林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

11月29日(日)ヒトと好奇心

今週も、

城西大学 理学部 教授、

石川 満(いしかわ・みつる)先生の授業。

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今回は、

先生がご専門分野をお選びになった経緯から

お話が始まりました。


学生時代、研究室を選択する時期に差し掛かった石川先生は、

研究室に備えられていたレーザーの実験装置に目を奪われ、

「 かっこよいと思った 」 のだそうです。

今でこそ小型・軽量化・効率化を果たした

レーザー装置、コンピューターの世界も、

当時の実験装置は机ほどの大きさがあり、

電源を入れても、すぐには起動しない代物でしたが、

先生は、

「 わからないことを知りたい 」 という強いお気持ちから、 

光化学の道へと歩を進められたとのことでした。


人生の岐路に立ち、

どちらを選択するのか、そして、その理由はと問われる時、

おしなべて、

なぜかしら惹きつけられる、

自分が進むべき道は、この道だ、といった、

理屈では語りつくせない衝動を覚えたという人は

少なくないのではないでしょうか。


やがて、就職した石川先生は、お勤め先で、

社のスローガンでもある 「 極限をめざせ 」 という大命題に挑みます。

先生のご専門分野における当時の極限は、

時間領域の極限、

つまり、短時間で光る、という課題への挑戦でした。


大きなテーマに立ち向かおうとする時、

石川先生は、周囲からアドバイスを受けたり、人脈を頼りに動いたりと、

身近なところからお始めになり、

また、

同じ時代に、世界で同じことを考えて挑んでいるライバルは必ず存在するもので、

そうしたライバルこそ必要であるとも仰っていました。


文系の私にとって、

理系の方々は感情に流されることなく、

常に理性的に判断し、進歩を続けていらっしゃるものと思っていましたが、

どちらも同じ人の行動である以上、

今、自分がしていることを客観的に判断しながら向上を図るには、

好敵手という名の相棒が不可欠だと知り、

にわかに、化学への親近感を覚えた次第です。


文系と理系、規模の大小はあっても双方に共通しているのは、

好奇心、でしょうか。

知りたい、学びたい、という原動力は、

すなわち、生命の源なのだと思います。

                  石川真紀


番組日記 | 2015年11月29日 08:00

11月22日(日)長年の成果と交流と

今週は、

城西大学 理学部 教授、

石川 満(いしかわ・みつる)先生の授業でした。

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単一分子、ナノ粒子、光化学がご専門の先生に、

これまでのご研究内容と、その応用分野について、

ご解説いただきました。


石川先生が長年取り組んでこられたご研究の中で、

一定の極限に到達したもの ― 、

それは、

肉眼では見ることのできない一粒一粒を、電子顕微鏡で可視化する技術。

中でも、細胞を生きたまま可視化できるよう応用されたことで、

医療分野への貢献を飛躍させることができているのだそうです。

具体的には、

着色・蛍光・発光といった標識を与える技術と併せて、

薬剤の効果を追跡したり、

酸性・アルカリ性を判別したりと、

目下、

何を知りたいかによって、分子を選べるようになっているとのこと。


先生のご研究は、

昨年2014年のノーベル化学賞を受賞した

「超解像度の蛍光顕微鏡の開発」に通じるもので、

受賞した3氏のうち、

米スタンフォード大のウィリアム・モーナー氏との

折に触れた交流についても、

語って聞かせてくださいました。


100%文系脳ながら、

化学系の展示を見物することが大好きな私も、

これからは先生のお話を胸に、

亀の歩みを進めていきたいと思っています。

                  石川真紀


番組日記 | 2015年11月22日 08:00

11/22・29(日)ゲストの先生は・・・

城西大学 理学部

教授 石川 満(いしかわ・みつる)先生

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先生のご専門は、光物理化学です。

私たちが望遠鏡を使って夜空の星を観測するように、この分野では光と顕微鏡を使って分子の発光や散乱光を観測。肉眼では見られない細かい粒子を"可視化"し、その分子の個性を見ることが行われています。

この分子の可視化によって、医療分野では癌の動きを研究したり、薬の開発にも活用されているそうです。

 

どうぞ、この時間は化学の世界をお楽しみください。


| 2015年11月16日 15:33

11月15日(日)一歩、一歩

今週も、

城西国際大学 福祉総合学部 助教、

大内善広(おおうち・よしひろ)先生の授業。

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前回の授業を踏まえ、

今回は、やる気とパフォーマンスのお話。

自ら考えたり、工夫したりしながら、柔軟に取り組める勉強・仕事は、

パフォーマンスが高くなる傾向があるのだそうです。

これは、自分の勉強・仕事を、

機械的・受動的な ' 作業 ' と捉えるか、

あるいは、能動的で創造性に富んだ ' 職業 ' と捉えるかが、

その人の意識次第で未知数であることも示唆しています。


心理をコントロールして、やる気を継続するには、

自己効力感を操ることが重要とのこと。

自己効力感=自分で効力を与える、

つまり、やれる気がする、できるかも知れないと思うことが

まずは大切で、

大きな目標の前に、

1日1日、今日だけやってみようと、小さな目標から始めると、

自信に繋がり、

翌日もできるようになるということです。


今回の授業では、

大内先生と、正蔵師匠がそれぞれ仰った、

教える、指導する際の心がけに学ぶことができました。

正蔵師匠は、

「 お弟子さんたちの良いところを伸ばし、やる気を削がないように 」、

大内先生は、

「 理想的な教え方というものは存在しない。

  個性に合わせて教えること。」 ―


学ぼうという気持ちがあれば、

森羅万象が先生・教材となり、

遭遇した出来事から何を学ぶか、

どう活かすかは、その人次第。

全ては、一歩一歩、コツコツ、ですね。

                  石川真紀


番組日記 | 2015年11月15日 08:00

11月8日(日)成長し続けるには

今週は、

城西国際大学 福祉総合学部 助教、

大内善広(おおうち・よしひろ)先生の授業でした。

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先生は、教育心理学がご専門で、

現在、よりよい学習法や教え方を研究していらっしゃいます。


勉学にしても、お仕事にしても、

日々、感じるのが、いわゆるモチベーションの維持・向上の大切さ。

やる気というものは、自己実現したいという欲求の表れであり、

満たされることなく、発出し続けるものなのだそうです。

逆に、現状のままで充分、とか、

満足感を覚えてしまった場合、

人の成長は、そこで止まってしまうのだとか。


深く伺っていくと、

やる気は、外発的動機づけと、内発動機的づけの

大きく2種類に分類されるとのこと。

外発的動機づけは、人から言われたからやる、といった受動的な類のもので、

その行動自体が手段でしかありませんが、

一方の内発的動機づけは、知りたいから、面白いからやるという、

能動的、かつ行動そのものが目的になるというもの。

つまり、自分が成長できるかどうかは、

素直で前向きな、内なるエネルギーを、

自分自身がどうコントロールするかにかかっていることが分かります。

 

欲求の持ち方は人それぞれですが、

本来、快感としてインプットされているはずの

何かが出来た、とか、

誰かの役に立ったり、影響を与えたと実感することで、

やる気スイッチが、どんどん押されていくのが人の特性かもしれません。


1人で生きている人が存在しない以上、

何が契機となって、やる気が出て、

自己実現へのアプローチを増やすことが出来るか分かりません。

人や本、物事、言葉など、

森羅万象との出会いを大切にしつつ、

そうした出会いへの感謝を忘れずにいようと思います。

                        石川真紀


番組日記 | 2015年11月 8日 08:00

11/8・15(日)ゲストの先生は・・・

城西国際大学 福祉総合学部

助教 大内 善広(おおうち・よしひろ)先生

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 先生のご専門は、教育心理学です。

"心理学"という言葉から、何か話すと心の中を読まれてしまうのではないか・・・と思う人も多くいると先生はおっしゃっていますが、"教育心理学"は、教育的な視点から心理学を応用し、効果的な教育や学習の方法について考えたりする学問だそうです。

"やる気・意欲"をうまく引き出し、持続的な効果を得るには"動機づけ"が大事なんだとか。

それって、教育だけでなく大人の社会の中(仕事)でも共通するものがありますね。

あなたのやる気はどこから出ていますか??

 


| 2015年11月 2日 12:41

11月1日(日)限界なき学び

今週も、

城西大学 教務部長・経営学部 教授、

新井浅浩(あらい・あさひろ)先生の授業。

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今回は、新井先生が2001年頃から研究を続けていらっしゃる

イギリスの公立初等学校、ロックザム小学校の取り組みと、その歩みについて、

解説していただきました。

ロックザム小学校は、2001年当時、イギリス全土の中でも問題校として知られ、

このままでは廃校の道が避けられないほど荒れていたそうです。

そうした中、現・アリソン校長が就任、

' 限界なき学び ' を信条とした教育が功を奏し、

校長就任から3年後には、最優秀校の評価を得るまでに変貌を遂げました。


基本的な理念となっているのが、

限界なき学び、つまり、子どもの能力を固定的に捉えないこと、

全員が主役とする教育。

そして、殊、ロックザム小学校のケースでは、

こうした理念を児童・生徒にだけ要求するのではなく、

教師も、校長も、学校全体も大切にし、

成長・向上し続けようという姿勢に、

その素晴らしさがあります。


年齢・性別に関係なく、

人の成長には、一義的な尺度や一定の期間で測りきれないものがあるはず。

1人1人が、持てる力を自然な過程で、かつ遺憾なく発揮することこそ、

人間らしい社会への第一歩になるでしょう。

                  石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   Shining Star / Earth, Wind & Fire


番組日記 | 2015年11月 1日 08:00

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