9月12日 ゲスト:酒井政利さん
■テーマ:『70~80年代、伝説の音楽プロデューサー
酒井政利が手塩にかけた
4人のアイドル歌手とその舞台裏!』
プロデューサーは
“タレント・俳優・アーティストの世話人”。
その役割とは
「気になってピックアップした人の弱点…
コンプレックスをプラスに変えて“伸ばす”こと」
ゲストは、45年間のキャリアで
手掛けたアーティスト600人超、
世に送り出した曲8700曲、
売上累計は実に3400億円という
音楽プロデューサーの酒井政利さん。
番組では、
そのプロデューサー哲学に迫るべく
70~80年代を駆け抜けた
4人のアイドルを育てた舞台裏について
たっぷりとお話を伺いました。
南 沙織さんでアイドル路線を推し進めた真相は・・・?
“3人娘”のイメージは“陸・海・空”?! 天地真理さんはどれ??
郷ひろみさんは、今話題の○○の元祖だった?!
山口百恵さんの路線変更のワケは・・・?
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■南沙織アイドル路線の狙い
酒井政利さんが「思い入れがあります」と、
その優しい口調で力強く語ったのが南 沙織さん。
“アイドル”という言葉がなかったあの頃、
辺見マリさん、奥村チヨさんなど、
大人の魅力あふれる女性歌手の活躍が目立った当時、
“アイドル路線”を推し進めたのは
レコードの購入層を、
小学校高学年~中学生にまで引き下げる狙いがありました。
酒井 「若い人に受ける流れを作りたかったんです。
それが“アイドル路線”だったんです」
弘兼 「その頃、僕ら団塊世代の若い人の“ボリューム”が
すごくあった時代ですよね」
「“声の旬”を持っている!」
初めて出会ったその日に即、デビューのGOサインを出した酒井政利さんは、
南沙織さんの第一印象を「知性を感じた」
「話す日本語もきれいで、今でいう“女子アナ”タイプ」と語ります。
南沙織さんのプロデュースには、作詞家・劇作家の寺山修司さんからの
“添加物をつけない方がいい”“生のものを出すべき”
というアドバイスが生かされました。
そして、アドバイス通り、南沙織さん自身の“生”の部分を活かし、
“成長の記録を追う”方針が固まったのです。
弘兼 「南さんはメイクを強くしなくても、ハッキリした顔立ちで
そのままで清純なイメージが出てましたよね」
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■“天然”の元祖!?アイドルの必須要素を備えた天地真理
弘兼 「本当に“こんなにかわいい人がいるのか”と思うくらい
きれいでしたね」
酒井 「ちょっと ぼーっとしている、
今でいう“天然”の元祖です、この人は。
“アイドルの根っこ”に一番必要なものを持っていました。
だから歌い方にも通じるわけです」
天地真理さんはドラマ『時間ですよ』の
オーディションに不合格になりながら
森光子さんのプッシュで出演が決定。
番組内で歌った『小さな私』を
『水色の恋』に改題して
デビューを果たします。
酒井 「それくらい、彼女がかわいかったんです。
“ 空の上からニッコリ笑ってる”という顔なんです」
当時“3人娘”として人気を集めた
小柳ルミ子さん、南沙織さん、天地真理さんは、
イメージが対照的で、ファン層は“好みのタイプ”でハッキリ分かれ
その“競い合い”がさらなる盛り上がりを呼びました。
◆小柳ルミ子さん・・・大ヒット曲に『瀬戸の花嫁』があるように“陸”
◆南 沙織さん・・・沖縄からやってきた“海”
◆天地真理さん・・・“空”から舞い降りてきたようなイメージ
弘兼 「僕もやっぱり“天地真理派”だったかもしれませんね」
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■明るい人にこそ似合う“哀愁”…郷ひろみ
西城秀樹さん、野口五郎さんと共に
「新御三家」として活躍した郷ひろみさん。
酒井政利さんは、初めて出会った時から、その“スター性”を感じていました。
そして、オーディションでは・・・
『潮来笠』を歌ったことにビックリ!
さらに、声が人形劇『トッポ・ジージョ』(日本語吹替え=山崎唯さん)のようで
二度ビックリ!
酒井 「“音色[”という言葉がありますが
彼は“音圧[”を持っているんです。
『ウォン!』と響くような、相手を責めるようなボリューム感を…」
郷ひろみさんの歌い方の特徴を
リズム感がよく、言葉を“突いていく”と表現する酒井さんは
新御三家の3人のイメージを次のように分けましたが…
◆西城秀樹さん・・・体育系
◆野口五郎さん・・・歌系
◆郷ひろみさん・・・ビジュアル系
“ビジュアル系”では、どうしても飽きられてしまう!そこで・・・
酒井 「“言葉”を強く持っていきたい。
だから“男の子女の子”とか、個性的な言葉を並べたんです。
イケメンブームの始まりで、今でいう乙男[の元祖です」
そして、南沙織さんプロデュース法と同様に
“見た通りの感じ”と“成長の過程を追う”ことをテーマに
作詞家に依頼して誕生した曲がデビュー作『男の子女の子』です。
●『よろしく哀愁』タイトル誕生秘話
“哀愁”は合わない――と思われがちな郷ひろみさんですが
酒井さんは“明るいキャラクターには暗い影が目立つ”という持論から
“哀愁”こそ、郷ひろみさんにはピッタリなのだと感じていました。
そして、死語に近い“哀愁”に新たに工夫を加え
『よろしく哀愁』のタイトルが誕生しました。
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■伝説の山口百恵に言葉はいらない?!
地味で何かひとつ足りないけれど、
森昌子さん、桜田淳子さんがいたからこそ
“トリオ”の一員に加わってデビュー出来た・・・
これが“伝説の人”山口百恵さんのデビュー当時の評価?!
“暗い・歌手には向かない”と言われながらも、反対にその“暗さ”を生かし
社会派のフォークソングで歌手デビューをしますが、
これは失敗といわざるを得ない結果に…。
そこで言葉を過激にすることで“強烈さ”を出す路線にシフトチェンジ!
酒井 「彼女は“石鹸”のような清潔感があったから
言葉が過激でも“融和”するんじゃないか、と・・・」
『プレイボーイ』『平凡パンチ』の路線で行こう!
そして、その後の阿木燿子さん(作詞)の
“過激”ともいわれる路線へとつながった山口百恵さん。
『プレイバックPart2』では・・・「曲が止まった?!」
『美・サイレント 』では・・・「言葉がない?!」
それまでになかった“女優的”手法の楽曲が話題となりました。
酒井 「日常の中にあるドラマを演じていけば
親しまれ、過激さも受け入れられると思ったんです。
彼女の“表現力”によって触発された企画でもあるんです」
![](http://www.joqr.co.jp/blog/dankai_sat/archives/dankai_090912_02HI-thumb.jpg)
21才の絶頂期での引退。
その後、一切、芸能界復帰の気配を感じさせない山口百恵さん。
石川 「ファイナル公演でマイクを舞台に置いて、
向こうに去っていく“絵”をビジュアルとして、
みんな覚えていると思うんですが…」
酒井 「彼女を“すごい”と思ったのは・・・
「言葉」や「数字」などは“言語”ですが、
彼女は“非言語能力”を持っていると思うんです。
“表情・間”で強く訴えるものある。
ステージでは(早い引退のため)多くは語っていませんが
“表情”は残していっている・・・。
そういうものが“伝説”にもつながったんだと思います」
●阿久悠さん作詞の楽曲がないのはナゼ?
“中三トリオ”の森昌子さん、桜田淳子さんは
阿久悠さん作詞の作品を発表していますが
山口百恵さんには、一曲もありません。そのワケは・・・?
酒井 「(二人と)“同色”になってしまうので
意識的に阿久悠作品は外したんです。
阿久さんが今もお元気で、百恵さんが現役でいたら
お願いしたかもしれないですね」
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■団塊ホームルーム
昭和レトロアイテムは『昭和30~40年代の映画ポスター』。
1960(昭和35)年、入場者数11億2740万人を記録した映画業界。
当時、全国に7457もの映画館が立ち並び
巨大な手書きの看板が観客を出迎えていました。
そして映画館前に貼られていたのが
【上映中と上映予定の作品のポスター・写真】です。
●今回の懐かしキーワード
・人気俳優・・・中でも石原裕次郎さん、美空ひばりさんが出演した
作品のポスターは、今でも高値で取引されている。
・カラー作品のポスターには『総天然色』の文字。
・理髪店に貼られたポスターを上映終了後に譲り受ける。(弘兼)
・当時、2本立て・3本立ての上映は当たり前。
弘兼 「学生時代、文芸坐(東京・池袋)に
加山雄三さん作品のオールナイトを観に行きました」
町田 「飯田橋にギンレイホールがあって
飯田橋の派出所に勤めていた時、よく道を聞かれました」
弘兼 「ビデオやDVDがなかったので
好きな作品は何十回と映画館に通って観ましたね」
「松竹」に入社した経歴を持つように、映画好きの酒井政利さんが
印象に残っている作品は
『人間の壁』(1959年・山本薩夫監督)
『ひめゆりの塔』(1953年作品・今井正監督)
酒井 「戦争を背景にしているんですが、
(自分が)10代で観て、よく理解できました」
※この話題については町田忍さんのコラムも合わせてご覧ください。
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■お送りした曲目
◇赤いハンカチ / 石原裕次郎
(弘兼セレクション)
◇17才 / 南沙織
(RN・シンシアさんが初めて買ったレコード)
◇ひとりじゃないの / 天地真理
(酒井政利セレクション天地真理編その1)
◇恋する夏の日 / 天地真理
(酒井政利セレクション天地真理編その2)
◇帰郷 / 郷ひろみ
(弘兼セレクション)
◇男の子・女の子 / 郷ひろみ
(RN・ケロヨンさんが初めて買ったレコード)
◇よろしく哀愁 / 郷ひろみ
(酒井政利セレクション郷ひろみ編)
◇プレイバックPart2 / 山口百恵
(酒井政利セレクション山口百恵編)
◇秋桜 / 山口百恵
(この日の最多リクエスト曲)
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酒井政利さんの名言・好きな言葉はこちらをご覧ください。
2009年09月12日