林家正蔵のサンデーユニバーシティ

文化放送

毎週日曜日7:30~8:00

4月3日(日)多様性を尊重する社会へ

今週は、

城西短期大学 教授、

蓼沼康子(たでぬま・やすこ)先生の授業でした。

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折に触れ、

ご専門分野である文化人類学、民俗学、社会学を総合して

授業していただいている蓼沼先生に、

今回は、時宜に沿い、

父親と子育てをテーマにお話しいただきました。


男性の育児参加を促す風潮となり、

' イクメン ' という単語が出現したのは、

ごく近年のこと。

以前、

端的に言って現在の一般的な経営者・管理職の世代までは、

そもそも育児の為に休職するという選択肢が存在せず、

子育てに参加するなど考えられなかったことから、

その分を取り戻そうという気持ちもあって

昨今では、

孫育てに参加する ' イクジイ ' なる呼称も登場。

 

かつて、

男性は、外で働いて稼ぐもの、

女性は、家を守り、子育てするもの、と、

完全分業の時代がありました。

変わって、これからは、

男性でも、炊事洗濯や育児が好きで得意な人、

また、

女性でも、

出産・育児などで一時的に休職したとしても、

仕事と家庭を両立したい人、できる人が、

元来、居るのだということを踏まえ、

お互いに補い合い、支え合いながら、

より広い視野に立って

自分たちなりの暮らしを作っていく時代に向かおうとしている

過渡期なのだということを確認できる授業となりました。


個々にとってハードルとなるのが、タイミングを選ぶ権利。

例えば、

仕事で重要なプロジェクトへの参加が決まった直後だったり、

参加している最中だったり、

あるいは、ライバルの活躍が気になる時期だったり・・・

仕事上のキャリアを、どこで中断し、

結婚、出産、育児といったライフイベントと融合させていくのか ― 。

自分の人生の主人公は、自分ですから、

本当は、自分で選びたいものの、

出産、育児は一時的なライフイベントである一方、

仕事は、もっと長きに亘って関わることで、

何より、生活に影響すること、と考えると、

男性と女性によって、

そして、それぞれが置かれた様々な要因によって、

優先順位が変わってくるのが現実。

知人夫婦が勤めるベンチャー企業では、

育児休暇を夫婦交代で取得できるよう、

経営者が制度を新設したそう。

こうした理想的な労働環境が開拓されている一方で、

一般的には、

直属の上司は理解があっても、

経営など上層部の判断となると、複雑になってしまうという職場は、

まだまだ多いのが現状なのかもしれません。


大切なのは、経営者が、被雇用者である働く人たちを、

人として尊重し、

どれだけ大事に処遇するかという根源的な部分。

経営者、リーダーの心意気ひとつにかかっています。

多様な生き方を尊重し合う社会の実現は、

労働者1人1人にとって

居心地の良い職場の実現から始まるような気がしていています。

                   石川真紀

【 ON AIR MUSIC 】
 
   Help! / The Beatles


番組日記 | 2016年4月 3日 08:00

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