林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

11/28(日) 心豊かな人間に!

ニコニコ笑顔の絶えない明るい人柄の東谷(とうこく)先生。
中学~大学まで幅広い年令層の学生さんをこれまで教えて
こられました。

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東谷先生は、「学生を教えるのが楽しくてしょうがない」と
おっしゃいます。

2001年から9年間校長先生をしていらした時は、
管理職なので「授業」はできませんでしたが、先生にとっては
<学生さんの前で話すこと>、たとえば、毎日の朝礼とか、
入学式・卒業式・始業式・終業式・学校の創立記念日などでの
<挨拶>を、「授業」と同じように思い、大事にして
こられました。

東谷先生の場合、朝礼は、思いつきのフリートークではなく
9年間の朝礼の内容は、「原稿」として未だに残っていると
聞いて、感激しました。スゴイ!
朝礼に込めた想い、気合が伝わってきます。


東谷先生は、1970年代の前半に教師になりました。

その時代は、「教師」は、生徒の親御さんから全幅の信頼を得て
「叩いてもいいから、しっかりしつけて欲しい」と要望された
そうですが、今は違う!と、最近の教育現場が抱える問題点を
指摘されました。

「不登校」「家庭崩壊」「モンスターペアレンツ」
かつて考えられなかったような困難な問題が山積している
というのです。

「学芸会で、どうしてウチの子、主役じゃないんですか?」
「遠足の写真、どうしてウチの子、真ん中にいないんですか?」
果ては、子供が先生に注意された、と苦情まで言ってくる。

どうして、最近「モンスターペアレンツ」が増えたんでしょう?

東谷先生は「今は、親自身が孤立化している」とおっしゃいます。

『自分の子供はシアワセになって欲しい、という思いがあるのに
 親として何をすればいいのかわからない。
 情報交換する場がないから、自分を追い詰めてしまう。
 その<焦り>が学校に苦情を言わせる』  と、分析します。

だから、校長時代、担任の先生たちに

「苦情を言ってくる親を、わがままな親と捕らえず、
 親は、子供のシアワセを願っているのだ、と理解することが
 大事」と、アドバイスしたそうです。

それでも、100%お門違いなクレームに対しては
校長先生からピシャっと言うこともあったとか。


『自分の子供はシアワセになって欲しい!』という親の願いは
昔も、今も、
『いい大学に入って欲しい!』ということ。
これは、変わらないそうです。

東谷先生は、そうした親の想いを重々理解した上で、
子供たちには、人間として<心豊かな人>に育って欲しい!
との思いで教育に力を入れてこられました。

心豊かな人間に育てるための環境作りで、先生が力を入れたのは
特に<学校行事>。

「音楽祭」など、人と人とが力を合わせて、何かを作り出し
成し遂げることを、感受性の強い年代の子供たちにいくつ体験
させられるか。また、芸術に触れる機会をいかに沢山作るか。

そうしたことが、心豊かな人間、優しい人間を育てることになり、
将来、国際社会で活躍できる人間に育っていくことになる。
そう確信を持ってやってきた!と力を込めてお話下さったとき、
東谷先生の<教育に対する情熱>がひしひしと伝わってきました。

先生は、本当に子供が大好き!
教え育てるのが大好き!なんですね。

来週も、「子供を育てる環境作り」について
さらに詳しく伺ってまいります。


【今日の一曲】

パーソナリティ / カーラ・ボノフ


 


番組日記 | 2010年11月28日 08:00

11/28・12/5(日)のゲストの先生は・・・

城西国際大学国際人文学部 教授
東谷仁(とうこく ひとし)先生。

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東谷先生は、城西大学付属城西中学・高等学校に社会科教師
として勤務された後、2001年から9年間校長先生を勤められ
ました。そして、今年4月からは、城西国際大学の教授となって
再び教鞭をとっていらっしゃいます。

「学生を教えることが楽しくてしょうがない」とニコニコ笑顔の
絶えない東谷先生。

長年教育の現場にいらした東谷先生に、2週にわたり
<今の教育現場の抱える問題点> <理想の教育とは?>
また、<校長先生の仕事ってどんなこと?>など
いろいろお話していただきます。


今週のゲスト | 2010年11月22日 08:00

11/21(日) 目からウロコ!

今日は、メタボリックシンドロームの話題から番組が
始まりました。

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正蔵さんは、理想体重が63~64kgなのに、実際は
それより10kgほどオーバーしているので、「メタボ」
ではないかと、ちょっと気になるそうです。
でも、井上先生は、『少々メタボくらいがよいのでは?』と
おっしゃいます。

おヘソの周りを測って男性85cm以上、女性90cm以上あれば
一般に「メタボリックシンドローム」と判定されますが、
井上先生によれば、血糖値や脂質に異常がなければ、
おヘソ周りの数値が基準を超えていても気にしなくてよい
とのことでした。

それよりも、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病に
ならないように注意するためには、
「食事のとり方」が大事だ、といいます。

● 夜10時以降は食事をとらない。
  (夜遅くなった場合は、夕食をとらず我慢して、朝ご飯を
   しっかり食べる)

● 夜は炭水化物を控える。
  (肉は食べてもご飯は食べずスープでとどめる、など)

● 食べる順番が重要

  (例)カレーに野菜サラダが付いてきたらどちらを
     先に食べるか? → 『野菜サラダ』

   野菜には「食物繊維」が沢山含まれ、「食物繊維」は
   血糖値を上げにくい働きがあるので、野菜サラダから
   食べた方がよい。
   その他、野菜サラダやフルーツを先に食べた方が
   おなかの満腹感もあってカレーを食べ過ぎない、などの
   理由もあるそうです。

 

そして、今日の井上先生のお話で、
正蔵さんも私も『目からウロコ!』と感激したのは
_____"薬の飲み忘れを防ぐ方法"____

→飲み終わった薬の殻(や袋)を元のケースに戻しておく
 
 (これは、100円ショップなどで売っている薬のケースなどが
  あるとわかりやすいですね)

正蔵さんのお母様も「クスリ飲んだっけ?」とよく忘れることが
あるそうですが、私も「あれっ?飲んだかな?」と迷うことが
あります。あなたは、そんなことありませんか?

飲んだ薬のカラは元に戻しておく、一目瞭然わかるので
これは良い方法です。
井上先生のお話では、実際病院でとられている方法で、
患者さんに「飲んだ殻は捨てないで置いておいて下さい」と言って
看護士さんがあとで飲んだかどうかをチェックしているそうです。

"薬の飲み忘れを防ぐ良い方法"を教えていただきました。


井上先生に2週間お話を伺って思ったのは、
薬剤師さんの仕事の大切さ。

これからますます高齢社会が進む中でその重要さが増して
お年寄りにとっては特に頼りになる存在になり、
大切な仕事として注目されると思いました。


【今日の一曲】

Morning Kisses / Kevyn Lettau
               (ケヴィン・レトー)

 


番組日記 | 2010年11月21日 08:00

11/14(日) <在宅介護>と薬剤師さんの仕事

ガッシリした体格の井上裕(いのうえゆたか)先生は、
身長185cm。とっても背が高い。

スタジオに入ってイスに座ると、
「ふふ~ん」とうなづきながら、興味深げにスタジオを眺め回し
「初めて入った」というスタジオに大変興味を示されました。

好奇心旺盛なお茶目な感じの先生です。

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井上先生は、以前、千葉県のオヘソにあたる大多喜という町の
病院で、薬剤師さんとしてお勤めでした。

先生のお話によりますと、大多喜のような地方の病院は
患者さんとのおつき合いが親密で、
患者さんが大多喜特産の「竹の子」を病院に持ってきて
くれたりするんだそうです。

また、看護士さんなど医療スタッフが患者さんのご近所
だったりして患者さんのことをよく知っているので、
今、患者のおばあちゃんが家を出ました、と聞けば
「あぁ、何分で病院に着くな。」といった細かいところまで
把握できるといいます。

その大多喜の病院の院長先生のモットーは、

『患者さんへのサービスが全て』 というものだったので

病院全体で患者の情報を把握してケアしようと、
医師・看護士・薬剤師など医療スタッフが
"みんなで患者をみる"体制が整っていたそうです。

たとえば、大多喜では、入院していた患者さんが退院すると
「在宅介護」を希望するケースが増えていて、
入院中に親しくなった薬剤師さんに服薬指導をしてほしいという
患者さんもいるので、医師・看護士・薬剤師さんがチームを
組んで患者さんの家を回っていたといいます。


井上先生が薬剤師さんとして体験した「在宅介護」のケース。

看護士さんと一緒に薬の説明と血圧を測るために患者さんの家を
訪れたときのこと。

その80代後半の患者さんが入院していたとき、膝が痛い、と
言うので渡した膝の「痛み止め」の薬があって、
家に戻った患者さんが長いこと布団の中で過ごすようになって
背中が痛くなったので、それを背中に塗ったところ
かえって、染みて痛くなった!と、言われたとき。

(井上先生が背中を見て、痛いのは「床ずれ」が原因とわかった
 そうなんですが)

薬の使い方の説明って、むずかしいなと思ったとそうです。

膝の「痛み止め」はスースーするので「床ずれ」に塗ると
染みてかえって良くない。
なのに患者さんは、「痛み止め」として同じ効き目があると
思って塗っていた。

そのへんの薬の使い方の細かな説明も、実際患者さんに接して
みて気づかされたとおっしゃいます。

このケースでは、
井上先生がその場で担当の医師に電話して事情を説明し
夕方、医師が患者さんをみに来て、薬を処方した、ということです。


このお話を聞いて、1人の患者さんに対して
なんて手厚い介護なのだろう!と、かえって感心しました。

こんなきめ細かい介護、看護を受けられるなら、「在宅介護」も
安心です。
都会のお年寄りには、とてもこんな介護は受けられない、と思って

「大多喜の医療は、理想的ですネ!」と井上先生に言うと、

先生は、

『いえ、医師不足、という現実があり、
 地方の病院の医者は 懸命に頑張っている。
 医師以外のスタッフもみんな頑張っている。』

『逆に、患者さんが重症のときは対応しきれないので
 県立の大きな病院にご紹介するといった連携を常にとっておく
 ことも大事で、ドクターはジレンマを抱えていると思う。』

というお答えでした。

これは、深刻な現実ですね。

きめ細かい心の通った暖かな"介護"と
重症患者にも対応できる"高度な医療"と、
両方兼ね備えた病院があったらいいのに_____。

"お金"と"人"と両方必要ですネ。


それにしても、今まで、
薬剤師さんは薬局の窓口に座っているもの、というイメージが
強かったのですが、今日の井上先生のお話で、
薬剤師さんが「在宅介護」で患者さんの家を回るなど、
思ったより患者さんに近い存在で、これからの高齢社会の中では、
薬剤師さんの果たす役割はますます大きく重要なものになるんだ
とあらためて教えていただきました。


 


番組日記 | 2010年11月14日 08:00

11/14・21(日)のゲストの先生は・・・

城西大学薬学部 助教
井上裕(いのうえゆたか)先生。

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井上先生は、現在、薬学部で「薬物治療学」を教えて
いらっしゃいますが、その前は、千葉の大多喜の病院で
薬剤師さんとしてお勤めされていました。

そのとき、井上先生は、薬剤師さんとして具体的に
どのようなお仕事をされていたのか?

高令患者の〈在宅介護〉の希望が増える中、薬剤師さんも
お医者さんや看護師さんとチームを組んで患者さんの家を
回るなど、薬剤師さんの担う役割も大きくなっています。

私たちが意外と知らない薬剤師さんの仕事の内容、
地方の病院の頑張りぶり、患者さんとの暖かい交流・・・。
また一転して、薬の飲み方や食事のとり方の注意点など。

薬剤師さんだった井上先生に、2週にわたり
先生のご経験に基づく具体的なお話を伺ってまいります。

参考になさってください。


今週のゲスト | 2010年11月 8日 08:00

11/7(日) <人間の面白さ>に迫る

今日は、まず、竹藤佳世(たけふじかよ)先生に、
来年4月に城西国際大学メディア学部に開設される
「映像芸術コース」についてお話を伺いました。

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来年メディア学部に新設される「映像芸術コース」では、
日本で一番古い映画会社「日活」と提携して、調布にある
日活撮影所で働きながら、映画を学べるようになります。

竹藤先生は、
『映画は、現場から学ぶことが多いので、
 大学で理論や知識を学んだ上で、実際映画の現場へ行って
 勉強できるのは、とてもいいこと。』と、おっしゃいます。

「映像芸術コース」で学び卒業すれば、
その業界で働くことができるのか、と質問すると、
竹藤先生は、

『必ずしも、そうではない。
 一般の大学で文学部を卒業すれば<みんな小説家になる>
 というわけではないのと同じように、
 「映像芸術コース」を 卒業すれば
 <テレビや映画の世界で働く>というものではない。』

と、お答えになりました。 それは、確かにそうですよネ。


では、
大学で「映画」を学ぶということは、どういうことなのか?

___大学で、芸能(映画)を勉強するのは
   人とコミュニケーションすることを学ぶこと___

いろんな意味で自分の人生を豊かにする勉強ができる、と
竹藤先生は、明快にお答えになりました。

大学で芸能を学んだことで身につけたスキル(コミュニケー
ション能力やプレゼンテーション能力といったもの)は、
将来社会に出たとき役に立つもの。将来、どんな分野の仕事に
就職したとしても、役立つだろうとのお話でした。

 

竹藤先生ご自身は、大学で「社会学」を勉強し、
学生時代は映画監督になることなど
『1ミリも考えていなかった』そうです。

先生は、広告代理店に就職し、CMやチラシのデザインなど
クリエイティブな仕事を担当しているうち
『自分が作りたい』と思うようになり、仕事をしながら
<映像>を学んだということです。

そして、その頃、妊娠したことで
「今、私にしかできないことがあるはず」と思い、自分で自分に
カメラを向け、自身の産前産後3ヶ月の気持ちの移り変わりを
捉えたのが、ドキュメンタリー『骨肉思考』
初めての監督作品となりました。

その後、『キャタピラー』の若松孝二監督や、『もがりの森』の
河瀬直美監督などの映画作りに参加して鍛えられたそうです。

特に、若松監督には、
「バカ!」「帰れ!」「お前なんかいらない!」と、
カメラを取り上げられたりして、『こいつだけは許せない』と
思ったこともあったそうですが、
いろいろと教えられることも多かったといいます。

最後に、竹藤先生は、

『ドキュメンタリーは、<人間の面白さ>に負うところが大きい』

と、お話下さいました。

『映画を見たお客さんが、その主人公を好きになるような作品
 でないと面白くない。
 それには、作り手(監督)自体が、その主人公に惹きつけられ、
 面白いと思わないと撮れない。』

それを聞いた正蔵さんが、

『寄席芸人の川柳川柳(かわやなぎせんりゅう)さんを
 是非追いかけて撮ってほしい!
 古典落語の名人三遊亭円生さんに、こんなお弟子さんが?と
 思うような異端児です。
 70いくつの、ものすごい面白い人です!』と、売り込むと

竹藤先生は、即座に

『いいですネ。正蔵さんにプロデューサーをやってもらって
 2人の共同企画でやりましょう!
 まず、ゴールデン街で飲みながら話をまとめましょう!』と、

明るくおっしゃいました。

そんなお2人のやりとりをそばで聞いていて、

「あぁ、竹藤先生は、こんな風に人との出会いを楽しむ過程で
 自然と"映画"が出来上がってくるんだな」そう思いました。


先生には、ブルドーザーが道を切り拓いてゆくような力強さを
感じます。

今後、竹藤先生がどんな映画を撮られるかとても楽しみです。

正蔵さんとの共同企画の映画も実現するといいですネ。

 

【今日の一曲】

チェンジ・ザ・ワールド / エリック・クラプトン


 


番組日記 | 2010年11月 7日 08:00

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