終わりよければ・・・(放送終了)

『本来、発表されなかったはずの名盤』

『音楽マスターピース』では、ジャズ評論家の青木和富さんに

出演していただきました。

 

P1390142.JPG

 

これまで、季節季節のジャズの名曲をご紹介いただいている青木和富さんに、

今回は『本来発表されなかったはずの名盤』ということで、「深刻なハプニング、

間違いの記録、本来なら発表されなかった演奏」についてお話し頂きました。

 

まず、最初にご紹介頂いたのは、マイルス・デイビスの「ザ・マン・アイ・ラブ」。

1954年12月24日に行われた「クリスマス・セッション」は、別名「ケンカ・

セッション」として知られており、マイルスに「自分のソロのバックでピアノを

弾くな」と言われ、怒ったセロニアス・モンクが、自分のソロの途中で弾くのを

止めてしまった様子が収録されているそうです。

 

2曲目は、セロニアス・モンクの別のエピソードである「ウエル・ユー・ニードント」。

モンクのオリジナル「ウエル・ユー・ニードント」の演奏が始まり、テーマ演奏から

モンクのソロ・パートへ。そして演奏が終わった後、「コルトレーン!コルトレーン!」

というモンクの声がはっきりとマイクに入っているそうです。ちなみに、演奏者は

演奏しながら自分の小節数を数え、ラストの数小節でかっこよくソロを終了させ、

バトン・タッチするのが普通であるが、数を数え間違え自分のソロは終わったと

勝手に勘違いしたモンクが、なかなか演奏を開始しないジョン・コルトレーンに

向かって、ソロの出を促した様子だそうです。

 

そして、最後にご紹介頂いたのは、ソニー・ロリンズの「ブルー・セブン」という曲。

ソニー・ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」という、ジャズ盤の紹介本には必ずと

言ってもいいほど取り上げられる「超名盤」のラストが「ブルー・セブン」で、唐突に

始まり、唐突に終わる難解な曲と言われているそうです。実はこの中で、ロリンズが

ソロでコード進行を間違えて、後の人がふらふらしてしまうことになり、小節割を無視

してしまうそうですが、これを専門家は間違いとは言えないとして「テーマ主義による

変奏」などと呼ぶ説もあるのだとか。ちなみに、青木さんがここに参加しているトミー

フラナガンにこのことを聞いたところ、「音楽はそういうふうに聞くべきでない。それに

よって音楽の良さが失われるものではない」と言われたことがあるそうです。

 

 

今日、ご紹介いただいた音楽は・・・

1.ザ・マン・アイ・ラブ / マイルス・デイビス

2.ウエル・ユー・ニードント / セロニアス・モンク

3.ブルー・セブン / ソニー・ロリンズ

以上の3曲でした。