、中央公園のベンチで、深夜近く、仲睦まじいカップルに対する「ノゾキ」「盗撮」がクローズアップされていた時期で…。
一人で行くわけにもいかないので、女性スタッフと二人、深夜中央公園に。
ベンチをカップルが占拠して、イイ感じでよろしくやってます。
そのうち、不意に、音もなく黒装束の男が私たちのところに近づいてきました。

「お前ら、何やってんだ」
「私たちは文化放送のモノでして、カップルの実態を取材に来たんですが…」
「警察じゃないんだな。…でもジャマなんだよ！」
そして男は、びっくりするような話を始めたんです。
「俺たちはな、警察公認のノゾキなんだよ」

過去の記事はこちら👇
【野村邦丸 ワタシの履歴書～アナウンサー歴40年記念特別連載企画～】

『第1回　必修単位を落としてもアナウンサーになれる!?』

『第2回　局の玄関にコタツ、トン汁食べながら生放送で県警から大目玉』

『第3回「完璧にパクった」ＮＨＫ松平アナに仁義を切った話』

『第4回　主夫として生きるつもりが「いつまでそんなことやってんだ！」と一喝されて…』

『第5回　控室で爆睡、本番でスポーツのスの字も聞かれなかった入社試験に合格で「ビックリ仰天」』

『第6回　どうせ中継はないとくつろいでいたら…』

『第7回　無事野球中継デビュー、連日奮闘もバラエティへの憧れが抑えきれず…』

『第8回　「今までにないニュース番組を作る」確かにタイトルは今までになかったが…』

『第9回　棺を乗せた軽トラの車列を見て「何も喋れない…」』

『第10回　もう家業はダメかもしれん。でも従業員は全員生きとった。これだけや…』

『第11回　阪神淡路から戻った夜「ワンカップの味がしない…」』

『第12回　ゲームセット、でも解説者はとっくに消えていた』

『第13回　超高級スナックの勘定書に顔面蒼白となった若きエース』

『第14回　「ノ…ノムダクニマドゥでふ…」酩酊状態で放送開始！』

『第15回　お前と野球中継するつもりはない。面白い中継をする』

『第16回　本人の知らないところで誕生していた…我がラジオネーム「邦丸」』

『第17回　無謀なワタシを本気で叱ってくれた、後の愛妻ミッちゃん』

『第18回　お待たせしました。七五三のなれの果ての入場です！』

『第19回　阪神淡路、地下鉄サリンの衝撃とリハビリの日々』

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野村邦丸：1957年1月17日生まれ。川崎生まれ、日大明誠高校・日大法学部新聞学科を経て1981年茨城放送入社、
フリーを経て1991年文化放送入社。2017年定年退職、再びフリーとなる。
「くにまるジャパン極」パーソナリティ。
家族・高校野球・シカゴ（ロックバンド）、そして酒と肴をこよなく愛する。
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10月20日「日本の平均賃金、30年間ほぼ横ばい…なぜ上がらないか？」
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10月21日「新聞の選挙情勢の報道を疑問視…『有権者は間違いなく影響を受ける』」
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10月15日「アフガニスタン・タリバン政権を巡る米露それぞれの思惑とは？」

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10月18日 錦織一清さん「少年隊のニッキを“お笑い担当”にしたのはジャニー喜多川さんの教育」

10月19日 吉田照美さん「伝説の番組「やる気マンマン」復活！？ 」

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