アナ歴40年!邦丸連載企画㉙真冬の稚内、猛吹雪の中で出会った人々は?

アナ歴40年!邦丸連載企画㉙真冬の稚内、猛吹雪の中で出会った人々は?

Share

【野村邦丸 ワタシの履歴書 ~アナウンサー歴40年記念特別連載企画~】

『第29回 北の大地のロシアンパブにはロシア美女がワンサカ!しかし…』

吹雪の稚内に「買い出し隊」として出かけた私、
ディレクター、作家の3人は、取材を兼ねて近所の有名なお寿司屋さんに向かうことに。

「ちゃんと帰ってきてね」
心配そうな宿の女将さんに見送られ出発です。

外に出たとたん、凄まじい吹雪です。
細身の作家は風に押し戻され、前に進むことができません。

だいたい、目を開けるのも大変なので、方角を確認するにも時間がかかる。
外を歩いている人などゼロ。

遠くにお寿司屋さんの灯りが見えるのですが、なかなか近づけない。
普通なら5分ぐらいの距離を、20分ぐらいかけようやく到着しました。

宿を出る前、電話したら「客が来ないから、もう閉めようかと思っていた」
というお寿司屋さんは「来てくれたのはありがたいけど、大丈夫かい?」と
暖かく迎えてくれ、
さらに「ネタはあんまりないけど、大サービスするよ!」と、
珍しいモノをいろいろ出してくれて…。

極上の寿司と暖かいお酒でパワーアップ。
帰りは一転して追い風で、雪の中、時々転びながらも、
劇的なスピードで、あっと言う間に宿に着きました。
耳がすさまじく痛かったのを覚えています。

迎えてくれた女将さんは、
「とにかくお風呂入んなさい…でも放送局って命がけの仕事なんですね」

翌日は、プレゼント用のカニを買い出しに、カニ屋さんに。
ここでも出会いに恵まれました。

いい社長さんで、わざわざ来てくれたんだから…と、
立派なカニをすごく安い値段で提供してくれることになったんです。
とてもいいカニなので、ラジオショッピングでも販売させてもらうことになり、
番組で値段を発表したら、カニ屋さんが、その冬一杯で売る予定だったカニが、全部売れちゃった!

「ラジオってすごいね」
カニ屋さんはとても喜んでくださいました。
命がけで出かけた我々も、行った甲斐があったというものです。
かくして取材成功!

宿の女将さんは「つまみにして」と、相当な量の漬物を持たせてくれました。
もちろん飛行機は飛ばず、鉄道で札幌に向かうことになりました。

ラッセル車が、本当に動いている! すごいなー、と感心した記憶があります。
ところが…北海道の冬の列車って、暖房がガンガンに効いてるわけです。

すると、紙袋の中の大量の漬物が、どんどん発酵が進み、独特の匂いを醸し出して…。
いや、匂いという段階を通り越して「くせー」という状況に。

結局、車掌さんに「申し訳ありませんが、
デッキに置いていただけませんか」と、お願いされてしまいました…。

最終的には札幌までたどり着けず、千歳の近くのどこかだったかな。
ようやく宿に入り、人心地ついた時、ディレクターがどこかから
「ロシアンパブがある」という情報を仕入れてきたんです。

もうヘトヘトですから「俺は行かない」って反抗したんですけど
「邦丸さん! せっかくここまでロシア美人に会わない手はないですよ!」
と強く誘われて。

もう風呂に入ったし、外になんか出たくなかったけど…行きました。
自費で。

するとそこは、本当の「ロシアンパブ」で、働いてるお姉さんはもちろん、
お客さんも、ほとんどはロシアの漁師さん。

飛び交うのも99%ロシア語という状況。
ビールだけ飲んで、そそくさと退散いたしましたとさ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
野村邦丸:1957年1月17日生まれ。川崎生まれ、日大明誠高校・日大法学部新聞学科を経て1981年茨城放送入社、
フリーを経て1991年文化放送入社。2017年定年退職、再びフリーとなる。
「くにまるジャパン極」パーソナリティ。
家族・高校野球・シカゴ(ロックバンド)、そして酒と肴をこよなく愛する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

野村邦丸がパーソナリティを務める
「くにまるジャパン 極」は
スマホやPCでもお聴きいただけます👇

で開く

※タイムフリーは1週間限定コンテンツです。
※他エリアの放送を聴くにはプレミアム会員になる必要があります。

過去の記事はこちら👇
【野村邦丸 ワタシの履歴書~アナウンサー歴40年記念特別連載企画~】

『第1回 必修単位を落としてもアナウンサーになれる!?』

『第2回 局の玄関にコタツ、トン汁食べながら生放送で県警から大目玉』

『第3回「完璧にパクった」NHK松平アナに仁義を切った話』

『第4回 主夫として生きるつもりが「いつまでそんなことやってんだ!」と一喝されて…』

『第5回 控室で爆睡、本番でスポーツのスの字も聞かれなかった入社試験に合格で「ビックリ仰天」』

『第6回 どうせ中継はないとくつろいでいたら…』

『第7回 無事野球中継デビュー、連日奮闘もバラエティへの憧れが抑えきれず…』

『第8回 「今までにないニュース番組を作る」確かにタイトルは今までになかったが…』

『第9回 棺を乗せた軽トラの車列を見て「何も喋れない…」』

『第10回 もう家業はダメかもしれん。でも従業員は全員生きとった。これだけや…』

『第11回 阪神淡路から戻った夜「ワンカップの味がしない…」』

『第12回 ゲームセット、でも解説者はとっくに消えていた』

『第13回 超高級スナックの勘定書に顔面蒼白となった若きエース』

『第14回 「ノ…ノムダクニマドゥでふ…」酩酊状態で放送開始!』

『第15回 お前と野球中継するつもりはない。面白い中継をする』

『第16回 本人の知らないところで誕生していた…我がラジオネーム「邦丸」』

『第17回 無謀なワタシを本気で叱ってくれた、後の愛妻ミッちゃん』

『第18回 お待たせしました。七五三のなれの果ての入場です!』

『第19回 阪神淡路、地下鉄サリンの衝撃とリハビリの日々』

『第20回 恐~い借金取りのお兄さんが「まあ、上がれや」』

『第21回 警察公認のノゾキって…そんなのアリ!?』

『第22回 魚を追って、伊勢正三は渓流の彼方へ消えた』

『第23回 木根! 俺はお前の先輩なんだよ!』

『第24回 小倉智昭さん、六本木のど真ん中でブルズの真っ赤な革ジャンですよ。少しはわきまえて欲しいですよね…』

『第25回 吉田照美の「期待ゼロ」宣言に応えてしまった「ZUNZUN」第一回』

『第26回 伝説の放送作家「翁」ホスト事件』

『第27回 日が暮れても待っていてくれた北海道のジャガイモ農家』

『第28回 命知らずの運転手さんと真冬の宗谷岬へ』

Share

関連記事

NOW ON AIR
ページTOPへ