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1月15日 ゲスト:大石 静さん


テーマ『緊急特集!
          ドラマ「セカンドバージン」大人気の秘密!』

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この日のゲストは1986年、『水曜日の恋人たち』で脚本家デビューを果たし、
NHK連続テレビ小説『ふたりっ子』では
「第15回 向田邦子賞」「第5回 橋田賞」をダブル受賞。
その他『オードリー』『功名が辻』『長男の嫁』『アフリカの夜』『四つの嘘』
『ギネ 産婦人科の女たち』など数々の代表作を生み出し、
2010年10月~12月に放送され大きな人気を集めた
NHKドラマ10『セカンドバージン』の作者、脚本家の大石 静さん。
 
「年下の主人に頭を撫でられるとトキメキます」
というメッセージをご紹介して・・・

(弘兼)「頭くらいなら いくらでも撫でられますよね」

(石川)「“いくらでも”って・・・」

(弘兼)「わかりました。すいません…」

(画像をクリックすると別画像を拡大表示します)

※弘兼さんが手にしている
 スケッチブックの内容は
 「出演者の名言」のページでご紹介しています 大石 静さんが自ら語る
 『セカンドバージン』の人気の秘密は――?
 
 また、去年春から展開中の
 「言葉の大切さ」「言葉が持つ力」をご紹介する
 言葉のチカラ×ラジオのチカラ『ことバリュー』文化放送――
 「団塊倶楽部」での特集 第4弾として
 大石 静さんと一緒に
 『台詞の真髄』を大研究。

“セカバー”が教材とあって、男女の“思考”“生き方”…と
トークの中身は徐々に深みを帯びて・・・



『セカンドバージン』人気の秘密
 
「私も希望を捨てずに生きたい」
「もう一度恋をしたい」
「私も年下の人と こんな恋愛をしていました」
 
40~50代の視聴者を中心に、数多くの声が寄せられたという『セカンドバージン』
 
大石 「意外といるんだな、という感じです」
 
弘兼 「“男性が40代で女性が20代”というのはいくらでもありますけど
     この“逆”というのがポイントですよね」

 
“若さ”“若いこと”の素晴らしさ…
20代の登場人物が どのような恋愛をし、誰と結ばれるのか…
「このようなことを描いてもつまらないし、興味を持てない」――
 
  そこで着目したのが、45歳の女性を主人公とした恋愛物語。
 
  当初はもっと上の年代
  55歳くらいの女性を主人公とする案もあったそうですが
  ドラマで女優が演じることを考慮して・・・
 
大石 「鈴木京香さん(42歳)に演ってほしいと思ったものですから
     彼女に合わせて、45歳で老眼鏡もかけている設定にして
     “若い子よりも素敵だ”――っていう風にえがきたかったの」

 
弘兼 「僕も『黄昏流星群』という漫画をいてるんですけど、
     “恋愛”っていうのは若い人たちのものばかりではなくて、
     50代、60代の人もいっぱい恋愛してるんだから、
     同じ世代の読者にエールを送る・勇気を与えるために
     描いてるんですよね」

 
  大石 「それをやっていらしたのが弘兼さんだけで、
       誰も続く人がいなかったんですよ。
       やっと私が追いついたような気分です」

 
ここで大石さんは今から17,8年前、
弘兼さんから言われた言葉を紹介してくださいました。
 
とあるシンポジウムで次のようなコメントを残した大石さん――
『私は、私を捨てるところからドラマを描く』と発言。
 
  すると、弘兼さんは・・・
  『どうして、自分らしいことを自分の世代に向かって描かないのか』
  という意見を寄せたそうです。
 
大石『そんなこと言ったって…』と思ったんだけど
     そのことをずっと忘れられなかったんです」

 
弘兼 「…ということは、ずっと僕のことを想ってた?」
石川 「それはちょっと違うんじゃないないですか」
 
  大石 「やっと弘兼さんに追いついた感じで、
       きょうお目にかかるんで、そのことを言いたかったんです」



『セカンドバージン』~セリフの真髄
 
鈴木京香さん演じる るい の赤裸々なセリフや、
男女の普遍的な関係を見事に言い当てたセリフが溢れている
『セカンドバージン』のセリフを教材に
大石 静さんに『セリフの真髄』について伺いました。
 
【1】
『私ね……夫と離婚した時、もう二度と男の人を頼りにしないと決めたの。
 愛とか恋とか、そういうものを私の人生から排除したの』

(弘兼)「“男なんてこりごり”って感じですね。
     この意思を持続できるのは、それに見合う面白い仕事がある人ですね」

 
(大石)「仕事の手応え、人生を支えるものが“男”意外にあれば
     男なしでも生きられる人はいるかもしれないけど、
     でもそれは潤いがなくて寂しいなと思うけど…」

 
【2】
『ファーストバージンを失うのは、誰でも普通に訪れることよ。
 でもセカンドバージンに陥った女が、そこを突破するは簡単じゃないの。
 もうこれ以上、恥をかかせないで』
『わたし、あなたの前で服を脱ぐ気はないから』

 
(弘兼)「つまり、男の人に遠ざかって、
     再びそのチャンスが訪れた時、女って臆病になるんですかね?」

 
(大石)「すごく臆病になると思う。
     しかも(るいは)仕事で成功してるし、みっともないところは見せられない。
     “女の部分”を見せるのは
     セカンドバージンじゃなくても恥ずかしいと思うんですよ。
     20年もしてないと
     自分の体がどう変化しているかは わからないじゃないですか。
     そういう恐怖感。そういうことが気になると思うんです」

 

 
【3】
『母であることも、妻であることも卒業できるけど、
 女であることは、卒業できないんだってば』

 
大石 「これはそのままだと思います。
     子孫を残すことに関係ないけど、
     誰か異性を愛する――という時に本当の恋を感じると思うんです。
     “発情期を過ぎてからの恋”というのが重いと思うので」

 
 
また、このパートでは石川真紀アナウンサーの深層心理に迫る場面も。
 
  “年上のほうが合う”と考える石川アナにとって
  『セカンドバージン』は
  「年下と付き合ったらこうなるのかな」
  年下の男性との恋愛を疑似体験するドラマに――。
 
  自分が40歳くらいの時に、20歳くらいの男性との交際は・・・
 
石川 「考えられないですね。
     何かもっと“乗り越えなきゃいけないもの”が出てきそうな気がして」

 

 
弘兼 「20代の男の人って何が物足りないんですか?」
 
  石川 「“経験”?」
 
  大石 「どうなるかわからないのがいいのよ、若い子は。
       もっとキャリアを確立すると、そういうものにひかれる時があるかもしれない。
       今はまだ男の人にかばってもらいたいんでしょ?」

 
  石川 「そこが私の深層心理なんでしょうね」



女性のサインを見逃すべからず
 
一通のメールをきっかけに、どこからが“不倫”か――という話題に。
 
弘兼 「手を握って歩いたら不倫でしょう」
大石 「手を握ったらキスに等しいと思う。
     手を握って歩いたらキスまですぐだし、そのあともすぐだという気がします」

 
  弘兼 「酔っぱらって記憶にない手のつなぎ方ってあるじゃないですか」
  石川 「知らないです(苦笑)」
  大石 「いやだ、最低!(笑)」
 

 
  弘兼 「“手は別にいいじゃないか”みたいなものがありますけど」
  大石 「女の人は“手をつないで長く歩いたらキスしてもOKよ”
       というサインじゃないですか」

  弘兼 「それで酔っぱらって忘れて帰る俺は最低ですね(笑)」


シナリオのつくり方
 
“シナリオのつくり方”に関する質問をお寄せいただきました。
 
  Q.登場人物の“履歴書”も書きますか?
 
  大石 「書きますよ。お父さんとお母さんはどんな人で
       どんな家に生まれた――というものがないとできないので
       頭の中には作っておきます」

 
  弘兼 「僕も“ざっくり”ですけど考えますね」
 
『セカンドバージン』は脚本を完成させてから撮影に臨んだそうですが、
ドラマ制作・脚本作りは多くの場合、ストーリーの始まりと終わりが決まっていて、
途中の内容は視聴者の反応によって変えることもあるそうです。
 
  ここで弘兼さんが漫画家の視点で質問。
 
  弘兼 「(登場人物の結末を)視聴者に途中であるていど雰囲気を出した方がいいのか
       唐突に知らせた方がいいのか…(どちらですか?)」

  大石 「その時々ですね。
       『セカンドバージン』はオープニングで謎かけを投げておいた作品ですけど、
       全く“意外性”で持っていく場合もありますし、ケースバイケースです」

 

 
ドラマや漫画には“先の展開を予想する楽しみ”がありますが
実は、視聴者・読者と作者との 心理的な駆け引きが繰り広げられている・・・!
 
  弘兼 「僕は漫画で引っ張る時に、
       読者にある程度“もしかして この人死ぬな”と予想させるんです。
       そうすると読者に“ほらな!”と満足感があるんです。
       その心理を狙って、ある程度は わからせるようにはするんです」

 
  大石 「共感性と意外性というのは、
       その割合がとても難しいと いつも思います」



新たなメディア登場で書籍は変わる?
 
『老後の生き方』というテーマで始まったパートでは、
“脚本家の著作権収入”の話題に転じて、やがて“書籍の電子化”へ・・・
 
弘兼 「これから“電子ブック”で、何か生かせませんかね?
     テレビの場面(絵)をもらって、そこに文字が出る――というような」

 
大石 「これから私たちの権利ってどうなるかって、
     本当に大変なこと…」

 
  弘兼 「これからちょっと面白いメディアを使って
       我々が生きられそうな気がしますけどね」

 
  大石 「本当?! ついて行こう、弘兼さんに♪」


大石 静さんの最新情報
 
大石 静さんが原案・脚本・原詞を手掛ける
『愛と青春の宝塚 恋よりも生命いのちよりも』が再演されます。
 
■日程:2011年2月10日(木)~2月27日(日)
■会場:青山劇場
 
弘兼 「(第二次世界大戦が始まった頃)ちょうど手塚治虫治先生が子供の頃
     通っていたんじゃないかな」

 
大石 「手塚先生の少年時代が出てくるの。
     おさむ少年のセリフがいっぱいあります」

弘兼 「僕もそれを出したら面白いかな、と思ったら、やっぱり!」
  
石川 「今回 青山劇場でどんな風に劇場ごと演出されるのか
     とても関心があります」

 
 
小説『セカンドバージン』幻冬舎文庫/533円(税込み)
 
大石 静さんの最新情報は、ノート株式会社 のウェブサイト
または大石 静ウェブサイト「静の海」をご覧ください。


お送りした曲目
 
ブラームス 交響曲第3番 第3楽章 (コロンビア交響楽団)
  (弘兼セレクション)
あなただけが / 倖田來未
  (弘兼セレクション=『セカンドバージン』主題歌)
My measure / lecca
  (ドラマ『ギネ 産婦人科の女たち』主題歌)
伊勢佐木町ブルース / 青江三奈
  (RN・Dr.フィジーさんが初めて買ったレコード)
夢で逢えたら / ラッツ&スター
  (大石 静さんのリクエスト) 

大石 静さんの名言・好きな言葉はこちらをご覧ください。

2011年01月15日