林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

2/6・13(日)のゲストの先生は・・・

城西大学現代政策学部 准教授
市川直子(いちかわなおこ)先生。

市川先生のご専門は、「憲法」ということで、2/6と13日は
私たちが知っているようで知らない『日本国憲法』について
改めて先生にお話を伺います。


私たちは、毎日の暮らしの中で「憲法」によって
基本的人権を保障され守られているのに、それが空気のように
当たり前になってしまい、改めて考える機会がありませんよね。

そこで、2週にわたり、学校で勉強したことがあるのに
よくわかっていない「憲法」について考えてみたいと思います。

といっても、聞き手が正蔵さんと私ですので
難しい話にはならないと思います。安心して聞いて下さいね。


今週のゲスト | 2011年1月31日 08:00

1/30(日) <コミックジャーナリズム>

飯倉先生のご本「日露戦争諷刺画大全」(上下巻)は、
諷刺画を通して「日露戦争」を見直すことが大きなテーマに
なっています。
掲載されている諷刺画は658点。
先生が図書館に通って世界各国102の新聞・雑誌のページを
片っ端から1枚1枚めくって、20年の歳月をかけて
探し集めたもので、とてもユニークな本です。

これだけ諷刺画を集めるのはさぞ大変だったろうと思うのですが、

『集めるより、分析する方に時間がかかる。
 解説(キャプション)があっても意味の分からないものが多く
 絵の意味を読み解く方が大変だった。』 ということです。

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飯倉先生は授業に諷刺画を取り入れている他、
テレビのドキュメンタリー番組や、映画・ドラマなどを
5分くらいにコンパクトにまとめたものを学生に見せて
問いかけるスタイルの授業を行なっています。

そして、最近ではなんと「マンガ」も授業に取り入れている
と聞いて驚きました。

"マンガ"といっても、最近ではドキュメンタリー的マンガ
_____「コミックジャーナリズム」という分野があって、
戦地などで実際体験したことをカメラで撮るのではなく
マンガにして表現する「コミックジャーナリスト」がいて、
そういう「コミックジャーナリスト」の描いた作品を
学生たちに読ませているんだそうです。

先生のお話では、日本にも昔からドキュメンタリー的マンガは
あったそうで、その代表格は【はだしのゲン】

この作品は、コミックジャーナリズムとまでは言えないけれど
ドキュメンタリーであり、
実写映像ではなくマンガで描かれていることで、かなり感情移入が
できる、とのことで_____確かに、これは世界中のあらゆる
年齢層の人々に読んでもらいたい、いい作品です。

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先生がスタジオに持ってきて下さった「コミックジャーナリズム」
の代表的作品が、他に2冊。

1つは、迫害されるユダヤ人を描いた【マウス】
もう1つは、逆にユダヤ人に迫害されるパレスチナ人の視点に
立って描かれた【パレスチナ】

【マウス】は、アウシュビッツの強制収容所に送られた経験を持つ
父親から聞いた話を、作者のアート・シュピーゲルマンが描いた
もので、タイトルの「マウス」はユダヤ人を表わしています。

ちょうど【マウス】の本を手元で広げていた正蔵さんに、先生が、

『マウスがユダヤ人なら、ナチスは何ですか?』

正蔵さん:「ネコ!」

『ご明察です。スルドイですね。』

正蔵さん:(本を見ながら)「イェ、ちゃんと描いてある。」


何だか微笑ましいやりとりだなぁと思っていると、
本のページをめくっていた正蔵さんの手が止まり、
「ホラ!」と広げて見せてくれた絵______


≪ねずみが数匹、天井から縄で吊り下げられ
 首を吊って死んでいる絵≫


正蔵さん:
「生々しさというよりは、ジワー~ッとくるインパクトがある」と
鋭い感想。

私ものぞいてみると_____

シ~ンと静けさが漂う絵だけど、見ると恐ろしくなる。
これが実写映像だったら目を背けてしまう。マンガだからこそ
逃げずにじっと見ることができて、戦争の恐ろしさも真正面から
捉えることができる_____

これこそがマンガの効用なのだと思いました。

飯倉先生は、
【マウス】を読めばユダヤ人に同情するけど、
一方で【パレスチナ】で行なわれていることも知ってもらいたい。
学生には、偏った見方をしないように、
いろんな見方があるんだよ!と常にバランスをとって教えるように
心がけている、とお話下さいました。


≪一方的見方をしない≫
これが「国際政治」がご専門の飯倉先生が学生に一番伝えたいこと
なのだなと、改めて思いました。

2週にわたり、面白い授業に実際参加したような気がしました。
先生、ありがとうございました。


【今日の一曲】

Whatcha Gonna Do For Me /アベレージ・ホワイト・バンド 


 


番組日記 | 2011年1月30日 08:00

1/23(日) <国を動物で表わすと?>

飯倉章(いいくらあきら)先生は、
2005年以来、『サンデーユニバーシティ』には
2度目のご出演です。
昔、文化放送の深夜番組『セイヤング』をよく聴いていらして
落合恵子さん(レモンちゃん)のファンだったそうです。

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先生、今日は、リュックにたくさん本や資料を詰め込んで
スタジオに持ってきて下さいました。
(重かったでしょう、ありがとうございました)

そして、1冊1冊リュックから取り出し、先生が手元に置いて
説明する分と、正蔵さんと私が見る本まで用意して下さった上で
『はい、何頁を開いてみてください!』と、本当に授業のように
お話が始まりました。


教科書となったのは、飯倉先生が去年11月芙蓉書房出版から
出された「日露戦争諷刺画大全」上下巻、かなり分厚い本です。

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先生が出版されたこのご本は、諷刺画を通して、
「日露戦争」(1904年~1905年)を見直すことが
大きなテーマになっていて、658点もの諷刺画が掲載されて
います。

先生は、20年ほど前から、「日露戦争」当時における日本が、
欧米でどのように捉えられていたのか研究を続けてこられました
が、当時の新聞雑誌の記事を集めているうちに、自然と諷刺画も
集まってきて、その数なんと658点!!

「日露戦争」を解明する上で、とても貴重な資料になりました。

 

番組後半は、クイズ形式の楽しい授業になりました。


『諷刺画を見るには約束事があるんですよ!』と飯倉先生。

_____諷刺画では、国を動物で表わすのだそうです。

『ロシアは、動物で表わすと何でしょう?』

これは、正蔵さんも私も「クマ」とすぐ分かりました。

でも、ロシアを動物で表わすときは「クマ」だけではないそうで

『はい、上巻のP287を開いて!
 首を切られようとしているワシが描いてありますネ。
 首いくつあります?2つですネ。
 双頭のワシはロシアのロマノフ王朝の紋章なので、これは
 ロシアを表わしているんです。』と教えてくださいました。

そして、急にお茶目な顔つきになって、何かたくらんでいるような
含み笑いで、私たちに聞きました。

『じゃあ、首が3つあったら何ですか?』

正蔵さんと私
「???」

『怪獣映画!』

正蔵さん:「キングギドラ!!!」(笑)

『キングギドラ マイナス 1つの首 → ロマノフ王朝!
 こうやって学生に印象づけるんですよ!』

う~ん、先生なかなかやりますねェ。
双頭のワシ = ロマノフ王朝、確かにもう忘れないでしょう。

先生の講義はこのようにして、「諷刺画を見ながら歴史を知る」
とっても楽しそうです。

ちなみに日本は、
悔しいことに「サル」で表わされることが多いそうで、その他にも
「犬」(従順や忠実の象徴)とか「ヤマアラシ」などに描かれて
います。


お話がとても面白くなってきたのですが、時間が来てしまい、
「日露戦争諷刺画大全」のお話は、来週に持ち越されることになり
ました。

飯倉先生の面白~いお話、来週もぜひ聞いてくださいネ。


【今日の一曲】

 心のままに / ネッド・ドヒニー


番組日記 | 2011年1月23日 08:00

1/23・30(日)のゲストの先生は・・・

城西国際大学国際人文学部 教授
飯倉章(いいくらあきら)先生。

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飯倉先生のご専門は、「近現代日欧・日米関係史」および
「国際政治学における政策決定論」。

このように書くと、とてもいかめしいのですが、
先生の授業は、"諷刺画"や"マンガ"
"ドキュメンタリー番組"や"映画・ドラマ"などを
実際学生に見せて、身近な問題に置き換えて問いかける授業を
心がけているそうです。

難しいテーマも視覚に訴えかけられると、とっつきやすい
ですね。

23日と30日は、
去年11月に先生が出版された「日露戦争諷刺画大全」という
ご本や、最近先生が授業に取り入れている世界の戦争マンガ家たち
(コミックジャーナリストというそうです)が描いたマンガを
実際見せてもらいながらお話を伺います。


飯倉先生は、若い頃、落合恵子さんのファンで文化放送の深夜番組
『セイヤング』をよく聴いていらしたそうで、
小説を書くのもお好きで賞もとられたことがある、というだけに
お話がなかなか面白いんです。

ぜひ聴いてくださいね。


今週のゲスト | 2011年1月17日 08:00

1/16(日) <クスリ> と <リスク>

今日の懸川先生のお話は、「古くて新しい薬」という内容で
始まりました。 

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私たちが"薬"と聞いてパッと思い浮かぶのは、工場で
作られたクスリ、"化学薬品"ですが、そういったクスリは
まだ100年そこそこの歴史で、それまでの5000年の間は、
植物や虫からできた"漢方薬"、あるいは植物の汁など
"植物そのもの"をクスリとして使ってきました。

先祖から伝わる知恵として、植物をクスリとして使ってきた
歴史の方が圧倒的に長く、
そうした"植物"の成分を細かく分析して、どの成分が何に効くか
調べて作られたいわゆる"西洋薬"は、まだ100年くらいの
歴史しかないんだそうです。


人類が最初に合成したクスリは、解熱鎮痛薬として有名な
『アスピリン』。

これは、
柳の枝の汁を絞ったものを、怪我をしたとき傷口に塗ると、
消炎作用があって、痛みが減るということが昔から知られていて、
それでは、柳の木の汁のどの成分が炎症を抑える働きがあるのか
<気の遠くなるような作業>で細かく分けて調べ上げていった結果
『アスピリン』が生まれた、といいます。

柳の木そのままでは駄目で、
「ちょっと変えると『アスピリン』になった」
という懸川先生のお話に、
「その、ちょっと変えた人は天才ですネ!」と
正蔵さん、感心しきり。  (本当にそうですね)


柳の木から「アスピリン」ニチニチ草から「抗がん剤」の成分が
とれるなど、今私たちが服用している薬の半分以上が
植物からとられたもの、植物由来の薬なんだそうです。

ニチニチ草と同じように"観賞用植物"のジギタリスや
キョウチクトウからは「強心剤」がとれます。

これは、どうして発見されたのか、というと、
牛や馬が草を食べていて時々興奮して暴れるので、どういう時
様子がおかしくなるか調べたところ、ジギタリスやキョウチクトウ
を食べたときと分かり、その成分を調べたら、
それぞれに「心臓の動きを活発にさせる働きがある」ことが
分かったんだそうです。

この場合は、毒性のある植物がクスリになることが分かった
1つの例です。

時として、「毒性のあるものがクスリになる」というお話から
懸川先生は、

<クスリ>と<リスク>という興味深いお話をして下さいました。

<クスリ>は飲むタイミングが難しい。
その、飲むタイミングと量を誤ると、命に関わる場合もあるという
ドキッとするお話に、
食前・食後・食間といった薬を飲むタイミングの指示を
あまり守ってこなかった正蔵さんと私は、思わず、「ウワァ~」と
大きな声を上げてしまいました。

___<クスリ>は時として<リスク>になる___

特に、糖尿病の患者さんがクスリを飲むタイミングを誤ると
命が危険になるほど逆効果だ、というお話に
頭をガンとたたかれた思いがしました。

薬って、いい加減に飲んだら本当に怖いんですね。

薬は、病気を治す働きもあるけど、飲むタイミングを誤れば
毒にもなるということを肝に銘じなければいけません。

懸川先生、今日もためになるお話をありがとうございました。


【今日の一曲】

It's The Falling In Love / マイケル・ジャクソン


番組日記 | 2011年1月16日 08:00

1/9(日) 薬の研究ってスゴイ!!

懸川友人(かけがわ ともひと)先生のご専門が、
『既存医薬品の新作用と安全性に関する研究』ということは
すでにご紹介しました。

ある病気を治すために飲んでいる薬が、あとになって違う病気にも
効き目があることがわかる_____そうした、すでにある
薬の中に存在する新しい作用と、その安全性の研究、
なんだそうです。

「すると、先生は、毎日顕微鏡をのぞいて研究していらっしゃる
 んですか?」 と聞くと、
先生は笑って
「<ミクロの世界>というより<ナノテク>より小さい世界、
 分子1個1個の研究です!」 とおっしゃいました。

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今日の懸川先生のお話で、
薬の研究・開発というのは一朝一夕にはできない、
とても<気の遠くなるような作業の連続>なのだ、ということが
よくわかりました。


たとえば、インフルエンザにタミフルが効く、ということは
今ではよく知られていますが、このタミフルは、
中華料理によく使われる八角から抽出された成分なんだそうです。

でも、八角が使われた中華料理をいくら食べてもインフルエンザに
効果はなく、八角の中にある成分を抽出してタミフルという薬に
したとき初めて効果を発揮する、ものなんですって。

では、どうして、八角の中にあるタミフルの原料となる成分が
インフルエンザに効くと発見したのか______?

大いに気になりますが、これが、スゴイ!
____たまたま発見した___といいます。


懸川先生のお話によれば、
薬の研究・開発というのは、たまたま発見するものらしいです。


『 世界中の研究者が何十年という時間と何百億円というお金を
  かけて、何十万、何百万種類のクスリの候補となる化合物を
  作り出してストックしておき、それらを1つ、1つ、丹念に
  調べ上げ、その成分が何の病気に効くか見つけ出していく。

  現在もそうした気の遠くなるような作業が世界中で続けられて
  いる。

  このクスリはこの病気に効くと、すでにわかっているものの
  中にも、これからの研究次第で他の病気に効くことが
  発見されるかもしれない。 』


そうした研究が、懸川先生のご専門の
『既存医薬品の新作用と安全性に関する研究』 なんだそうです。

薬の研究・開発って ス・ゴ・イ!

莫大なお金と時間がかかるので、薬の研究・開発は大企業しか
できないんですね。


さらに先生は、
薬と病気の関係は、≪鍵と鍵穴≫にたとえることができる、と
面白い話をしてくださいました。

体の中に病気の原因となる≪鍵穴≫があって、その鍵穴に合う
≪鍵≫(クスリ)を探してきて、それがカチャッと入れば
病気が治る、という考え方。

___鍵穴に合う鍵を何十万、何百万の鍵の中から探してくるのが
薬の研究・開発___ということなんですネ。


今日は、他にも、
『オーダーメイド医療』___薬の中にも、自分に効く薬、
効かない薬があるので、自分の体質に合った薬を出してもらう
____といったものが、近い将来実現するだろう、というお話
など、ヘェ~ッと驚く面白いお話がいっぱい聞けました。


来週の懸川先生のお話が楽しみです!!


番組日記 | 2011年1月 9日 08:00

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