アナ歴40年!邦丸が様々な エピソードを語る連載企画⑲『阪神淡路、地下鉄サリンの衝撃とリハビリの日々』

アナ歴40年!邦丸が様々な エピソードを語る連載企画⑲『阪神淡路、地下鉄サリンの衝撃とリハビリの日々』

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【野村邦丸 ワタシの履歴書 ~アナウンサー歴40年記念特別連載企画~】

『第19回 阪神淡路、地下鉄サリンの衝撃とリハビリの日々』

さて、このあたりで本題に戻って、引き続き私の文化放送での歴史をたどってみたいと思います。

以前にもお話した、阪神淡路大震災の取材で神戸に通い詰めた衝撃が
あまりにも大きく、もう余力がほとんど残っていなかった。

そこに追い打ちをかけたのが、オウム真理教の地下鉄サリン事件。
これが、震災のわずか2か月後に起きるわけです。
本当に、この時期はキツいなー、と、日々思っていました。

それでも、時間というのはありがたいもので、少しずつ、
そんなショックを和らげてくれるものです。

スタッフにも恵まれました。
日々の楽しいやりとりが、いいリハビリになっていたような気がします。

当時、私は朝早い番組だったのでホテル暮らしをしていましたが、
そこに入れ代わり立ち代わり、スタッフが遊びにやってきます。
まあ、主に飲みすぎて帰れなくなったとき、仮眠を取りにくるような場所だったわけですが。

同年配だけじゃなく、年下のスタッフたちも気軽に来てくれて楽しかった。
その中の一人が。
のちに一緒に「なんて素敵なラジオのしごと」という本を出すことになる、
イカ山ゲソ介ディレクターでした。

もっとも、最初はギョーカイのニオイをプンプンさせていて
(こいつとは、付き合うことはないだろうなあ…)と思っていた男なのですが。

「あ、邦丸さんですか。今からいきますね」
って電話をかけてきて、そのホテルの部屋に入るなり
「いい部屋じゃないですか! この部屋、あなたにはもったいないですね」と一言。

そして窓から乗り出し、外を見るなり「なんですか! こーゆーコトって、ありなんですか?」
と大声で叫ぶんです。
何事かと思うと…
そのホテルの隣は病院があって、患者さん用の駐車スペースが確保してあり、
道路を四角く囲った白いペンキの中に、「患」という文字が大きく書いてあるわけです。

イカ山くんは、そのエリアを見て「天下の公道を、いち串焼き屋が占拠できるんですか?もう日本は無法状態ですね」と、のたまう。
「なんですか、クシシンって!」
イカ山くん、「患者」の「患」っていう字を、「串」と「心」に分けて読んで「クシシン」って、
串焼き屋さんだと思い込んでしまったんですね。

普通の人には、どうやったって「患者」の「患」にしか見えないと思うのですが…。
「イカ山君。隣の建物になんて書いてあるかわかる?」
「病院じゃないですか!」
「私が思うに、その駐車スペースは、患者さん用に確保してあるんじゃないかな」
「……は~~~!」

イカ山君、激しく動揺して「邦丸さん。この話、絶対、誰にも言わないでくださいね」と青い顔…。
まあ、その時点で、彼が部屋に来たときよりもさらに強く「こいつとは付き合わないだろうなあ」と思ったのですが、
その後長い間付き合って本まで出すことになるんですから、人間、わからないものですね。

それにしても、私の部屋から外を見て、「患」を「クシシン」と読んだのは、後にも先にも彼一人でした…。
まあ、そんな日々が絶好のリハビリとなって、私は少しずつ、日常を取り戻していくことができたんです。

過去の記事はこちら👇
【野村邦丸 ワタシの履歴書~アナウンサー歴40年記念特別連載企画~】

『第1回 必修単位を落としてもアナウンサーになれる!?』

『第2回 局の玄関にコタツ、トン汁食べながら生放送で県警から大目玉』

『第3回「完璧にパクった」NHK松平アナに仁義を切った話』

『第4回 主夫として生きるつもりが「いつまでそんなことやってんだ!」と一喝されて…』

『第5回 控室で爆睡、本番でスポーツのスの字も聞かれなかった入社試験に合格で「ビックリ仰天」』

『第6回 どうせ中継はないとくつろいでいたら…』

『第7回 無事野球中継デビュー、連日奮闘もバラエティへの憧れが抑えきれず…』

『第8回 「今までにないニュース番組を作る」確かにタイトルは今までになかったが…』

『第9回 棺を乗せた軽トラの車列を見て「何も喋れない…」』

『第10回 もう家業はダメかもしれん。でも従業員は全員生きとった。これだけや…』

『第11回 阪神淡路から戻った夜「ワンカップの味がしない…」』

『第12回 ゲームセット、でも解説者はとっくに消えていた』

『第13回 超高級スナックの勘定書に顔面蒼白となった若きエース』

『第14回 「ノ…ノムダクニマドゥでふ…」酩酊状態で放送開始!』

『第15回 お前と野球中継するつもりはない。面白い中継をする』

『第16回 本人の知らないところで誕生していた…我がラジオネーム「邦丸」』

『第17回 無謀なワタシを本気で叱ってくれた、後の愛妻ミッちゃん』

『第18回 お待たせしました。七五三のなれの果ての入場です!』

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野村邦丸:1957年1月17日生まれ。川崎生まれ、日大明誠高校・日大法学部新聞学科を経て1981年茨城放送入社、
フリーを経て1991年文化放送入社。2017年定年退職、再びフリーとなる。
「くにまるジャパン極」パーソナリティ。
家族・高校野球・シカゴ(ロックバンド)、そして酒と肴をこよなく愛する。
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📻くにまるジャパン 極 平日09:00~13:00生放送📻
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水曜日 二木啓孝さん
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木曜日 伊藤惇夫さん
10月21日「新聞の選挙情勢の報道を疑問視…『有権者は間違いなく影響を受ける』」
金曜日 佐藤優さん(第1・3・5金曜日)
10月15日「アフガニスタン・タリバン政権を巡る米露それぞれの思惑とは?」

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10月18日 錦織一清さん「少年隊のニッキを“お笑い担当”にしたのはジャニー喜多川さんの教育」

10月19日 吉田照美さん「伝説の番組「やる気マンマン」復活!? 」

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