林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

5月29日(日)消費生活の能動性

今週は、

城西国際大学 経営情報学部 准教授、

阿部信太郎(あべ・しんたろう)先生の授業でした。

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先生には前回も、

消費者の視点で社会を眺める見方を教えていただきましたが、

今回は、消費者の安全をテーマに、

暮らしの中の事故について授業していただきました。,


外出先での事故よりも意外に多いのが、自宅での事故。

中でも、高齢者や乳幼児が事故に遭うケースでは、

毎年、同じような事故が多いのも特徴なのだそうです。

お正月には餅をノドにつまらせてしまったり、

思わぬ場所で転んだり・・・

高齢者の場合は、今までできていたことが、次第にできなくなることによる事故、

乳幼児は、できなかったことが、できるようになり、

行動範囲が広がることによる事故が多く、

家族の注意が大切です。


消費者庁では、様々な商品について、

消費者の注意が必要な場合の喚起や、

事故の事例、

あるいは、改善、回収の事例を公表しています。


近年、問題となった商品では、

こんにゃく入りゼリー、

カプセル型液体洗剤、

ボタン電池式の玩具、

ライター、

ななめドラム式洗濯機、

キックスケーター・・・と、

ざっと挙げただけでも多種多様。

想定外の事故が起きた場合、

かつては、

消費者の不注意と片付けられるケースも少なくありませんでしたが、

現在は、メーカー側が、

賠償責任を問われる事態を避けるべく、

対策をとる傾向が強くなってきています。


事故に遭い、

肉体的な痛みや精神的苦痛を強いられるのは私たち消費者ですから、

まずは、自分たちで細心の注意を払いながら生活したいところ。

そして、注意していても事故が起きてしてしまうことを、

商品を提供するメーカー側は、ある程度、想定し、

実際に事故が起きた時の保障もまた、想定しておいてほしいところです。


対価を支払って商品・サービスを享受している、私たち消費者。

その商品・サービスに不都合がある場合、

どのように不都合なのか、億劫がらず報告することで、

商品・サービスの改善・向上につながる面もあることを、

心にとどめておきたいと思います。

                   石川真紀


番組日記 | 2016年5月29日 08:00

5/29・6/5(日)ゲストの先生は・・・

城西国際大学 経営情報学部

准教授 阿部 信太郎(あべ・しんたろう)先生

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消費者政策をご専門とする先生に、これまで詐欺やギャンブル依存症の現状について伺ってきました。

今回テーマにする、消費者問題は・・・

"暮らしの中の事故"

年齢によっておこる事故・度合は、大きく異なりますが、それぞれどのような事が日常にあふれているのでしょうか?

私の家は大丈夫と思っている方、再度私たちと一緒に考えてみましょう。


| 2016年5月24日 16:23

5月22日(日)みて、きいて

今週も、

城西国際大学 メディア学部 教授、

掛尾良夫(かけお・よしお)先生の授業。

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今回は、日本における映画教育と、映画産業の二極化について、

お話しいただきました。

 

様々な映画祭で、昔も今も高い評価を得ることの多い日本映画。

しかし、日本の映画市場は他の国から見るとかなり異質で、

日本から他国へ輸出され、世界で広く受け入れられるかというと

難しいのが現状なのだそう。

その問題点として、幾つかヒントになる考え方が、

披露された授業となりました。


映画産業の面では、中国や韓国など、歴史の浅いアジアの国・地域に比べて、

古い歴史を持つ日本。

その分、制作過程に保守的な部分が多く存在するのは確かなようです。

映画の世界市場では依然として、ハリウッド映画が中心的存在であり、

中国市場が爆発的に拡大する中、

映画という産業、文化が目指す方向性が、

今まさに問われています。


現状をどう分析し、何を課題に据えるか ― 

家族や集団よりも、個人が尊重され、

社会情勢や経済が一朝一夕に変貌する時代、

投資を回収し、かつ文化水準の向上を目指すという二律背反の中で

もがき苦しむ様子が、

様々な業種で見受けられます。

誰かと共通の体験をする安心感も、

自分だけが知っている楽しみを持つことも、

どちらも満たしてくれるものこそ映画なのかも。

その実現には、

映画を供給する側が、メジャーもマイナーも、集客力も予算も様々な作品に投資し、

そして、鑑賞する側も、面倒がらず、まめに面白がること習慣づける、

そうした両輪が欠かせません。


加速度的に忙しくなってしまった日本人。

心のゆとりを取り戻すには、

映画も、ラジオも、いいものですよね。

                   石川真紀


番組日記 | 2016年5月22日 08:00

5月15日(日)共同制作という結晶

今週は、

城西国際大学 メディア学部 教授、

掛尾良夫(かけお・よしお)先生の授業でした。

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釜山国際映画祭が創設された1996年当初から、

映画の共同制作に携わっていらした掛尾先生。

現在は、

城西大学同様、創立50周年を迎えた韓国・東西大学と共同で

学生さんたちによる映画制作の指導に当たっていらっしゃるとのことで、

作品に込める思い、制作秘話などをお話しいただきました。

 

映画の主人公は、

韓国併合当時、韓国から日本へ渡ってこられた海女さんたち。

重厚なテーマのもと、実話とフィクションを絡めた作品に仕上げる為、

企画の段階から何度も練り直し、

日韓双方の人々が抱く思いの差異を埋めながら

脚本を構成されたそうです。

中心人物となる海女の女性はご本人が演じ、

それ以外の俳優と、

監督、脚本、カメラなど、現場はほとんど日本と韓国の学生さんで運営。

教育の現場としては、

グローバルな感覚・反射神経を身に着けることが目標だと、

先生は仰います。


学生さんたちは、今、どんな課題を抱えているのか、

掛尾先生にお訊ねしましたところ、

お応えは、こういうことでした。

「 相手のことを知ること 」。

作品のテーマの深さについては言うまでもなく、

歴史や背景など基礎的な部分を理解した上で、

相手を尊重し、文化を学ぶことを通じて、

まずは知ろうと努力することが人間関係やモノづくりの基本であることを、

先生のお話から再認識しました。


共同制作によって生み出される作品は、

今年10月の釜山国際映画祭でお披露目される予定で、

その後、東京など関係各所で順次、上映会も企画されているとのこと。


作品を通じて、距離も時空も超えた交流が深められ、

その結晶が形作られることの意義深さを思わずにはいられません。

                   石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   Take A Chance On Me / ABBA


番組日記 | 2016年5月15日 08:00

5/15・22(日)ゲストの先生は・・・

城西国際大学 メディア学部

教授   掛尾 良夫(かけお・よしお)先生

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キネマ旬報社 顧問の先生に今回お伺いする内容は・・・

日本の映画教育や、映画産業における日本の現状などについて。

かつて大衆娯楽であった映画の位置づけが、近年の考えではだいぶ異なって来ています。

日本映画の歴史は長いのですが、世界から見た現在の日本映画の様子はどうなっているのでしょうか?


| 2016年5月 9日 08:00

5月8日(日)旅する生命

今週も、

城西国際大学 観光学部 助教、

于 航(う・こう)先生の授業。

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今回は、

中国人観光客に日本への来訪をリピートしてもらう為のアイディアを、

于先生にご披露いただきました。


客層を広げる為の方策として、既に着手されているのが、

修学旅行に体験プログラムを追加することや、

ビジネス、国際会議、スポーツ大会の誘致。

客層のニーズに合わせたプログラムを設けることが肝要なのだとか。

そして、それらのプログラムが用意されていること、

' 観光 'という言葉の所以どおり、

国・地域の宝物、優れたところ、見どころを示すことが、

情報発信に繋がるのだそうです。


現在、城西国際大学 観光学部が参画する

千葉県鴨川市観光プラットフォームは、

農家、漁師、観光産業など各業種の有志が大学と連携して、

昨年2015年に設立されました。

目下、都市部に集中しがちな観光客を、

民泊や体験プログラムなどを通じて地方へ呼び込もうと、

企画の提案・実践が進められているとのことです。


授業のまとめとして于先生が仰っていましたように、

観光が本来、目標とするのは、

受け入れる側と訪問する側、双方が成長すること。

どの国・地域においても、

観光で一番期待されることとして経済効果が挙げられるのは事実ですが、

社会的効果や環境効果も長期的な効果として重要な要素です。


行ったことのない場所で、その土地に暮らす人々や景色、文化と出会い、

初めての体験を重ねる ― 。

以前に比べて人の移動が増えた現代、

自分自身はもちろん、

周囲の人や次の世代の人までも

前向きに生きる力を与えてくれるのが、

旅であり、観光である、そう実感しています。

                   石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   Crocodile Rock / Elton John


番組日記 | 2016年5月 8日 08:00

5月1日(日)日本の宝

今週は、

城西国際大学 観光学部 助教、

于 航(う・こう)先生の授業でした。

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中国・吉林省長春市ご出身の于先生。

現在は、温泉地・観光地のご研究、

中国人観光客の動向と誘致についてのご研究を進めていらっしゃいます。


まず印象的だったのが、観光という言葉の語源。

もともと中国の易経に記載されていた言葉で、

端的には、' 国の光を見ること ' を意味します。

' 光 ' というのは、優れているところ、宝物を指し、

' 観 ' の字は、

本来は、示す、見せてあげる、ということを意味しているのだそう。

観光は、訪れる側が能動的に行うものだとばかり思っていましたが、

受け入れる国・地域の姿勢が根底をなすものだということを知ると、

日本が誇る ' おもてなし ' の精神を、

より一層、理解できそうです。


訪日外国人観光客のトップは、

1位・中国、2位・韓国、3位・台湾と続き、

中でも中国からの観光客は、2011年時点で100万人だったのが、

2015年には499万人を超え、

ビザの緩和などによって

この4年程の間で5倍に増えています。


中国から日本を訪れる観光客には、リピーターも多く、

その理由は、価値ある3つのCとして説明されるとのこと。

3つのCとは・・・

①character ( 気質 )
   
  中国にかぎらず外国人の目には、

  日本人は神秘的で不思議な気質を持った人たちだと写っているそう。

  例えば、満員電車で静かに乗っていたり、

  震災の時でも整然・毅然とした態度が世界に発信されたことなどから。

②creation ( 作品 )

  made in Japanの日本ブランドを信頼してくださっているのだそう。

  爆買いの象徴である炊飯器は、性能が良く長持ちするからと・・・

  自分で使う分以外に、家族や友人・知人の分も買っていたのは、

  そういう理由だったのですね。

  近頃では、中国で日本のお米を炊いて召し上がる機会も増えたそうで、

  嬉しいことです。

③common life ( 日常生活 )

  日本の普段の生活の、ちょっとしたことを経験できることが、

  そのまま観光になるのだそう。

  特に2回目以降の再来訪者に人気で、
 
  民泊や、畳部屋のある旅館を希望する方も。  
  

日本でしか得られない特別なもの、

それは、

日本に暮らす私たちにとっては、当たり前の日常ばかり。

自分たちだけでは、自分たちの宝に気づかなくても、

観光客の皆さんが鏡となって、

その魅力を映し出しくれています。

                   石川真紀


番組日記 | 2016年5月 1日 08:00

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