林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

11月6日(日)原始の機能のメッセージ

今週も、

城西国際大学 環境社会学部 教授、

川口健夫(かわぐち・たけお)先生の授業。

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香りを察知する嗅覚の神経は、

大脳の理性を司る部分を通らずに働く為、

不安や情動、おそれを感じる原始的な脳に刺激を与え、

感情、欲求に直接作用する性質があるとのこと。

正蔵師匠が、

お父様である初代・三平師匠の着物を久しぶりに出された際、

しみついた香りから、

お父様の思い出が瞬時によみがえったと仰っていましたように、

似たような経験は、きっと誰しも一度はあることでしょう。


古いアルバムをめくった途端、青春時代に戻ったり、

空気の匂いで季節の移ろいを感じたり、

初めて訪れた土地なのに、

街の匂いから、ふと懐かさを覚えたり・・・。

嗅覚、香りの記憶というものは、

人生を豊かにしてくれる重要な要素だと感じます。


そして、今回の授業の後半は、フェロモンのお話。

もともとは、

新生児期の四肢動物が、母乳を得る為、乳首の場所を知るのに必要な

鋤鼻器と呼ばれる器官が察知するもので、

人間の場合、成長に伴って鋤鼻器が退化してしまうと、

フェロモンを感じることは、ほとんどなくなるのだそう。

人間がフェロモンを感じるとすれば、

写真など、

視覚から受ける影響が圧倒的に大きいということがわかっています。

人間と同じ四肢動物の中でも、

オランウータンは視覚ではなく嗅覚で興奮するそうですし、

フェロモンの研究自体は、

昆虫に存在することが発見されたのが最初ということで、

理屈で説明しきれないことを、どこまで解明できるのか、

あるいは、後世に至っても、解明は難しいのか、

フェロモンの世界には、

生命の神秘へと繋がる、なかなか奥深いものがありそうです。

                    石川真紀


番組日記 | 2016年11月 6日 08:00

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