林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

6月18日(日)「防護の名目」

今週も、

城西大学 薬学部 助教、

浦野重之(うらの・しげゆき)先生の授業。

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近年、相次いで報じられる化学兵器による攻撃。

被害者が防護できず、最悪の場合、命を落とす危険性が高い為、

被害者の数も膨大になり、

世界に与えるインパクトが大きくなってしまっています。


目には目を、歯には歯を、とばかりに、

不穏な国・地域に空爆を行う古い報復律から脱却し、

平和的な解決を模索しようというのが、

化学兵器にまつわる国際条約。

これまで、内容の拡充、変遷を経て、

1997年に発効したのが、化学兵器禁止条約(CWC)。

そして、

この条約のもとオランダ・ハーグに設置された、

査察実施機関・OPCW(化学兵器禁止機関)の

査察局運用計画部長を勤めた経験を、

浦野先生はお持ちでいらっしゃいます。


現在、CWCを締約しているのは、192ヶ国。

イスラエル、北朝鮮、エジプト、南スーダンは未締結で、

締約国の中でも、

周辺国から現物や材料を持ち込まれ、

市中で製造されているケースもあるのだそうです。


今回の授業で触れられた中で特に留意しておきたいのは、

「防護の名目で」という考え方。

OPCWに申告さえすれば、

防護の研究の為に、化学兵器を一定量、保持することが可能ですし、

法解釈の仕方によっては、

「防護の名目」であれば、化学兵器を使用することも可能な場合が。

日々の平和で安全な暮らしのすぐそばに、そうしたモノが存在し、

一見、平和で安全な中にも、

バランスを崩しかねない要素が潜在しているということ。

私たちは、自分たちの暮らしを守る大前提として、

そうした現実を把握することから始めなくてはなりません。

                    石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
  My Love / Julio Iglesias & Stevie Wonder


番組日記 | 2017年6月18日 08:00

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