『音楽マスターピース』では、音楽ライターで翻訳家の五十嵐正さんに
出演していただきました。
今回は、現在来日公演中の『トリオ・エストランジェイロス』というグループについて
お話し頂きました。
「トリオ・エストランジェイロス」は「異邦人」という意味で、有名なノラ・ジョーンズの
「Don't Know Why」の作者でもあるニューヨーク在住のシンガー・ソングライター、
ジェシー・ハリスが、ブラジルのアーティストであるヴィニシウス・カントゥアリアと、
ダヂの2人と組んだユニット。近年、ブラジル音楽への関心を高めてきたジェシー・
ハリスが、一昨年リオに滞在した際に、ダヂと仲良くなり、彼を通してブラジルの
ミュージシャンたちとの交流の輪が広がったそうです。そして、ダヂやヴィニシウス
・カントゥアリアと一緒にリオでアルバム「サブ・ローサ」を制作したところ、「昔から
ずっと知っているみたい」とすっかり意気投合した3人が、日本のためにスペシャル
ユニットを組んで、今回来日することになったということで、今回の公演は日本でしか
見られない貴重な公演になっているそうです。
今回は、先日の横浜公演の貴重なライヴ音源などを紹介してくださいました。
【『トリオ・エストランジェイロス』メンバーの詳細】
☆ジェシー・ハリス
NYを拠点に、90年代半ばから活動を続けるシンガー・ソングライターで、
これまでに10枚を超えるアルバムを発表。2002年にノラ・ジョーンズに
提供した「Don't Know Why」が大ヒットし、その年のグラミー賞の最優秀
楽曲賞を受賞したことで、一躍有名になったが、そもそもテキサスにいた
ノラ・ジョーンズを見出して、ニューヨークに出てきた方がいいと誘ったのが、
ジェシー・ハリスだそうです。
☆ダヂ
ノヴォス・バイアーノスというバンドのベーシストとして最初に名を知られ、
70年代半ばにはスーパースターのジョルジュ・ベンのバンドで活躍。
また、70年代末から80年代は、ア・コル・ド・ソンというバンドで、多くの
ヒットを放ちました。その後、カエターノ・ヴェローゾのバンドにいたことも
ありますが、近年はロンドン・オリンピックの閉会式に、次の開催地リオを
代表する顔として登場した、今やブラジルの国民的歌手マリーザ・モンチの
バンドに参加しています。そのマリーザのバンドの実質的なリーダーで、
最新アルバムでは共同プロデューサーも務めているということからも、
彼がブラジル音楽界の重要人物であることがわかるそうです。
☆ヴィニシウス・カントゥアリア
ダヂと同様にキャリアが長く、60年代末にロック・バンドのドラマーとして
デビュー。有名なのは、78年から83年まで、カエターノ・ヴェローゾの
バンドのドラマーを務めていたことで、その後は83年にシンガーソング
ライターとして、ソロ活動を開始しました。また、同時に他の歌手に曲を
提供するソングライターとしても売れっ子になりました。彼にとって大きな
転機になったのは、94年にニューヨークに引っ越したことで、ここでアート・
リンゼイを介して坂本龍一と知り合い、アルバムに参加したり、坂本教授
プロデュースの中谷美紀やゲイシャガールズのアルバムに曲を提供して、
日本とのつながりも生まれました。96年には、坂本龍一が全面参加した
アルバム『ソル・ナ・カーラ』が日本で紹介され、同年初来日。それ以降は
日本にも何度も来ている他、大貫妙子・葉加瀬太郎・三宅純らのアルバム
にも参加しています。
☆『トリオ・エストランジェイロス』ライヴ情報
●5月30日(木):梅田 CLUB QUATTRO
●5月31日(金):京都 磔磔
●6月3日(月):渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
※宜しければ、コチラもご覧下さい。
今日、ご紹介いただいた音楽は・・・
1.ロッキング・チェアー / トリオ・エストランジェイロス(ライヴ・バージョン)
2.カンタード・ポル・ヴォセ / トリオ・エストランジェイロス(ライヴ・バージョン)
3.モッサ・フェイア / トリオ・エストランジェイロス
4.ドント・ノウ・ホワイ / トリオ・エストランジェイロス(ライヴ・バージョン)
以上の4曲でした。