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1月7日 ゲスト:橘 右之吉さん

テーマ
  『江戸の粋をいまに伝える
 
     江戸文字 橘右之吉 

 
ゲストは江戸文字・寄席文字の書家、
千社札シールの発案者にして仕掛け人の橘 右之吉さん。
 
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右之吉さんに聞く江戸文字、江戸文化――。
意外と知らないことも多い“漢字”について――
江戸弁による話術・声も魅力的と好評
橘 右之吉さんと2時間の漢字談議!
 
 ※千社札・・・正しくは「せんしゃふだ」。
  橘 右之吉さん作の千社札には裏面に社名の「UNOS」と記載されています。

 

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江戸文字とは
 
江戸時代に作られた、提灯や千社札に使われる文字を
総称して『江戸文字』と呼びます。
 
 江戸文字の種類(一部)
 
 ◆歌舞伎・・・勘亭流
 ◆相撲・・・相撲字
 ◆寄席・・・寄席文字
 

 

 

▲株式会社 UNOS(うのす店先 (東京文京区湯島2-33-9)


様々な決まり
 
江戸文字で書かれる「看板」の大きさには決まりがあります。
 
 ■大きさ:縦 三尺六寸五分 / 横 一尺二寸
 
  三尺六寸五分は365日
  一尺二寸は12か月 ――すなわち「一年」を意味する。
 
 橘  「表に出す看板ですから“一年中”という意味で、
      人の暮らしに合った数字に当てはめてるみたいですね」
 
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弘兼 「漫画を描くときに何げなく適当に
     看板を描いてましたけど、決まりがあるんですね」

  
 ■「髭」の本数
 
  毛筆で書かれた文宇の先端部分の細い線=“髭”の本数は
  7本、5本、3本の「奇数」と決まっている。
 
 橘  「奇数は吉数ですから。
     割り切れない――というところがミソなんです。
     “一家が割れる、商いが割れる”とか嫌がりますよね。
     七・五・三は“しめ”です」

 
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▲「龍」の時にご注目 (画像をクリックすると拡大します)
 


立川談志師匠 と 古今亭志ん朝師匠で異なる『志』の字
 
 橘  「立川談志師匠と古今亭志ん朝師匠の『志』は
    書きようが違うんです」

 
 ■立川談志師匠・・・・・『心』を4画で書く
 ■古今亭志ん朝師匠・・・『心』を3画に 跳ね=“崩し”の字を使う
 
 橘  「『志』の字を見て談志師匠のお弟子さんか、
     志ん朝師匠の一門のお弟子さんか
     それでわかりますね」

 
 ■歌舞伎――『中村』の『村』…「寸」には 点( 、)を入れない
 
  歌舞伎の看板『中村』の『村』の字は
  7画目の“点”がありません。
 

 
 橘  「わざと“点”を入れないで
    まだ途中です・もっとよくなります――という縁起らしいですね」

 
弘兼 「点( 、)を入れて(文字を)完成させて
     芸がそこで止まるといけない――と」

 


注文を受ける際に困るケース
 
橘 右之吉さんが注文を受ける際に
困ってしまうことがあります。
 
それは、正しい理解のないまま「字を書いてほしい」と注文された時。
 
 橘  「本来、作っちゃいけないもの・着ちゃいけないものがあるんです。
     たとえば『火消し』の人たちは
     その組織に属していないと着られないんですけど
     (一般のかたが)それを着たがる。
     勝手に作っちゃうのは問題があるんです」

 


江戸文化
 
江戸文化についても伺いました。
 
 ゴミが少なかった江戸の町
 
 江戸時代末期に江戸を訪れた外国人に
 「きれいな街」と評された江戸。
 
 江戸の町が きれい=ゴミが少なかった理由は
 不要となって捨てるものが 少ない暮らしであったことが
 挙げられます。
 
 ◆燃やした後の灰 →→→ 肥料
 ◆生ゴミ →→→ たい肥
 ◆髪の毛 →→→ かもじ(添え髪・添え毛)
 ◆着物 →→→ 仕立て直して売る
        解いて別のものとして再利用
 
弘兼 「我々が子供の頃も、
     昭和20年代30年代はやってましたよね。
     使い捨てになったのは最近ですね」

 
石川 「循環型社会になったのは
     あまったものをどうしようか、というところで
     また商売になったんですね」

 
 橘  「いい始末のついた生活だったんですね。
     捨てるものを分類して再利用してたんですよ。
     無駄が出なかったん――
     再利用してるから、捨てることがないんですね」

 
弘兼 「人間も“輪廻”があったんですね、生物界みたいに」
 
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 江戸前とは鰻のこと
 
石川 「江戸前と呼ぶようになったのはいつからなんですか?」
 
 橘  「江戸前は元々は『鰻』ですからね。
     よそから来た鰻は“旅もの”と呼びます」

 
弘兼 「『東京湾でとれる魚』かなと思ってましたけど」
 
 橘 (江戸前の)意味が そういう風に変わっていったんです」
 


漢字のエピソード
 
リスナーの皆さんからは、
メッセージテーマ『漢字』のエピソードをお寄せいただきました。
 
 続柄欄に『妻』と記入すべきところを『毒』と書いてしまった…。
 
 ホームステイで受け入れた外国人の多くが漢字に興味津々。
 『檸檬』『薔薇』など画数の多い漢字を好み
 「大きく書いてくれ」と言われて困った…。
 
 橘  「そういうのを描いてくださいっていう人、多いんですよね」
 
弘兼 「外国の人でタトゥーで『薬局』って入れてる人がいておかしかった」
 
 橘  「僕が一番受けたのは『郵便番号』です。
     葉書をもらってよく見る字だから」

 


橘 右之吉さんの最新情報
 
 橘 右之吉さんの最新情報は
 株式会社UNOS ウェブサイトでご確認ください。


お送りした曲目
 
大江戸出世小唄 / 高田浩吉
  (弘兼セレクション)
江戸ポルカ / 一青窈
  (弘兼セレクション)
FUNK FUJIYAMA / 米米CLUB
 
Tokyo / 井上陽水
 
アイドルを探せ / シルヴィ・バルタン
  (RN・ラジオ大好き オレンジままさんが初めて買ったレコード)
涙のかわくまで / 西田佐知子
  (橘 右之吉さんが初めて買ったレコード) 
ゲレンデがとけるほど恋したい / 広瀬香美
 


橘 右之吉さんの名言・好きな言葉はこちらをご覧ください。
 
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2012年01月07日