林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

10/31(日) まっすぐに見つめる!

竹藤佳世(たけふじかよ)先生は、お話に迷いがない。
まっすぐで、パワフルなお人柄。

『昔、水泳と剣道をやっていました!』 やっぱり!
だって、見るからに健康そうでスポーツ・ウーマンタイプ。
大地にしっかりと根を下ろし、ぐんぐんすくすく伸びた
<若竹>のような印象です。

takefuji2.jpg 

竹藤先生は、城西国際大学メディア学部の准教授であると同時に
現役の映画監督でいらっしゃいます。

最新作は 「あがた森魚 やや デラックス」
 (最近DVD化され9月に発売、レンタルもされています)

これは、60才のフォークシンガーあがた森魚さんの
還暦記念の全国縦断ツァーを追いかけたドキュメンタリー。

タイトルにまず引きつけられますが、竹藤先生は、タイトルに
あがた森魚さんのシャイな感じを出したかったそうです。

なぜ、あがたさんをドキュメンタリーで取り上げたのか___

竹藤先生の表現を借りれば、

「あがたさんは"昭和な方"というのが魅力。」

「60才を記念してコンサートツァーをやるから、
 みんな 集まって<来い!>」ではなく、

「60才になるから全国60ヶ所みんなのところに
 自分から <行く!>」と、

キャンピングカー1台で、さすらいのライブツァーを敢行する、
そんなアナログ的な行動をするところが面白い。

ステージもない所がライブ会場、なんてことも多く、先生自身
印象に残っているのは、北海道の利尻島_____

人もあまりいない島。お座敷の畳の上がライブ会場。
集まったお客さんも初めのうちは、何だろうか、このおじさん?
という顔をしていたのが、手拍子をしているうちに、
だんだんのりのりになって顔が輝いてくる。

     『お客さんがいい顔している!』

それを見たとき、先生自身の気持ちがホッコリし、

『意外と日本はいい国だな』と思ったそうです。

そして、

『あっ、あがたさんが見たかったものが、これなんだな。
 お客さんが楽しんでいる顔。
 もう一回、自分の原点を確かめたかったのじゃないか。』と

気づかれたそうです。


今日は、この他、竹藤先生の作品を駆け足でご紹介しました。

● 「東京オリンピック」や「日本万国博」などの記録映画の
   演出家で、竹藤先生が尊敬する大先輩、山岸達児さんを
   追ったドキュメンタリー『半身半疑(はんしんはんぎ)』

●  城西国際大学の学生さんや地元の皆さんが出演したり、
   大学の先生が翻訳や作曲に協力したりと、みんなで
   一致協力して作り上げた 『ドン・ロドリゴの来た道』
   
   など。

takefuji4.jpg 

中でも、『半信半疑』は、尊敬していた山岸先生が、ある日突然
脳梗塞で倒れ半身不随になり、「まさか、そんな」という思いと、
「自分の身にも迫るもの」を感じて、2004年から山岸さんを
撮り始め、昔の話、今の気持などを問いかけ続け4年かけて完成。

2008年劇場公開となりますが、
山岸さんは公開して1週間ほどで亡くなられたそうです。
竹藤先生は、亡くなる前、介護老人ホームにプロジェクターを
持ち込んで、映画を見てもわからない状況にある山岸さんに
見てもらいました。

『手を動かしたり、反応があったので、わかってくれたと思う。』

『先生のことを、きちんと残せてよかった。』


「ドキュメンタリー」であれ、「ドラマ」であれ、
竹藤先生が映画を撮りつづけるベースにあるのは
≪人間大好き!≫という熱い想いではないかと思いました。

 

【今日の一曲】

青春に乾杯 / ミッシェル・デルペッシュ


番組日記 | 2010年10月31日 08:00

10/31・11/7(日)のゲストの先生は・・・

城西国際大学 メディア学部 メディア情報学科 准教授
竹藤佳世(たけふじかよ)先生。

takefuji1.jpg 

竹藤先生は、メディア学部の准教授であると同時に
現役の映画監督でもいらっしゃいます。

去年は、城西国際大学の学生さんや先生、地元の皆さんなどの
協力を得て、みんなで1つの映画『ドン・ロドリゴの来た道』を
作り上げました。

その時のお話や、先生の最新作、またこれまで撮ってこられた
作品などについて伺う他、
大学で映画作りを勉強するとはどういうことか?といったお話
まで、2週間<映画づくし>で、お話を進めてまいります。

『人間大好き!』という感じの人なつっこい竹藤先生のお話は、
とても明快で、とっても楽しいです。

         ≪乞う、ご期待!≫


今週のゲスト | 2010年10月25日 08:00

10/24(日) <NPO>を体験する

「NPO論」は、
城西大学現代政策学部に今年からできた科目で、
柳澤先生が教えていらっしゃいます。

yanagisawa3.jpg 

柳澤先生は、最初の授業で、学生さんに「NPOって何?」と
アンケートを取ったところ、

『NPOがどんな活動してるか興味はあるけど、
 よくわからない。
 自分としても、どうしていいかわからない。』

という声が、圧倒的に多かったそうです。

そこで、先生は、
「NPO」のことを本で勉強するより、学生さんと一緒に
NPO法人の皆さんのところに会いに行ってお話を伺う方が
学ぶことが多いと思い、そのような授業を企画、実行
なさいました。

具体的には____
「NPO論」を勉強する学生さんに男子学生が多かったことから
スポーツの「NPO」に行って直接、その活動に参加させる
というもの。

地元にある北坂戸総合型地域スポーツセンター「ウェル北坂戸」
というNPO法人が、スポーツを通して地域の
コミュニケーション作りを考えているクラブであることから、
「NPO論」の授業の一環として、学生たちをそのクラブの
活動に参加させることにしたそうです。

そして、そのクラブの活動として、高令者と学生との合同の
山登りツァーを企画し、八ヶ岳まで行ったところ、
参加した学生たちは、みんな感動して帰ってきました。

ある男子学生は、柳澤先生に、こう報告しました。

『お年寄りは、"いざとなったらボクが背負う"という気持ちで
 行ったのだけど、お年寄りたちは、みんな
 年令が高くなるのを楽しんでいた_____
 "ボクもそうなりたい!"と思って帰ってきました』と。

あまり話をしないおとなしい学生だと思っていた男子学生が、
年令を重ねることを楽しんでいるお年寄りに触れて感動し、
逆に元気をもらって、先生にこんな話を生き生きとした様子で
報告してくれたことに、柳澤先生も感動したみたいです。


今月10日の堀千鶴子先生のお話でも、

「授業で勉強するだけでなく、<ボランティア>などで
 是非、福祉の現場を体験してみてほしい!」

とおっしゃっていましたが、「NPO」にしても同じですね。
実際、現場の活動に参加することで学ぶことが沢山ある。

将来、どのような職業に就くにしても、学生のうちに
いろんな仕事、いろんな世代、いろんな立場の人と触れ合う
ことは、必ず何かを得ることができるので、キャンパスから出て
外の世界に触れることは大切なことだなと、改めて思いました。

 

【今日の一曲】

ラブ・ソング / オリビア・ニュートン・ジョン


番組日記 | 2010年10月24日 08:00

10/17(日) "NPO"って、何?

スタジオに入っていらした柳澤智美(やなぎさわともみ)先生は
"清楚なお嬢さま"という印象。

「私、おしゃべりが苦手なんです。大丈夫かしら?」と
首をかしげて、心配そうにおっしゃいましたが、
番組が始まると、さすが先生、『立て板に水』
よどみなくお話下さいました。

yanagisawa2.jpg 

柳澤先生は、もともと城西大学の卒業生。
1995年に卒業されたあと、証券会社や銀行などでの
お仕事を経て、大学側から、
「金融機関で働いた経験のある人に、是非、学生を教えて
もらいたい」と請われ、2004年に、城西大学に
助手として戻ってこられました。

ついこの間、大学を卒業したようにお若く見える柳澤先生。
おそらく、学生さんの中に入ったら、<誰が生徒か先生か>
わからないだろう、と思えるくらいですが、
番組が始まる前、打ち合わせのときのお話で、
最近の大学生の就職難について、ずい分心を痛めて
いらっしゃることがわかりました。

ご自身も、5回転職した経験があり、
就職の悩みや不安などある程度わかるので、今の学生さんの
悩みや不安を聞いて、何とかサポートしてあげたい。
自分のときより今の方が、もっと深刻なので、どれだけ
力になれるかわからないけど、相談にのってあげたいと、
真剣に話すご様子に、お若いけれど、学生さんにとって
頼りになる先生だなと、感じ入りました。


ところで、今日は、柳澤先生に、知っているようで、よくわからない
「NPO」について、いろいろ教えていただきました。

まず、「NPO」とは、Non Profit Organization の略で
<民間>の非営利組織。
利益を目的としない組織で、「志」や「夢」を形にしたもの。
ボランティアの精神を法人化したもの、というお話でした。

そこで、正蔵さんが、

たとえば、下町の人形町に、有志の落語家さんたちと
NPO法人の「寄席」を作りたいと思ったら、どうしたら
よいですか?___と質問すると、

NPO法人として認可が下りるためには____

その非営利活動が「NPO法人」として認められる17の分野に
該当するかどうか_____
これがまず第一の条件になる、とのこと。
(17の分野とは、保健、医療又は福祉の増進・子供の健全育成・
環境の保全・文化、芸術又はスポーツの振興・災害救援活動等々)

「寄席」は、文化芸術の振興を図る活動なので、認可の条件に
該当しますネ、と柳澤先生。

そのNPO法人の所在地の中央区なり、東京都なりの窓口に
申請すれば、4ヶ月~半年くらいで認可が下りるそうです。

ただ「NPO法人」の認可が下りるためには、その他にも
発起人を10人集めるとか、いろいろと条件があるそうなので
詳しいお話は、また来週、積み残しで伺うことになりました。


今日は、正蔵さんが、人形町にNPO法人の「寄席」を作る
としたら?という想定で、柳澤先生にお話を伺いましたが、
「NPO」は、そもそも利益を目的としない組織という
"入り口"のところで、正蔵さん、
"利益"がないのは、どうかなぁ?と、早くも"夢"が
しぼんだ様子でした。


「NPO法人」を設立するためには、いろいろ準備が大変
なようだし、よほどの"夢"や"理想"や"情熱"を持って
いない限り、生半可なことではできないものなんだな、
というのが、今日お話を伺った率直な感想です。


____さて、来週は、どんなお話になるでしょうか?

 

【今日の一曲】

スルー・ザ・ファイアー / チャカ・カーン 


番組日記 | 2010年10月17日 08:00

10/17・24(日)のゲストの先生は・・・ 

城西大学現代政策学部 助教
柳澤智美(やなぎさわともみ)先生。

yanagisawa1.jpg 

城西大学の現代政策学部では、
日本の「社会経済システム」が見える・分析できる"能力"を
養成する!をテーマに掲げていますが、中でも
柳澤先生は「政策評価論」がご専門。
さらに、今年からは、「NPO論」も担当されています。

「NPO」とか「NPO法人」とか、よく聞く言葉ですが、
実際どういうものか、意外と知りませんよね。

そこで、17日と24日の2週にわたって、
『NPOって、何!?』という基本的なところを
柳澤先生にトコトン伺います。


今週のゲスト | 2010年10月11日 08:00

10/10(日) 福祉離れ

「女性福祉論」や「婦人保護事業」を主に研究していらっしゃる
堀千鶴子先生。
城西国際大学で、社会福祉士や精神保健福祉士など
社会福祉の資格をとるための授業をしていらっしゃいます。

hori3.jpg 

堀先生は、今、学生さんの中で<福祉離れ>が起きている、と
指摘します。

あまりにも現場の負担などがクローズアップされ、就職するのは
つらいと、思いとどまる人が増えているのだそうです。

でも、堀先生は___
「福祉」を学校の授業だけで勉強するのでなく、
是非、<ボランティア>などで福祉の現場を体験してみてほしい!
そうすれば、福祉の仕事がいかにやりがいがあるか実感でき、
プライドを持ってやれる仕事だ、ということもわかってくる___
そう、おっしゃいました。


また、福祉をめざす人は、人に対して優しく、人の心の
痛みを感じられる人が多いのだけれど、やさしいだけではダメ。
<冷静に判断できる人>であってほしい、とアドバイスします。

福祉の現場は、どうしても精神的負担が大きく、相手の気持ちを
思いやるあまり自分の気持ちを内にため込んで、自分を追い詰め
結局つぶれてしまうことがある。
「志」はあるのに「福祉」から離れてしまう、という残念な
ことが起きないように、<専門的訓練>が必要。
そのための勉強なのだといいます。


「福祉」に携わる人は、相手を思いやるあまりに、自分を見失う
ことのないよう、気分を切り換え、切り換え、やっていくことが
大事だ、という堀先生のお話に、
やっぱり、大変なお仕事なんだなあと、あらためて思いました。

そして、この殺伐とした世の中で
尚、優しい気持ちを持って、福祉の現場で働こうとする若者たちが
いることをありがたく思うと同時に、福祉に携わる人たちが
待遇面でも、もっと希望をもって働ける職場に早くなるように
心から願わずにはいられません。


【今日の一曲】

クレイジー・フォー・ユー / マドンナ


番組日記 | 2010年10月10日 08:00

10/3(日) 〈婦人保護事業〉

堀千鶴子先生の主な研究テーマは、「婦人保護事業」です。

 

hori2.jpg 

 

「婦人保護事業」は、そもそも昭和32年に売春防止法が
制定されたことで、それまで売春を生業としていた女性たちを
保護し、援助するために始まりました。

その後、家庭環境の破綻や生活の困窮などで社会生活を
営むことが難しい女性も保護するようになり、
平成13年にDV法(配偶者暴力防止法)が制定されてからは
配偶者(恋人も含む)からの暴力に苦しむ女性まで対象を広げ、
そうした女性たちを保護し、援助するようになったそうです。


「婦人保護事業」の対象となる女性を保護する施設を
『婦人保護施設』といいますが、年々減っていて、現在、全国に
50箇所ほどしかありません。
堀先生によれば、1箇所も保護施設のない県が7つくらい
あるそうです。

『婦人保護施設』以外にも民間の「シェルター(一時保護施設)」
もあるので、今、DVでお悩みの女性や小さな子供を抱えて
生活にお困りの女性は、遠慮なく、お近くの区役所や市役所、
福祉事務所などに電話して、窮状を訴えてほしい、と堀先生。

特に、DV(家庭内暴力)は、生命が危険にさらされるほど
深刻な事態になりかねないので、経済的理由や、子供のために
家を出られない、などと迷っていないで、『婦人保護施設』を
頼ってほしいと、おっしゃっていました。


『婦人保護施設』や「シェルター」に入所することになれば、
衣食住の面倒や、自立して生活していけるように就職の世話も
してくれるということです。

『婦人保護施設』が〈最後の砦〉となる女性が、現実に沢山いる
ということを、堀先生のお話を聞いてあらためて知りました。

『婦人保護施設』で一人でも多くの女性が助かり、
小さな子供たちも元気に生きていけますように____。

 

【今日の一曲】

You're My Home  /  Billy Joel  


番組日記 | 2010年10月 3日 08:00

Copyright © Nippon Cultural Broadcasting Inc.All right reserved.